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転生するってなったら特典とかつくのが一般的じゃない?私は別に凄い能力とかはいらないのよ、妹が欲しいのよ。切実に。
「もうお隣さんに『おねえちゃん』って呼んでくれる可愛い女の子がいればそれでもいいですけど」
「それもないわ」
「貴方それでも女神ですか全知全能ですか幼女の次に尊いんですか」
「幼女の次ではないわよ!?というか、勘違いしてるところ悪いけど、転生先の世界はアンタが思っているような歩けば幼女に出会うような場所じゃないのよ」
「どうゆうこと!?場合によっては転生したくないんですけど!?」
「アンタの人生って本当幼女しかないのね……」
そこまで言われるのは心外だわ。
歩けば幼女に出会うかどうかは置いておいても、もし極端に女の比率が少ないとか言われたら割と困るしぶっちゃけ転生したくない。逆ハーとか興味ないし、幼い男の子については未開拓だから幼女なみに可愛がれるかわからないし。女性の地位が高いって言うなら魅力的かもしれないけど。
私はいたって普通に、幼女とか童女を可愛がりたい。出来れば沢山の子に囲まれたい。あれ、もしかして私は幼女がすべてなのかもしれない。どうしよう。
私が自分の気づいていなかった自分にびっくりしていると、女神様はなんとなく哀れなものを見るような視線を投げかけながら私の肩にぽんと手を置いた。どういう意味ですかそれ。
「別に女性の比率がどうとかの問題じゃないのよ。そういう意味ではアンタの希望は最低限叶っていると言えるんでしょうけど、問題は女性の立場なの」
「立場、ですか?」
「えぇ。あの世界には魔法が存在するのだけど、長い間争いの道具としての面しか見られていなかったのよ。最近……ここ二百年の間に生活のなかに浸透して何をするにも魔法を使うようになったけれど、それまでが長すぎたの。争いの場に出ない女性の魔力量が年々減少していって、今ではもう生活魔法もギリギリってレベル。簡単にいえば、魔力自体が退化しちゃったの」
それってかなりヤバイ状況じゃない。幼女を可愛がる以前に自分の生活もままならないってことでしょ。女神様はその辺どうにかしようとしなかったの?職務怠慢?
「言っとくけどこれは私にもどうしようもなかったのよ。私が管理しているのは生物の魂と魔法関係だけ。アンタが思っているほど全能じゃないの、全知だけど。だからアンタの思考とか筒抜けなんだけど」
「……重ね重ね誠に申し訳ございませんでした」
女神様万歳。あれですね、改めて見てみるととてつもなく神々しいですね。さすが神様です。たとえ全能でないとしても結局何してるのかわからないとしてもご立派じゃありませんか。合掌でもして拝んでおいたほうがいいかもしれませんね。
合掌。
「今更取り繕っても無駄よ」
「じゃあさっきの無しで」
「あっさりしすぎでしょ!!!」
女神様がまた凶器を振りかぶりそうになったのでおふざけは終了にします。