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19 水槽の家
タバコのヤニで黄色く薄汚れた窓から外の景色を見る。愛しい人の背中が見える。
視界がぼんやりと滲み、まるで濁った水槽に閉じ込められている気分になった。
音が聞こえない。
息が出来ない。
慌てて外に出ようと駆け出す。ネズミの糞があちこちに転がった床を、爪先立ちで駆け出す。
外に出て大きく息を吸うと、世界が動き出した気がした。
この家に来るたびに大事なものを一つ持ち帰る。手に持った一冊の絵本を眺めた。
これが最後になるだろう。
もうあの家から覗くあの顔を、恐怖なしでは見れない。
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