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歴女作家 坂本龍馬子の奇妙な犯科録  作者: 横造正史
第三章
524/539

西首塚での対戦  漆

「さて、それでは第三陣の方々前へ」


 審判から促しの声が上がる。

 

 我々の陣からは井伊直政役の田中が前に出る。赤備え、いや、赤い彗星だ。


 一方の小早川陣からはヘレナ脇坂が出てきた。使者としてやってきた綺麗な女性だ。


「私ハ、脇坂安治役ノ、ヘレナ、デス。私ニハ、ドム、トノ間ニキッドガ……」


「俺は井伊直政役のキャスバル田中だ。ドムの事は知っているぞ。重モビルスーツだ。ニキッド? 何だ? ニキッド仕様? でも俺のはゲルググだぞ」


 多分それぞれ違う事を云っているのだと思うのだが、何故だか話が嚙み合っている。


「それではそれぞれ任札をご提示下さい!」


 審判員から声が掛かる。


「俺の任札はこれだ」


 田中は最弱札である軍師札を提示する。


 そんな様子を見ながら、山科、駒野、輝美は顔の緊張を強める。


「やばいぞ、このまま三連敗という事はないだろうな……」


「この局面で我等の方は最弱札である軍師じゃ。やばいかもしれんのう」


 山科の呟きに、忠勝は微かに顔を顰める。


「あの、ダウジングが厄介ね、不可思議な力が働いているような気配が感じられてならないわ……」


「西洋の秘術か…… さすれば」


 駒野忠勝は腰辺りに手を伸ばすと、小型の数珠のような物を取り出した。


「臨兵闘者、開陳烈在前! 臨兵闘者、開陳烈在前! ぬうおおおおおおおああああああああっ!」


 手を差し込み何かを唱えたかと思ったら、それを引き千切り、対峙している二人の足元へ投げつけた。よく見るとその数珠には臨とか闘とかの文字が彫り込まれていた。


「ち、ちょっと! あ、あなた、何しているんですか? だ、駄目ですよ、変な物を投げちゃ!」


 審判が慌てた様子で注意してくる。


「邪気払いの東洋の秘術じゃ、安心下され、不正ではござらん!」


 可愛い顔に似合わず渋い雰囲気で言及する。


「安心下されって、もうしちゃ駄目ですよ!」


 そんな忠勝の行為に外人軍団の小早川軍の面々は強張った顔をする。


「エッ、マジカ…… 東洋ノ神秘? 東洋ノ神秘ダト! オーマイガー……」


 意外な現象に緊張しながらも、エレナ脇坂は持札を提示する。軍師札だった。


 東洋の秘術が効いたのかは解らないが、取り敢えず任札の戦いはまたセイムだ。


「任札は引き分け! では続いて武具札の提示をお願いします!」


「ふふふ、俺の武器札は騎馬隊札だ」


 気障な感じでキャスバルが札を提示する。


「……ワ、私ノ武具札ハ、矢盾札デス。防ゲマセンデシタ…… 残念デス」


 エレナは悔しそうに札を提示する。


「おおおおおおっ、いやったあああああああああああああああああああああ!」


 我々は揃って歓喜の声を上げる。


「第三陣は徳川池田軍の勝利です!」


 何とか勝てたことで、我々は安堵の息を吐いた。


 本当に忠勝の行った怪しげな東洋の神秘が、西洋の神秘であるダウジングを打ち破ったのであろうか?



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