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ノイシュヴァーベンラント転移?  作者: 赤目のサン
1章 大ドイツ國異世界転移?
4/5

1-4 濃霧の中に

「Scheiße!何が起きているんだ!」

広場での戦闘から生き延びたのはエルトマンと7人の部下だけだった。

最初の発砲の後、部下の1人が撃たれた。相手方も銃を持っていたのだ。

エルトマン隊は相手からお釣りが返ってこなくなるまで撃ち続けた。

だが数分撃ち続けた後、突如として霧が晴れ、最初から何も無かったかの様な

静寂が訪れたのだ。霧が晴れたと言っても、内陸部はまだ濃い霧に覆われている。

「エルトマン少佐、船に戻るべきです。」

「そうだな…。」

その時、部下の1人がある事に気付く。

「…!通りに我らがドイツの旗が掲げられています!」

気付けば、辺りの家全てにハーゲンクロイツが掲げられていた。

「…歓迎されていると思うべきか?」

エルトマン隊は港に戻ってきた。

港には基地の設営をしている船員らの姿があった。

「おーい!この街は何かいる―」

バン!

6人は驚愕した(1人はそんな暇が無かったが。)

船員らは、顔が大きく引き裂かれ恐ろしい程の笑顔を向け、

()()()()()()()()()()

彼等は銃を持っていなかった筈だ。

それなのに彼らは我々と同じくKar-98kで武装していた。

しかもボルトアクションであるKar-98kをセミオート銃の様に連射している。

こうしてエルトマン隊は全滅したのだった。

「あの霧に入ったのか大馬鹿者が!」

ドミニクが声を荒らげる。

「我々は知らなかったのですよ!」

「であるならば()()()()など見たことがあるというのか!」

今思えば確かにそうだった。何ならこの周辺の地理に詳しい彼に相談していれば

危険を事前に察知できたかもしれない。何が起きたかというと、

エルトマンSS少佐率いる11人の探索部隊全員が行方不明になっているのだ。

「Herr.ドミニク、あの霧は何なのですか?!」ベックが聞く。

「詳細な事は分らん。だがこの沿岸は幻影海岸と言われていてな。

航行中に、自分の乗っている船が突然消失するとか…。

一刻も早く此処を離れねば。」

「ですが、まだその11人はまだ生きているやも―」

「諦めろ。無理だ。…不要な損失を作ってしまったな。」

「…基地を設営中の6人を呼び戻せ。撤収だ。」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「おい!霧の中に入ってるじゃないか!」

「それが、突然物凄い勢いで霧が迫ってきて…。」

出航してから2時間後。エーリッヒ号は赤黒い濃霧に包まれた。

現在操舵室に居るのは、ドミニク、ベック、ヤーデブセン、

それと副船長のベルノルト・アッカーマン中尉、

二等航海士のヨハネス・ネスラー少尉である。

「霧から脱出する方法を知らないか聞きたかった為呼んだんです。」

「…残念ながらもう手遅れだ。」

「え?」

「霧に魅入られちまったようだ…Scheiße!」

「霧に…魅入られる?」

その時、艦全体に大きな衝撃が走った。

「こ、此処は…?」

気付けば、エルトマンは何処か薄暗い部屋にいた。

壁の松明で辛うじて部屋の輪郭が見えるという程だ。

「…!そうだライター…あった。」

エルトマンはライターに火をつけようとする。

「おわっ!」

蓋を開けた瞬間、ライターはぐにゃりと伸び曲がった。

「何だというんだ…。」

『エヘヘヘッ…』

後から声が聞こえた。振り返るとそこには…。

「なぜ貴様がここに…」

『ハハハハハハハハハハ!!!!!』

「…笑ってないで何か言ったらどうなんだっ!」

エルトマンはホルスターからスミス&ウェッソンM1917リボルバーを引き抜く。

バン!バン!

2発の銃声が響いた。だが銃声一発目の銃声はエルトマンのリボルバーではなく、

相手が持つ同型のリボルバーだった。

「ぐわっ!…ああああ!」

ヴァーグナーは腹に一発喰らってしまった。

『ハハハハハハハ!!』幻影はまだ笑い続けている。

「貴様は死んだはずではなかったのか…。

イヴェリジャ!」

スノウ・イヴェリジャ空軍中佐。

1939年一級鉄十字章と名誉鑑章にパイロット兼観測員章を

受章したドイツ國國防軍空軍のシュトゥーカパイロットである。

終戦後はトルキスタン地域において航空隊を指揮していたが、

1957年にベルリン空港でバラバラ死体となって発見された。

しかしそれだけで事件は終らなかった。遺体が発見された8時間後、

()()()()()()()()()()()()()()()

そしてそのイヴェリジャが目の前にいるのだ。

『エヘヘヘヘ…へんなぶきをつかいますね、おもしろいです。』

「?!」

イヴェリジャはそう喋った。

『こんにちは!わたしは、()()()()です!

イヴェリジャ?というのはしらないですが、わたしはトゥルムですよ?』

「トゥルム…?」

イヴェリジャは何故か"トゥルム"(ドイツ語及びライヒス語で塔)と名乗った。

『けが、してますね。なおしてあげましょう。』

「うわっ!」傷口から銃弾が飛び出した。

次の瞬間、傷口はなくなっていた。

『だいじょうぶですか?たいしょうさん。』

「あ、ああ…」誰がやったと思ってるんだ!と怒鳴りたかったが、

謎の力をもっているトゥルムが恐ろしくて出来なかった。

『どなるのは、やめてくださいね?でないと、ころしますから。ころしますから。

ころします、ころします。ハハハハ!!』

暗い濁ったブルーの瞳は狂気に満ちていた。

「痛てぇ…何だ、何が…。」

「岩か何かに衝突したようです!」

「な、何とぶつかった?!」

「岩か…?!」

「頭が痛い…。」

ジリリンジリリン!壁掛け電話のベルが鳴る。

「…すまんが電話を取ってくれ。」

ガチャッ「誰だ?」

「こちら機関室です、船首区画で軽度の浸水が発生。

現在応急修理を行っています。」

「了解、ありがとう。」ガチャン

「うぅぅ…。」

「Herr.ドミニク?!大丈夫ですか?」

「な、何が起きた…。」

「分りません、何かにぶつかった様です。」

船内の電気はまだついている。

先程あった電話の内容から考えても、被害は少ない様だ。

「船長、船首区画で軽度の浸水があったそうで、現在応急修理を行っています。」

「ああ分かった。それより何にぶつかったか確認しなければ。」

まだ昼前だというのに窓からは何も見えない。

ベックは甲板に繋がるドアノブに手をかけるが…。

「ん?開かない。」

何度もドアを揺らすが、ドアは全く開かない。

「何か割るものは…。」

「銃でも使いますか?」

「こんな狭い空間で発砲するな!跳弾したらどうする?いや…

…そうだな、離れろ…!」

ベックはドアの窓に向って銃を向ける。バン!と大きな音を立て

ルガー・パラベラム=ピストローレ1908から放たれた9x19mmパラベラム弾は、

なんと()()()()()()()、窓に突き刺さり止まった。

「ガラスが割れない…?」

「い、今の銃なのか?!そんな小っちゃい銃が存在するとは…。」

ドミニクが想像しているのは、火縄銃とかのかなり古い銃である。

「あぁ、銃だが…。」

「発射機構が何処にあるのか見当もつかん。しかも―」

そんな話をしている時、階段を昇る音が聞こえた来た。

「誰だ?」

アッカーマンが階段に向ってそう聞いた。だが次の瞬間…。









『エェビィイッヒ!』(わぁたしぃです!)

バン!

「うぐわぁっ!」アッカーマンが撃たれた!

「中尉!」

『アハハハハハハ!!!!!』

相手は拳銃を振り回し攻撃してくる!

バン!もう一発の銃声が響く!

だがその銃声は、ベックのルガー銃のものだった。

「…!ヴァーグナーじゃないか!?」

なんと、撃ってきたのは気象学者のエルヴィン・ヴァーグナーだった。

銃で撃たれたヴァーグナーは霧が消えるかの様に消えていった……。

「アッカーマン中尉大丈夫ですか?!」

「大丈夫に見えるか…。」

「えっ、いえ…。」

「よく見たらこの銃偽物だぞ?ヴァーグナーは何故撃てたんだ?」

ヴァーグナーが持っていたスミス&ウェッソンM1917リボルバーは

シリンダーがくっついていて給弾出来ないようになっていたし、

更には撃鉄は全く動かない。というかこの銃を持って()()のは

エルトマンだけである。

「ちょっといいか。」

ドミニクは黙ってアッカーマンの銃創の上に手をかざした。すると…?

「ぐわぁっ!」

なんと、激痛と共に銃弾が摘出され、何も無かったかの様に傷口が塞がった。

「えっ、な、何をしたんだ?」

「…?何をそんなに驚いている。ただ魔法を使っただけだろう?」

「「「魔法?!」」」

「これぐらいなら誰でも使えるが…まさか使えないのか?」

「魔法なんて御伽噺の世界にしかないぞ?」

「やっぱりか、道理で船から魔力を感じないと思ったよ。

帆船にしてはマストが無いから魔動船だと思ってたが、

この船は一体何で動いているんだ?」

「…すまんがこの船の機関部と推進方法は国家機密だ。」

説明しずらいから言った訳ではなく、作戦命令書には「この船に使われる

いかなる技術も情報も他国に漏洩してはならない。」とある。

…決して説明がめんどくさいから言った訳ではないし、

筆者がまだ詳しい設定が決まってないからベックに言わせた訳でも無い。

…正確には設定を忘れてしまったから言わせた訳では無い。

「…一応聞かないでおこう。だが帝國はそうはいかない筈だ。

その時まで期待して待っていよう。」

「しかしこれからどうする?」

「…我々の船員の中に一人ずば抜けた魔法を使える魔導士が居る。

彼女ならばこの状況を打破できるやもしれん。」

そうドミニクが言った。

「おお、魔法が得意な奴がいるのか。じゃあ客室に向おう。」

「あとは武器も必要だな。」

「此処の真下に武器庫がある。真下って言っても3階下だが。」

「では武器庫に行って武装した後客室に行き魔導士に助けを求める。

それでいいな。」

5人は歩きはじめた。

原案だと今頃ノーデラント王國にいる筈なんですが…。『赤目のサン』の執筆中に極西大陸を思いついたせいで北海が内海になっちゃった。

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