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歴女作家 坂本龍馬子の奇妙な犯科録  作者: 横造正史
第四章
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昼食、軍議、そして決戦へ!  肆

 f太った島津義弘と豊久には納得がいかない私だが、確かに今更どうにもならない。


 ぢくしょおおおおおっ! 我慢するしかないのかよ…… 悔しい! 悔し過ぎるぞ!


 私は歯を食い縛る。


 しかしながら、敵に三成子が三成役でいるとは、世間は狭い。


 そんなこんな高台の陣から完全に大地に降りきった三成子は、ゆっくり偉そうにど真ん中に躍り出てくる。


 中央に石田軍、向かって左には毛利軍、向かって右に宇喜多小西軍が並び立つ。


「我らが石田、島津軍本軍じゃ、そして、小西宇喜多軍、更に毛利軍じゃ、いざ尋常に勝負じゃ!」


 甲高い声で三成子が叫ぶ。


 一方の私達は我等徳川池田軍、小早川軍、黒田軍、福島軍の順だ。


「え~、我々は本軍徳川池田軍になります。左手は小早川脇坂軍、右手は黒田細川軍、更に藤堂福島軍になります。宜しくお願いします」


 山科は一人ずつ名前を読み上げる。その紹介のタイミングに合わせてそれぞれの役の者が頭を下げる。


 私は三成子に気付かれないように印象を薄くしている。


「ふふふふふ、いよいよじゃ、いよいよ雌雄を決する時ぞ! とうとう我が手で内府を叩きのめす時が来た! 時がきたのじゃ! 目に物、見せてくれるわ!」


 手に持つ軍配型武器で我々を薙ぎ払うような動きをしながら叫ぶ。


「お手柔らかにお願いします」


 山科は相手の気性を受け流すように静かに言及する。


「それでは双方後方へ下がり、対峙位置及び初戦の布陣を決めて下さい。因みに傘下軍は石田島軍は二つ、徳川池田軍は三つになります」


「承知仕った!」


 双方から審判に対して本軍の我々と相手本軍の面々が大声で返事を返す。


 そうして、両軍はぞろぞろと後方に軍を下がらせる。そんな去り際、ふと、毛利軍の中にいた朱色の甲冑を着た人物と目が合った。何故か顔には面頬が付けらていた。


 その人物は顔を伏せて印象をを消している私の顔を見ると、はっとした目付きに変わる。


「な、何故だ!」


 何故? な、何だこの人は……。


 変な事を云われ、私は不可解な気分になる。


 き、気のせいかな…… 気のせいだ。


 私と目が合った所為で、私は自分が何かを云われた気がしたけど、多分徳川軍を含めた軍様に対しての言葉だったのだろう。


「さて、そうしたら対峙位置を決めようか」


 山科が皆に声を掛ける。


「あれ、対峙位置なんて今まで何かしていましたっけ?」


 私は山科に問い掛ける。


「一応あるんだけど、一対一とか二対二とかだと余り関係がないんだよ、二対二の時 傘下が前、本軍が後ろに付いていたでしょ、そんな感じが対峙位置になるんだ」


「な、成程」


 確かに軍が少ないと良く解らないかもしれないな。


「で、今度は四軍対三軍になるから前衛軍右、前衛軍左、後方に本軍みたいな立ち位置になるんだ」


「確かに解りやすいですね」


「うん、で、例えば、小早川朽木軍を前衛軍右に対しての一軍目、黒田細川軍を二軍目に並ばせ、福島藤堂軍を前衛軍左に対して対峙させる。で、後方に本軍である我々が並ぶという感じさ」


 山科が初心者の私に細かく説明してくれる。


「ねえねえ、もう、面倒くさいからそれで決定で良いんじゃない? 前衛左右が毛利でも宇喜多でも大した違いはないしさ」


 輝美は適当な事を云う。


「まあ、確かにそこはそうかもしれないね、ねえ皆、輝美君が、小早川朽木軍を前衛軍右に対しての一軍目、黒田細川軍を二軍目、福島藤堂軍を前衛軍左に対峙で良いと云っているけど、君たちはそれで良いかな?」


 山科は忠勝と直政に問い掛ける。


「儂は別に構わんぞ、さして違いはないしのう……」


「ふふふ、俺も構わないが……」


 二人も問題ないようだ。


「それじゃあ、このまま決めてしまおう、そうしたらブライアンとモニカさん達は此方の前側に立ってください、黒田、細川軍の方々はその後方にお願いします」


 山科は対峙位置の指示を出していく。


「福島藤堂軍の方々は小早川朽木軍の横にお願いします」


「おう、畏まった」


 ぞろぞろと福島、藤堂、田中、京極、筒井の面々が指示に従い並び立つ。そして我々が後方だ。


 そんな此方の配置を見てなのか、それともそう決めていたのか、宇喜多小西軍が前衛右に、毛利吉川軍が前衛左に位置した。


 前衛右は前側に平塚、大谷、戸田が並び、その後方に宇喜多小西が立つ、前衛左は細い偃月陣みたいな感じで、先頭が長曾我部、二列目が長束、安国寺、三列目は吉川毛利が並んでいる。


 更に後方中央には石田島軍が収まった。中央が三成子、その斜め前が島、蒲生、両翼は島津豊久と島津義久の鶴翼陣だ。



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