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歴女作家 坂本龍馬子の奇妙な犯科録  作者: 横造正史
第七章
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山川綾戸城跡 参

 ここからは、気が急っているのか、中岡編集が先頭で、結佳ムスカが二番手、三番手が私、部下A、美佐子、部下Bの順番で横穴へと入り込んだ。腰まで水に浸かりながらの行進だ。


「しかしながら、こんな横穴が墓の傍から続いているとは…… 一体何処へ向かって続いているのであろうか?」


 結佳ムスカは周囲の壁を見回しながら呟く。


「万松寺は山川綾戸城に隣接した場所にあったようですから、若しかしたら、城からの抜け穴かもしれませんね……」


 中岡編集が説明する。


「ん? 山川綾戸城だと? この近くに城があったのかね?」


「ええ、寺のすぐ横が城だったようですよ」

「すぐ横が城だと? こんな場所に城郭があったのか…… それは一体、誰の城なのだね?」


「水野氏の城です。忠邦に繋がる水野氏の城です。水野氏の墓の初代である忠元が大阪の陣の功により、結城本郷、下総山川、下野鹿沼の計三万石を拝領して、この地に山川綾戸城を築いたと…… その後、駿河へと国替えになるものの、墓はこの地に作られ続けたと……」


「そ、そんな事があったのか……」


 結佳は山川綾戸城の事を知らなかったようで驚きの声を上げる。


「しかし、君の手帳にはそんな事は書かれていなかったが……」


「山川不動尊のバス停から、此処まで歩いてくる道中に、案内板が立っていました。僕もその案内板を見付けるまでは、こんな場所に城があったという事は知りませんでした。山川沼に突き出た半島のような場所に築かれていたらしく、三キロメートル四方に及ぶ、かなり大きな城だったようです」


「とすると、君が云うように、本当に城の抜け穴の可能性もあるのかね?」


 結佳ムスカは中岡編集に問い掛ける。


「貴方は、大阪城の南にある三光神社を知っていますか?」


「いや、知らんが…… その三光神社とは何なのだ? 何があるのだ?」


「三光神社のある場所は、嘗て真田信繁が真田丸を築いた場所で、その神社内の遺構として、石で組まれた横穴があり、真田信繁が作った大阪城内に通じる抜け穴だったと云われているものがあるのです」


「大阪城にも抜け穴があるのか? というか城に抜け穴というのは、よく作られる物なのか?」


「ええ、宇都宮城などには寺へと繋がる抜け穴があって、戊辰戦争の際に抜け出たという記録もあるようですよ」


「そ、そうなのか……」


 結佳は感心したのか何度も頷いていた。


「では、今我々は城へと向かって、進んで行っているのかね?」


「先程、山川不動尊から此処へ来た時に、地上の道を歩いて来ましたが、その感じから考えて、城跡の方向に進んでいるとは思いますけど……」


 中岡編集は答えた。


「そうか、我々は城の地下を進んでいるのか…… いやいや、城とは…… 埋蔵金の隠し場所として相応しい場所じゃないか」


 結佳は嬉しそうな声を上げた。



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