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歴女作家 坂本龍馬子の奇妙な犯科録  作者: 横造正史
第八章
501/539

地下  壱

 私達は一か所だけ設けられている扉を抜け、岩肌がむき出しの岩窟を進んで行った。岩窟は傾斜があり徐々に下へと向かっているようだ。


 その岩窟は日常から使われている形跡があり、所々に薄暗い照明が設置されていた。照明に照らされた部分は導線なのか太く一つの道になっており、我々は明かりに照らされた所を伝って進んで行く。


 通路横には部屋のような空間があったりするものの、暗くて良く見えないので横目で様子を覗う程度だ。


 しばらく進むと、大きな空間に出た。高さは三メートル程なのだが、面積はテニスコート程あるような空間だ。その広い岩窟は人の手で作られたようで床や壁などは平らに整えられていた。


 そして、壁の側面には五段位ある木の棚がずらりと設けられ、そこに、子供用の骨壺のような物が所狭しと並べられていた。両壁を全て覆うように木の棚、壺が並べられているのだ。


 まるで壺に囲われているような感じだ。その壺の数は百~二百個近くはあるのではなかろうか。


「中岡さん、この壺は……」


 私は囁くような声で問い掛ける。


「ああ、ちょっと嫌な気配がするな……」


 薄暗く良くは見えないが、奥側に視線を送ると円筒状の管が床から天井まで伸びていて、温泉を汲み上げているような構造が見えた。そして、その手前には祠のような物が置かれ、祠の中央には酒樽ほどの大きさがある丸っこい岩があった。


 その酒樽ほどの岩は桃のような形状をしており、真ん中に縦に亀裂が入っていた。まさに女陰を思わせる形をしている。紙垂まで付いて飾られている所をみると、これこそが、ご神体なのではないかと思われる」


「中岡さん、これが、いえ、あれが、かなやまひめ、なのではないかと私は思いますが……」


 私は女陰岩の方に視線を送る。


「確かにそうだな、かなやまひめは、ほぼ間違いなく、あれだろう」


 中岡編集は緊張した顔で頷く。


「……松子さんはこの場所を伝えたかった。そして、この部屋にあるものといったら……」


 中岡編集は壁側に並ぶ骨壺風な物に視線を向けながら言及する。


「なあ、龍馬子君、すぐ右横にある棚にはまだ空きがあるだろ?」


 促された方向をみると確かに棚に空きがあり、その横の壺はまだ新しそうだった。


「空きのある棚の一番近くの壺の中を確認してもらっても良いかな?」


「えっ、私がですか?」


 何故に私が……。


「い、嫌ですよ、中岡さんが確認してくださいよ!」


「済まん、ぼ、僕にはとても無理だ……」


「わ、私だって無理ですよ!」


「お願いだ…… いや、お願いです。中を確認してみて下さい。頼みます……」


 中岡編集が涙目で私を見る。片手はあの金属パンツの上から陰部を抑えていた。


「見るんですか?」


 私はもう一度聞く。


「う、うん」


 何がうんだ。弱弱しい素振りしやがって!


「解りましたよ、見てみますよ」


 仕方が無いので、私は棚に近寄ってその子供用の骨壺みたいなものに手を掛ける。


 壺には蓋が付いているので、それを開けてみようとすると引っ掛かって開かない。


「中岡さん! 残念ながら開きませんよ!」


「蓋を少し回してみてくれ、多分開く筈だ」


 意外と詳しいじゃないか!


 私は蓋を軽く捻ってから持ち上げてみると、すうっと蓋が持ち上がる。


 私は恐る恐る壺の中に視線を落としてみる。血まみれの男根が入っていそうで嫌で嫌で仕方が無い。


 しかし、薄暗い為に中が良く見えない。だが見えないながら、目を凝らすと、血のような物とか肉片のような物ではなく、布のような物だという事が朧気ながら確認できた。


「な、中岡さん、暗くて良く見えませんけど、布みたいです」


「布…… 布か…… そうしたらそれを取り出してみてくれ!」


「えっ、取り出す?」


 もう緊張感から私の思考は働かなくなっていた。云われるがまま私は壺に手を入れてその布を掴んでみた。


「う、うっわああああああ! ぶにょ、ぶにょってした!」


 やばい! 布は布そのものではなく中に何かが入っていて包んでいるようだった。


「あっ!」


 あまりの手ごたえに驚いた私は、中身ごとその壺を手放してしまっていた。触ってはいけない物を触ったと感じた条件反射だったのかもしれない。


 壺は下に落ち、堅い岩盤の為に、バリンという大きな音を経てて割れた。割れた壺の破片の隙間から見えた中身は、包帯で包まれた男根型をしたものだった。


「え、えっ、う、うわあああああああっ!」


 私と中岡編集は恐怖に慄きお互いに顔を見合わせる。


 というか、叫び声も然ることながら陶器の割れる音も含めやばいぐらいの音を響かせていた。

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