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我らは信長家臣団  作者: 大和屋
天下統一編
100/178

100話 逆賊の葬儀

家康の葬儀は、信長様の侍女や妻たちが参列する大行列であった。

自分の家臣を殺そうとした者の為に、そこまでするのはお人よしすぎるのではないか?

こんな大行列では、費用が現代のサラリーマンの年収を軽々と超えているはずだ。

まあ、天下を握った織田家の財力なら、こんな行列は大した物でも無いのだろう。

俺は別に、葬儀に参列する事自体はかまわない。

ただ、気になるのは、女たちの存在だ。

別に女は参列するなと言っている訳では無い。

なぜこんなに化粧をするのかと言いたいのだ。

まあ、女からしたら美貌は命のような物かもしれないが、匂いを考えて欲しい。

化粧の匂いが苦手な俺に取って、できれば濃い化粧はしないで欲しいのだが。

それに、おしろいの匂いも何か嫌だ。

おしろいをしていないほうがお好みなのだが、それは男の勝手という物。

女子はいつまでも美しくありたいのだろう。

「すご~い。」

奈々ははしゃいでいる。

「静かにしろ。」

まだまだある。

僧侶の唱えるお経がうるさい。

信長様の家臣を暗殺しようとした逆賊の葬儀なのだから、それほど盛大にやらなくてもいいはず。

もしかしてこれは、信長様の権力がいかに強いかを示すための作戦なのだろうか。

それは良いのだが、この匂いにはとても耐えられない。

早く終われ。

そう思っていたら、早く終わった。

「あ~、疲れた。」

菊はあくびをしながら言った。

菊は一応身重なのだが、菊が大丈夫だと言い張るので、仕方なく葬儀に参列させた。

「帰るぞ。」

俺は馬に乗って高遠に帰還した。


高遠城は盛岡城への出陣の用意で慌しかった。

俺は部屋で孫子の兵法書を読んだ。

孫子の兵法は所々難しい所があるが、これも勉強のうちだ。

時は静かに流れていった。

気付けば晩御飯の支度が出来ており、俺は急いで食卓へ向かった。

「東様、遅いですよ。」

菊が怒って言う。

「ごめんごめん、読書に夢中になっちゃって・・・」

「もう、しっかり食事を取らないと栄養失調になってしまいますからね。」

「は~い。」

俺は汁物をすすりながら答えた。

「食べ物を口に入れたまま喋らないでください。」

「は~い。」

俺は答える。

「おかわり、たくさんありますから、遠慮無く食べてくださいね。」

菊はそう言うと、洗濯物を片付けに行ってしまった。

その後は、茶々の話でもちきりになった。

「茶々様、一体どこへ行かれたのですかね?」

「信長様の所じゃないの?分かんないけど。」

俺は素っ気無い返事を返す。

「東様、茶々様はあなたの正室です。もっと真剣にお考えくださいませ。」

蘭が呆れ顔で言ってきた。

「そうですよ、東様。他国にこの事が知れ渡ったら大変な事になります。織田家の家臣は身内から見捨てられるほど愚かなのか、と。ですから、真面目に考えてください。」

「ごめんなさい。」

俺はちゃんと謝った。




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