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15話 リメンバーの裏ボス

「ムムゥ。国家兵士団との連絡網が乗っ取られた件に続き、錆人が自ら襲い掛かる事が起こるとはな」

「クロバラ先輩の拷問でも大した情報は持っていませんでした。後は国家兵士団に任せるしかないですね」


 リメンバーに戻った俺はいつものカウンター席に座って一息つく。メイさんもヤコウ店長から出された飲み物を持ちながら静かに俯いていた。


 あの後、結局奴らが吐き出した情報は報酬金が多い依頼を受けたというものだけ。

 その依頼こそが検品の帰り道の俺とメイさんを襲うことだった。しかし証拠隠滅しながらの文面でのやり取りだったため依頼主はわからず終い。


 現在はクロバラ先輩が国家兵士団に引き渡しに行っているのでもう彼らと会うことはないだろう。


 けれど今はそんな錆人たちのことはどうでもいい。俺はメイさんの精神状態が心配だった。


「メイさん大丈夫ですか?」

「うん。頭の中を整理しているだけだから」

「怖い経験をさせてしまってすまなかったなお嬢さん」

「謝らないでください。店長さんもヨザクラくんも悪くないので」


 せっかく安心できる場所が作れたと思えば、俺と共に錆人に襲われる始末。

 メイさんは本当はここに居るべきではないのだろうか。


 彼女は動じない強さがあるけれど人間だ。辛い事が積み重なれば限界が来る。

 錆人から恨まれるリメンバーに居る限りこのような事が今後起きないとは言い切れない。


「……よし!一旦難しいことを考えるのはやめるぞ!」

「店長さん?」

「ガハハッ!2人には後で元気が出るヤコウ特製プロテインパンケーキを作ってやろう!それに今回の件では悪いことばかりではない!なぁヨザクラ」


 豪快に笑うヤコウ店長の視線はカウンターに置かれている瓶の中身に向けられる。

 そこには俺が回収した謎の火球が入っていた。


「クロバラの拷問によればこれは依頼主から送られた物らしいではないか!言わば純正品!これでうちのゾンビがしていた調査が明らかになるだろう!」

「ぞ、ゾンビ?ヨザクラくんゾンビって?」

「メイさんは知らないですよね。実はリメンバーには俺たちの他にもう1人居て…」


 すると会話の途中で酒場の扉が開く。どうやら兵士詰め所まで行っていたクロバラ先輩が帰ってきたようだ。


「帰ったか!クロバラ!」

「ええ帰ったわ。全く、頭が痛いことだらけよ」

「ム?何かわかったことでもあったのか?」

「そういうわけではないわ。私が勝手に頭痛を起こしているだけ」


 急いで帰ってきたのか乱れた髪を直しながらカウンターに近づくクロバラ先輩。しかし息は上がってなく彼女の体力の凄さを物語っている。


 そんなクロバラ先輩は俺の頭に手を乗せると乱暴に撫で回した。


「ちょっ」

「ヨザクラ。貴方これから姉さんの実験に立ち会いなさい」

「実験?もしかして火球のことですか?」

「ええ。今から姉さん呼んでくるから覚悟を決めておいて」


 何だかそのセリフ、俺が錆人たちに放った言葉と似ている。面白いくらいにブーメランとなって返ってきた。


 それにしても何の覚悟を決めるのだろうか。久しぶりに会うゾンビ先輩の実験。

 ずっとクロバラ先輩が相手していたみたいだけど、わざわざここに来て実験するということは調査の終盤まで来たのかもしれない。


「ガハハッ!お嬢さんはあいつに会うのは初めてだな?」

「は、はい。その前にゾンビって?」

「クロバラの姉でリメンバーの後方支援者だ!オレたちのように表舞台には立たない奴だから姿を見れるのはレアなことだぞ!」

「そうなんですね…!」

「国家兵士団でも姿を知らないっていう奴らが大半だからな。それくらい外に出ないからオレたちはゾンビと呼んでいる!」


 ヤコウ店長の紹介を聞くメイさんはレア者であるゾンビ先輩を想像して目を輝かせている。

 さっきまで頭の整理が〜と言っていたのが嘘みたいだ。やはりこの人、強い。


「ヨザクラくんはその人と会っているんだよね?」

「はい。同じリメンバーの一員なので」

「どんな人なの?」

「えっと……頭が良くて好奇心旺盛でクロバラ先輩が大好きなシスコンです」

「へぇ〜!」

「あとは小道具を作るのが上手で研究者でありながら開発者でもあります。リメンバーの縁の下の力持ちです」

「うんうん」

「ただそんな凄い才能の代わりに」

「代わりに?」

「クセが強いです」


 メイさんは目を点にして固まった。と同時に地下から不気味な笑い声とその声量に怒る凛々しい声が聞こえる。

 酒場に居た俺たちは全員、奥の扉に顔を向けた。



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