令和のカフェ店長
カフェ店長・平野成一はため息をつく。
今も店に「コロナだから営業するな!」と嫌がらせの手紙が入っていたりする。
もう還暦を過ぎ、いい年した成一だが、人は正義かつ多数側に回った場合、本性を剥き出す。果たして「感染症対策」が本当に正義で正しかった事なのかが、検証が必要だろう。成一の同業中間は、コロナよりこういった手紙を送りつけ、いい気分になっている人間の方が怖いと言っていた。成一も同感だ。
そうは言ってもネガティブ思考を引きずるわけにはいかない。店に入り、仕込みし、開店準備に明け暮れる。
成一のカフェ・未来は、平成元年からずっと運営していた。外観はシンプルな小さなカフェだが、中は明るい黄色の壁紙にし、インテリアも明るくポップにしている。観葉植物も花も溢れてる。
平成の煌びやかさを表現したい。令和の伊馬となってみれば、そんなカフェを作りたいくなった。特にこの時代は女が強い。時代を引っ張っていたのが男だけじゃない。音楽では歌姫も生まれたし、女性漫画家の活躍も記憶に新しい。
それにスイーツ。
女性が追い求めたスイーツの数々は、このカフェにも影響を与えた。流行のスイーツを追いかけて節操のないカフェと言われる事も多かったが、お客様には楽しんでもらえた。
成一は目を閉じる。
平成を彩った様々なスイーツ達が走馬灯のように目に浮かぶ。
確かに失われた30年と言われている。バブル崩壊後、日本の経済はずっと低迷したままだった。おそらく失われた40年と言われるだろう。
女性の社会進出も全てが善だったとは言えない。出生率は著しく下がっているし、最近は本音では専業主婦になりたがる女性も多いらしい。
政治家の問題、宗教の問題、戦争の問題も相変わらずある。人種などの差別もずっと問題視されるだろう。
それでも成一は平成は良い時代だったと思う。
女性達がキラキラしてた。スイーツ賀美味しくなった。成一にとっては、これだけで時代が良く見えたりする。何より平成は昭和のように戦争がなかった。それだけで丸儲けだ。
さて令和はどんな時代になるのだろう。
スイーツは、マリトッツォが人気が出たが、今は全く話題にのぼらなのが切ない。
猫型食パンも人気がある。ただ、これはパンなのでスイーツと言って良いのか微妙なところだ。
抹茶や塩スイーツも相変わらずの人気だが、今はカヌレが熱いかもしれない。コンビニでもカヌレを見るようになった。
カヌレは1995年〜1996年ごろに流行り、うちの店でも人気だった事があるが、第二次ブームがあるのも珍しくない。時代は繰り替えす。
願わくば戦時中のようにトウモロコシ粉の蒸しパンなどは流行りませんように。
意外なスイーツも流行って欲しいし、男性も気軽に楽しんで欲しい。コロナ自粛中は蘇が話題になったのは意外だった。蘇は平安時代のチーズで蜜をかけると案外美味しい。
そんな事を思いつつ、目を開ける。
今のところ令和は明るくない。コロナもあるし、戦争もある。もしかしたら日本でも戦争があるかもしれないという噂もあるが。
それでも気持ちだけは暗くしたくない。そう、平成みたいにキラキラしていたい。いつの時代もスイーツと共にあるように。
成一は、そう願っていた。
ご覧頂きありがとうございます。
これにて本編完結です。次は番外編更新予定です。番外編は令和編・店長の恋愛事情です。こちらは本編全部読んでいただいた方へのおまけ作品になります。ありがとうございました。




