新婚〇日目
明け方、オルフェリアは肩のあたりがぞくりとした感覚に意識を少しだけ覚醒させた。
重たいカーテンのせいで部屋の中は薄暗い。
冬である。寒いのも道理でオルフェリアは暖を求めて隣で熱を放つものにぴたりと寄り添った。
もう少しだけ眠っていたいな、と考える間もなく暖かさがじんわりと体を包み込んでくれた感覚に安心してオルフェリアは再び夢の中へと旅立った。
夢から再び現実へ覚醒したのはそれから数時間後。
オルフェリアは瞼を閉じてはいたけれど、頭の中は半分ほど起きていた。
この時間が一番心地よい。
まだもうちょっとだけ、と寝台の中でまどろむことほど贅沢なことはないと思う。
それに、なにか暖かい感触が頭を撫でている。
それがとても気持ち良くてオルフェリアはもう少しこの幸せを甘受していたいと瞳を閉じたままにしている。
「おはよう、オルフェリア」
頭の上から聞こえてきたのは、耳になじんだ愛おしい人の声。
オルフェリアはぱちり、と瞳を開けた。
ぼおっとした状態のまま起き上がる。
「目が覚めた?」
オルフェリアは声の主に視線をやる。
とてもくつろいだ格好をした恋人の姿が目に留まる。
どうしてフレンがいまここにいるんだろう。
不思議に思う。
彼はオルフェリアにガウンを掛けてくれようとしている。
そうそう、なんだか肌寒いなあって思っていたところで、と思って下を向いてオルフェリアは驚いた。
何しろ今、オルフェリアは何も身にまとっていないからだ。
「えっ……」
状況についていけなくてオルフェリアは固まった。
うろたえたオルフェリアにフレンが少しだけ苦笑を漏らす。
「もしかして、また寝ぼけている?」
ええと。
オルフェリアは自分の体と恋人……ではなく夫を交互に見比べた。
何も着ていないのは、昨日フレンと仲良く過ごしたからで、彼が今すぐそばにいるのは、彼とオルフェリアが数日前に結婚をして夫婦になったから。
だから一緒の寝台で眠るし、起きたらすぐそばに彼がいる。
もしかして明け方に縋りついたのはフレンだったのかもしれない。
というか彼以外に誰がいるというのだ。
「おはよう、オルフェリア」
フレンがおだやかな声を出してオルフェリアの頭をそっと引き寄せる。
部屋の暖炉にはすでに火が入っていた。
ガウンを纏って、彼の体温に体を預けると、オルフェリアはじんわりと体が温められるのを感じた。
「……おはよう、フレン」
たしかこの暖かさだった。
明け方と同じ熱をすぐ近くで感じたオルフェリアは瞳を閉じた。
オルフェリアの、フレンの背中に回した手にぎゅっと力がこもる。
寝ぼけているとまだ状況把握に時間がかかるけれど、フレンはそんなオルフェリアを暖かく見守ってくれている。
「朝から情熱的だね。もしかして、まだ仲良くしたかったりする?」
「フレン!」
夫の軽口にオルフェリアは真っ赤になって彼から離れた。
甘い二人を書きたくなって、とっても短いですが一つ書いてみました
このくらいの長さのショートショート昔はよく二次小説で書いていました
日常を切り取ったような一シーンってけっこう好きです




