明日への羅針盤
「今日の運勢、最悪じゃん」
スマホの占いアプリを見て、僕はため息をついた。
就活は三十社連続で不採用。もう次に進む気力も残っていなかった。
祖父の古本屋の手伝いをしていたら僕の目に一冊の本が留まった。
「人生の岐路で読む言葉」
パラパラとページをめくると、一枚のしおりが落ちた。
「諦めなければ、必ず道は開ける」祖父の字だった。
その日の夕方、常連客の老紳士が訪ねてきた。
「最近、元気ないようだね。一つ占ってあげよう」
老紳士は易を取り出し、静かに筮竹を操る。
「君自身が声を上げなければ、何も始まらない。だだが困難の先には必ず協力者が現れる」
力強く伝えてきた。
翌朝、僕はもう一度大学の就職課を訪ねた。
担当者は、僕の話を親身に聞いてくれた。
そして、地元の小さな出版社を紹介してくれた。
「実は、古本屋の息子さんを探していたんです」
面接で社長はそう言った。
「本が好きで、人の心が分かる人。それが我が社に必要な人材です」
一週間後、内定通知が届いた。
僕は、ようやく肩の力が抜けた気がした。
本棚を整理していると、あの老紳士の名刺が挟まっていた。
名刺にはこう書かれていた。「人生に無駄な出会いはない。全ての経験が君を強くする」
窓を開けると、風が吹き込んできた。新しい季節の香りだ。僕は深呼吸をし、明日への一歩を踏み出した。
占いは未来を決めない。ただ戦う勇気をくれるだけ。
読んでいただきありがとうございます。
他にも短編を投稿しています。




