愚者がもたらす可能性
数分後僕たちはセーフティエリアで大の字になって倒れていた。
「流石は元の月・太陽・星のトリオ。騎士王の称号を得る為に神祖級装備を捨てるとかマジでどうかしているぞ。」
「ちっ知ってはいたがアシスト無しで私と渡り合えるとは皮肉が聞き過ぎていないか?プレイヤーネーム。」
「そこまで意識するか!ってやけに静かだなこの拓けた場所。」
まるで鎌によって辺り一面の草花が切り裂かれたかのごとく直径約17m程の場所。こんないかにもな場所でとは・・・・。
「全員戦闘態勢。愚者具現化タイプ拳」
愚者のアルカナ・タローを具現化させガントレットを装備させる。それに合わせこの場に居る僕《愚者・剛毅・死神》とエリス《魔術師》にソウ《戦車》・スミ《女教皇》の双子更に暁《騎士王・元星・太陽・月》はそれぞれのみに装備を許された神祖級装備を惜しげもなく使う。
するとそれは急に上から木々の枝葉を振り払いながら落ちて来た。
「コイツがか・・・。推定SSSランク。ネームは?」
「それが今まで誰も見きれない。といきなり即死微レ存の攻撃かよ。」
にしてもで大き過ぎだろ。MOB・・・・異世界系ファンタジーでいうモンスターや魔獣・魔物ことだがこのゲームでその名前を知るにはそれなりの方法があるが現段階ではそれらはどれ一つとして機能していない。
ただ二つの今日生まれた可能性を除いては。
「エリス、アナライズを。 愚拳技 ダブルスプラッタ」
一つは解析魔法アナライズを使う事。これは無属性魔法というこのゲームでは未だ見つかって無い魔法だからボスMOB相手に効くかどうかは不明だ。だがこれは相当な集中力を使うのでその間に敵対心を後衛に居るスミとエリスから奪う必要がある。その為僕はヘイトを集めやすい愚者のアーツを使い巨大(3m弱)な螳螂向けて放つ。入ったと感じたが1ドットも敵LPが減っていない。
ダブルスプラッタは強力な拳技を二連続で放つが当たった感触は通常のMOBと同じくらい。が耐久値が恐るべきほど高いのかダメージが入った感触はしない。
がそれは囮で本命は
「戦車奥技 粉砕」
「騎士王の剣 緋の形」
ソウと暁による最大火力のアーツをぶつける。が大したダメージは入っていない。ならば
「戻れ愚者 魂を狩れ死神」
ガントレットをアルカナ・タローの状態に戻し死神のアルカナ・タローを鎌にする。そしてアーツ直後の硬直時間によって動けない2人を螳螂の攻撃から守る。そしてそのまま攻撃を仕掛ける。刃が内側にしか付いていないから扱い辛いが刃先を使った突きと広範囲による斬撃の攻撃を続ける。
「嘘だろ・・・・減り始めた。」
「解析終わりました。Sキラー・マンティスです。」
暁の呟きを上書きしながらエリスがそう大声でレイドメンバー(5人だが)に伝える。成程理解した。