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オール バイ マイセルフ ハウス

作者: 遥 一良

 私はその家には帰りたくないという心理が常に働いている。自分以外の誰かが思うことは、自分の時間を確保できる空間にいち早く戻りたいことであって、決して特定の時間だけ会話をする社会に身を置きたいということではないのだ。


 しかし私はそうではなかった。不特定多数の社会の中に身を投じる方が楽であり、紛れるからだと自信を持って宣言したい。人は好きと嫌いを両立させている。そこに何らかの歪みが生じることで、憎悪を抱かせることもあるが基本的な感情においては、好きか嫌いかの二つであると考えている。


 家族と呼ばれる者。私という人間を生み出し、育て、教えて来た者たちだ。生まれたことは幸運なことであり、不幸だとは思わない。だが、家族だった者たちが同じ家にいて幸せだろうか。答えは否定。


 メモにはこう記してる。

「ご飯はこのお金で何か食べなさい」


 これは私という人間が、思春期を迎えた頃から始まった悪しき行為。家族と呼ばれるものが、私という一人だけの人間に課した孤独という名の行為。


「今夜は飲み会に行きますか? あなたも」


 この言葉は私という人間にとってはとても幸せに感じることであり、孤独を感じることの無い言葉だった。


「はい、喜んで!」


 会社の人間、もしくは外でしか出会わない人間と仕事以外の付き合いをすることを、人は孤独と感じることは少ない。少ないが、どちらかというと家に真っ先に帰りたいと願う、思うことが多いのではないだろうか。


 一人で暮らしていても寂しい。いや、寂しくない。ネットさえあれば。それはそれで人の楽しみがある。それでも、家族がいながらにして寂しさと孤独をどうして感じなければならないのか。


 だから私は孤独が、家に帰るのが嫌いだ。

この話は私自身が、心理士として相談を知人に受けていた時の話を文字に起したものです。


お読みいただきありがとうございます。

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