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3話 糸が絡んだ出会い(2)

 俺は女性の手に付いている物に目を大きく開く。この人は両手を拘束するように手錠を掛けられていた。

 しかもよく見ればあちこちに傷があって格好もボロボロだ。


「もしかして貴方はこいつらに?」


 俺が静かに問いかければ女性はコクリと頷く。


 そして火柱が立っている方向を見れば丸焦げになった錆人が1人、また1人と倒れた。

 彼らを襲った炎は不思議と他の物に燃え移ることなく淡々と皮膚だけを焦がしていく。


「……俺が貴方を保護します。手錠を砕くのでこちらに向けてください」


 結局抜刀する隙が無かった刀を引き抜いて勢いよく手錠の接続部分を断ち切る。女性は驚いたように小さく声を上げると俺を見上げた。


「凄い」

「感動されるほど凄いものではないです。本当ならこの刀はあの錆人たちに使うべきだったのに」


 簡単に背中を任せて、簡単に引っ掛かって情けない限りだ。

 もし今回派遣されたのが俺でなかったらこんなことにはならなかった。


 新人という肩書きがあれど錆人取り締まりグループ、リメンバーに泥を塗るような仕事振りだった。俺は悔しくて唇を噛む。しかしまだ終わってない。


 こいつらに捕えられていたと推測するこの女性を安全な場所まで連れて行かなければ。


「まずはここを出ましょう。火柱も収まりつつあるので通れると思います」

「うん。…きゃっ」

「その怪我した足で歩かせるわけにはいきません。それにこの場所も酒瓶の破片が散らばっている。見ず知らずの男に運ばれるのは嫌かもしれませんが我慢してください」

「だ、大丈夫。ありがとう」


 俺は刀を鞘に入れて女性を横抱きにすると錆人グループの拠点である空き家から出ていく。後処理はヤコウ店長と相談してからにしよう。


 外に出ると清々しい夜の空気が肺へと吸い込まれる。すると持ち上げていた女性が縋るように俺の首に腕を回した。


「ごめん、今更怖くて」

「安心してください。奴らが追ってくることはありません。それに今から向かう場所は俺にとって最も安全な場所です」

「うん、ありがとう。えっとその名前って」

「俺はヨザクラです。貴方は?」

「私はメイ」

「可愛らしくて素敵な名前ですね」

「ヨザクラくんも凄く綺麗な名前」


 俺は小さく笑って酒場の方角へと歩き出す。謎が多すぎて内心は焦りと若干の恐怖があった。


 なぜ錆人が国家兵士団と偽れたのか。なぜ彼女…メイさんの気配を全く感じなかったのか。

 後者は単純に己の力不足が大半だとは思っている。それでもメイさんは普通の被害者には見えなかった。


 錆人取り締まりグループリメンバーの新人である俺でもわかる。この事件は沢山の糸で絡まっているのではないかと。


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