ゲームの管理人からのあいさつと餞別
パン・パン
誰かに肩を叩かれる。
「起きて!!10時だよ!!」
まだ眠い、もっと寝たい。
「起きてよ。始まちゃうよ!!」
更に強く叩かれ脳が少し動く。
始まる?何がだ?確かゲームの開始は12時・・12時!!!今10時と言っていた。ヤバい!
脳がいっきに覚醒して目が覚めた。
「やばい、寝過ぎた。飯食わないと・・・けどシャワーが先か?」
あわてて起きて行動を開始しようとするが何からしたらいいのか分からずおろおろする。
俺を起こしたユウはそんな俺の様子を笑いをこらえながら見ている。が、こらえられなくなったのか突如笑いだした。そして、何事かと見てる俺に時計を差し出してきた。その時計は午前8時を指していた。
落ち着け、整理しよう。この時計は電波時計だ、だから今の時間は午前8時に間違いない。ということは、ユウが俺に言った事は嘘。・・俺に対していたずらを仕掛けてきたわけか。そしてゲーム開始の時間まではあと4時間あるのか。それならシャワーを浴びに行こう。それから朝食を食べ、開始まで時間をつぶそう。
状況を整理し、する事を決め行動を開始した。
~約4時間後~
コクーンの中に入り目を閉じる。
そして閉じた目を開けるとそこは、ゲームの中の世界・・・・
ではなく、昨日設定をしたときの部屋だった。
しかし、昨日と違うところがいくつかある。部屋の奥にはドアがあり、中央に大型のテレビの画面がおかれている。
さらには俺自身の服装が変わっていた。(黒の半そで、長ズボン。そして足にはブーツをはいている。)
昨日の設定時の時はきている服は確か変わらなかったのに・・。
服装が変わっているということはもしかして俺の外見も変わっているのか?
そう思い画面に映る自分の姿をみてみると予想通り外見が昨日設定した姿に変わっていた。
今の姿はすでにアバターってことか・・。にしても感覚や動きに全くと言っていいほど違和感がないな。これなら行動に支障はないとは思うけど、俺ステイタス低いんだっけ・・。
ちょっと空しい気持ちになっていると、いきなり画面がひかり、画面に見たことのない人物が映し出された。
≪ようこそ、みなさんゲーム『NewFeeling』へ。私は今回ゲームの管理をします、人工知能の『ぺガ』といいます。以後お見知りおきを。まず、今みなさんがいるのは設定の時に使った部屋と同じ部屋です。そして奥にあります扉をくぐりますとゲームの世界へ行くことができます。
ですがその前に、私からゲームの説明をさせていただきます。聞く聞かないはあなた方の自由です。説明開始まで30秒の猶予を与えますので、聞きたくない方はどうぞ扉をくぐりゲームを始めて下さい。≫
そう言いを終わると画面が変わりカウントダウンがはじまった。
ゲームの説明と変更点か。確かに以前もらった本には詳しいことは何も書いてなく、ただゲームの世界観の説明、設定の時の手順や説明、『アビリティー』『スキル』『ステータス』に関する簡単な説明だけしか書かれていなかった。もっとも『アビリティー』や『スキル』はネットに一部情報が公開されていたらしく、ユウなどはそれを熱心に探したりしてたらしいがな。ま、どっちにしろ俺は初めから調べる気もなく説明が有ることに賭けてたから説明は聞くつもりだ。
≪30秒が経過したので説明をはじめます。
まず、皆さんの中には気がついた方もいらっしゃると思いますが。今の皆さんの格好は設定してもらったアバターの格好になっています。また服装は攻撃系のアビリティーで『魔法』を選択した方はローブ、『武器』を選んだ方は皮製の防具となっています。どちらも防具の初期装備になっていますが、ゲーム序盤のモンスターとの戦闘ぐらいなら、難なくこなせますのでご安心ください。また『武器』を選んだ方には、アビリティーで選んだ武器の初期装備レベルの物をいっしょに配布しましたので確認してください≫
そうか、この服は防具だったのか!けど・・・武器が無い。選んだ武器の[刀]が無い。
俺は周りを見てみる。
・・・・何もない。俺の周りには小枝1つ落ちていない。
もしかしてこれが世に言うバグってやつなんだろうか?
≪言い忘れましたが、武器によっては配布されないものもありますので、武器が無くても『バグが起こった』とか思わないでください。≫
ぺガはプレイヤーの心が読めるのか?もしかしてここで考えてることは全部つつぬけなんじゃ・・。
≪あと、私はあなた方の考えてることや心を読むことはできません。ただ、その状況下における最もくだらない考えを言っているだけですので気にしないで下さい≫
・・なんか悪意を感じる。どーせ俺は最もくだらない発想をする人間ですよーだ!!
≪説明を続けます。ゲーム中のステータスなどの表示についてでが、これは空中で片仮名の『レ』を書いてください。そうすると、ステータスやアイテムなどといった項目がでてきます。そして、その項目を選ぶと表示されます。次にアイテムについてですが、収納したい時はアイテムにさわりながら『プット』、出したい時はそのアイテムの名前を念じて下さい。また持ち運びや所有の量には制限があります。ただし、ゲーム中にはアイテムなどを預かってくれる施設がありますので、上手く利用すれば所有に関してはそんなに問題になりません。詳しくは実際に確認してください≫
なんか説明がめんどくさくなって投げた感じがするのは俺だけだろうか・・。
≪それから、ゲーム中はログアウトして元の世界にもどれません≫
え???今とんでもない事を聞いた気がした。ログアウト不可能!!??
何とんでもないことチャラっと言ってんだ!?
≪ただし、永遠ではありません。ゲームのクリア条件を誰かが満たせば可能となります。クリア条件は今から発表しますのでよく聞いてください。条件は『The dungeon of the farthest limit 』の攻略です。場所のヒントなどはあちこちに有りますので探してください。ただ探すだけではつまらないので競争にしたいと思います。1番はやく攻略者した人やグループのゲーム内での所持金と同額を賞金として用意します。これは決まっていた事ですので、賞金は必ず用意しますから安心してください≫
『The dungeon of the farthest limit 』訳はたぶん『最果てのダンジョン』だろう。
にしてもクリア条件の達成を競争にするとはね・・。
しかも、賞金付きときた。これでゲーム攻略の参加者が増えるだろうし、人間としての本性がでるだろうな。この人工知能は質が悪い。それにゲーム作ったやつも性格がわるいな。
≪ゲーム中の皆さんの本体の方ですが、スタッフの管理下に置かれるため安全ですから安心してください。また、ゲームの中と外では時間の進みが違くなりますから時間の心配も安心してください。目安としては外の1時間が中の1日となります。あと、ゲーム内では感覚が完ぺきに再現されてますが、『痛み』のみ感覚が鈍ります。最後に禁止事項と餞別をお渡しします。禁止事項は犯罪行為やプレーヤー同士の殺し合い、NPCに危害を加える行為になります。違反者にはペナルティーが有りますので注意してください。では私からの餞別をお渡しします≫
そう言うと画面の前の空間がひかり、台座が現れた。台座の上には指輪と本、あと布袋が置いてあった。
≪今現れた3つが私からの餞別です。まず指輪ですが、簡単に言うと携帯電話です。ここに私からのメールやプレイヤー同士登録すれば連絡がとれます。今回このゲームに当選者のかたのペアとして参加している方と当選者のかたはすでに登録が済んだ状態になっています≫
俺は指輪を左手の人差し指にはめる。すでにユウとは連絡が取れる状態なわけか。
≪次に布袋ですが財布になっています。本来なら町で購入するのですが今回はさしあげます。中には少しお金が入ってます。財布が無いとお金が持ち歩けなくもなるので、無くさないようにしてください。最後に本ですがマニュアルとなっております。分からないことが起きましたら参考にしてください。この2つはアイテム扱いなので収納してください≫
右手でまず財布に触れ「プット」と唱える。すると右手から財布が消えた。
おおーすげー。けど少し恥ずかしい。
なので次に右手を本に触れ「プット」と念じてみた。すると右手から本が消えた。
念じるだけでもいいのかよ!と、つ込んでおく。
≪では、これで私からは以上です。ゲーム『NewFeeling』をお楽しみください。≫
今まで映っていた画面から光がきえ、画面ごとどこかに消えてしまった。
ここでもうやることが無いので、扉に近ずく。
そして、ドキドキする気持ちと多少の不安を感じながら扉を開けた。
扉をくぐるとそこは中世ヨーロッパのような町の中だった。
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名前:ソラ Lev1
HP130/130
魔力5/5
攻撃 10
耐久 19
賢さ 20
精神 16
器用 8
スピード 24
アビリティー:〔刀〕・〔鑑定〕・〔振動〕・〔探知〕・〔万能言語〕
スキル:刀の才Lv1・鑑定Lv1・振動Lv1・探知Lv1・万能言語Lv1
防具:皮製の服 武器:なし