第1部(第1話~第60話)あらすじ
詳しめに思い出したい人用。当然ながらネタバレ注意。
ここだけ読んで第2部から読み始めるのもアリです。場合に応じて設定集を併用してください。
第2部の最初にはもっとざっくりまとめた『これまでのあらすじ』を用意しています。
●第1章 天空都市ベルグダール(第1話~第19話)
ディオミールと呼ばれる世界に勇者として召喚された引っ込み思案な少年・神無木裕。勇者として強大な力を与えられた彼は国を挙げて歓待を受けるが、それらはすべて偽りだった。この世界において、勇者=異世界人は被差別民族であり、兵器としてしか扱われていなかったのだ。
スペック不足と見なされ、『処分』されようとする裕。しかし、勇者を兵器扱いする風潮に反感を抱くベルグダール王国の王女、エリカ・フロイデンベルグと協力して窮地を脱することに成功する。
裕は故郷と決別したエリカと共に、世界で唯一勇者の人権が認められている街、勇者特区へと向かうのだった。
●第2章〈上〉 勇者学園日常篇(第20話~第33話)
勇者特区にやってきた裕は、勇者だけが通う学校・勇者学園にエリカと共に入学する。そこでは裕と同じ痛みを抱えた少年少女が支え合って暮らしていた。
勇者学園での暮らしにも慣れた頃、新たな転校生がやってくる。その転校生・上賀茂桂花は、裕が小学生の頃、いじめから救った少女だった。
世界を超えて再会した桂花は裕への想いを明け透けに爆発させ、彼にまとわりつき始める。しかし彼女の精神状態はあまりにも危ういものだった。裕に拒絶され、桂花はあっさりと自殺を図ってしまう。
桂花がこんな状態になったのは自分のせいだと思い詰める裕の代わりに、桂花を喝破するエリカ。桂花がずっと胸の内に抱えていた罪悪感――裕が自分の代わりにいじめられているのを見過ごしたこと――を吐き出させることで、彼女の心を救い出すことに成功するのだった。
――しかし、こんな平凡な日々も長くは続かない。
エリカの姉、勇者という民族を徹底的に嫌うベルグダール王国女王、リーゼロッテ・フロイデンベルグが、妹を取り返すために動き出す。
●第2章〈下〉 勇者学園散華篇(第34話~第46話)
裕とエリカと桂花は、勇者学園初等部にて、松ヶ崎リサというハーフ勇者の少女と出会う。彼女は裕たちの担任である松ヶ崎黒也の娘で―――驚くべきことに、エリカの姉・リーゼロッテの娘でもあった。
かつて勇者である松ヶ崎と、当時は王女だったリーゼロッテは愛し合い、子を成した。しかし陰謀によるすれ違いの果て、松ヶ崎に裏切られたと誤解したリーゼロッテは、勇者を強く憎むことになってしまったのだ。
そんな事実が判明すると同時、勇者特区にベルグダールの部隊が侵入してリサを拉致する。裕たちはクラスメイトらと協力して奪還に成功するが、そこにリーゼロッテが現れた。正体不明の強大な力で戦略兵器たる勇者たちを捻じ伏せ、リーゼロッテは妹エリカを連れ去る。
その後、ベルグダール王国が第一王女エリカを略取したとして勇者特区を糾弾したことを皮切りに、両陣営の関係が緊張。全世界が震撼することになる大きな戦いが幕を開けるのだった。
●第3章 ベルグダール事変(第47話~第60話)
関係が悪化した勇者特区とベルグダール王国は程なく全面戦争へと舵を切った。勇者特区側の戦力は、世界最強の勇者である『勇者長』セリア・マークイラを含めてわずか10人。しかし勇者に与えられた反則的な力は、3万にも上るベルグダールの軍勢を赤子の手をひねるように蹴散らしていった。
一方、先行してベルグダール国内に潜入した裕は、軟禁されていたエリカと会って彼女に想いを伝える。彼女の協力を得られれば戦争を止めることができる――そのはずだったが、同様に潜入してかつての恋人リーゼロッテと対決していた松ヶ崎が敗北し死亡。リーゼロッテは再びエリカを連れ去り、『勇者絶滅計画』なる作戦を発動した。
勇者絶滅計画―――それは大量の勇者を一挙に召喚し、その戦力をもって世界中の勇者を皆殺しにする計画。裕やエリカ、勇者特区の仲間たちは一丸となってこれを阻み、偏見と憎悪の権化となったリーゼロッテに引導を渡す。
しかし、『ベルグダール事変』という事件はこれで終わりではなかった。
リーゼロッテ以外の何物かが大量勇者召喚を実行し、裕たちは暴走した勇者たちから逃げ惑うことになる。その中で裕は右腕を失い、仲間たちも次々と脱落していく。そして最後には、大規模な破壊の中に誰もが消え去っていった。
大量召喚された暴走勇者たちは勇者長セリアによって駆逐されるも、勇者特区側の勇者たちは、誰一人として帰ってこず。
裕とエリカの生存だけがかろうじて確認され―――しかしその二人も、どこかへと去って行方不明となった。
最悪の結末に至ったベルグダール事変。その原因となった大量勇者召喚を行なったのは、一体誰だったのか?
すべてが終わった後、勇者長セリアは、誰もが掌で踊らされていたことを知る―――