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歴女作家 坂本龍馬子の奇妙な犯科録  作者: 横造正史
第二章
512/539

黒田細川との対戦  壱

 対戦時間に間に合うように、少し前に桃配山陣を出る。


 中山道を南下して家康最後陣跡地へと歩を進める。


「ねえ、坂本さん、ちょっと対戦についての補足説明をしておくよ」


 道中、改まって山科が言及してくる。


「え~と、補足は武具札についてだが……」


「は、はい」


「前に対戦はカードバトルみたいな物だと説明したと思うけど、大将、大大名、中大名、小大名、軍師の任札を持たせて相手方と対戦するといいう話はしたよね?」


「ええ、聞きました」


 私は頷く。


「それでなんだけど、大将は強さが武力十になる。大大名は武力八だ。中大名は七、小大名は五、軍師は四だ。もし送り出した者が、相手が大大名で、自陣が小大名だったら、八対五で、自陣の負けになってしまうんだ。解るよね?」


「ええ」


「だけどね、それに添える形で武器札や防御札を持っていたら状況が変わってくるんだよ」


「それは、どのようにですか?」


「まず、武器札は六枚ある。騎馬隊と弓矢隊と、火縄銃隊がそれぞれ二枚ずつだ。ただ一つの対戦中で使えるのは三枚だけになる。一応だが、単純に、これらを持つと強さが武力三加算される」


「とすると、大将が武器札を持っていなく、大大名が武器札を持っていたら大大名の方が勝つという事ですか?」


 山科がニヤリと笑う。


「その通りだよ」


「でも、中大名だった場合は勝てませんね」


「うん、そうだね、中大名の七と武器札三を足したら十だ。引き分けにまでなるけど大将には勝てない」


 私は頷く。


「ただ双方が武器札を持っていたら状況は変わってくる。武器札は三竦みの関係性があるんだ。騎馬隊は弓矢隊には敵わない。弓矢隊は火縄銃隊には敵わない。火縄銃隊は騎馬隊には敵わないという関係性がね、一応、馬防柵のない関ヶ原の野戦状態の上での設定だ。弾込め三十秒の間に騎馬に距離を詰められるというね……」


 武器札が絡むとどうなるのかを直ぐには理解できずに私は少し首を傾げる。


「さてと、例えば、相手陣の大将が武器札の騎馬隊を装備していたとしよう。つまり十足す三で十三の強さだ。」


「はい」


「それで自陣は中大名で武器札は弓矢隊を装備していたとする。つまり七足す三で十の強さだ。だけど武器札の相性で、騎馬隊は弓矢隊に対して引く二。弓矢隊は騎馬隊に対して足す二になるんだ」


「とすると相手陣の大将は十一になり、自陣の中大名側十二になると云うのですか?」


「そういう事。よってこの対戦は自陣の中大名が勝つという事になる訳だ」


 札の選択とその札の強弱による勝敗だけでも対戦になるのに、武器札が加わる事で随分ややこしくなるな……。


「そして、防御札というのが二種類ある。これは二枚しかなく矢盾札と馬防柵札になるのだが、それぞれ弓矢隊の武器札と騎馬隊の武器札を無効化させる効果があるんだ。ただこの防御札には武力加算はない。火縄銃隊札に対して矢盾札や馬防柵札は効果が無い。その場合は何も持っていないのと変わらないんだよ」


「なるほど」


「それと、この防御札は武器札と一緒には所持できない。なので全員装備なら武器札装備三人と防御札装備二名という状況になる。勿論敢えて装備しないという事もできるけど、持っていた方が得ではあるから無装備は勿体ないかな……」


「まあ確かにですね」


「いずれにしても、五対五という対戦だし、誰が大将か解らない状況も相まって、運要素も多い心理戦の様相になるんだよ、並び位置や立ち居振る舞いでミスリードを誘っていくのが重要と云えるかな」


「成程です」


「とにかく一回対戦してみればどんな感じになるか解ると思うから、初戦は僕らの指示に従って動いてくれ」


「はい、承知しました」


 我々は関ヶ原駅手前で右に曲がり踏切を渡る。もうすぐ対戦の場所だ。

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