7/24
06 母が人になった日
「お母さん、ごめんねって言ってくれない?」
電話越しの沈黙に私が緊張していると、
「そんなことであんたが楽になんのかね」
と、母は押し殺した声で呟いた。その声は震えていた。
母は私が思っている以上に、自分のした罪を分かっている。
母もまた「あんたが娘で良かった」と祖母に言ってもらいたかった人なのだから。
二人でグズグズと泣きあったら、
母の中の罪人だった母も、
私の中の神格化した母も、
役目を終えて、どこかへ去っていた。
私を責めて、私の基準を作った母は消え去り、どうしようもない、ただ愛の溢れた、私の大事な人が残った。
「私、お母さんが思っている以上に出来ない人間だから」
「もう、大丈夫って言わないから」
そう宣言する私に、母の元気な笑い声が届いた。
※※※
自分がアダルトチルドレンだと気付いたときに、母親にそれを言えずにいました。でも、あることがきっかけで、突然何も考えずに、その事を電話で伝えました。
最初は動揺するでもなく、淡々と私の話を聞いていた母に、途中から私が「謝ってほしい」と思っていることに気づきました。
どういう決着をつけたいとか、決別したいとか、そういう考えがあったわけではなく、ただ話をするつもりでした。区切りとして、イベントとして。
本音って分かりません。
もう母親に縛られることはないでしょう。




