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ノイシュヴァーベンラント転移?  作者: 赤目のサン
1章 大ドイツ國異世界転移?
3/5

1-3 怒れるクラーケン!

「ドラゴン?冗談でしょう?」

「確かにこの目で見た。なあアルノー?」

「はい、確かに飛んでいるのを見ました。」

偵察機の帰投後、ベックはヴァルターとキルヒナーから

"ドラゴン"の情報を聞いた。

ベックは一瞬、異世界に来てしまったのではないかと思ったが、

すぐにそれは冗談だろうと頭の中で片づけた。

だがその考えはこの後すぐ代わる事になる。

ジリリンと壁掛け電話が鳴った。

「私がとります。」ガチャッ

「そちらに船長はいますか?」

「私だ、何の用だヤーデブセン君。」電話の相手はヤーデブセンのようだ。

「ああ船長、一応報告をと思って、

後部見張りが海面から大ダコが飛び出すのを見たと言っておるのですが。」

「大ダコ?それはどの位の大きさだ?」

「この船と同じぐらいとか。」

「あり得んだろうそれは―」

その時だった。

ガタァン!という轟音と共に船が動かなくなったのだ。

エーリッヒ号艦橋

「何が起きている!」

「分りません、機関部は動いているのに2knから速度が上がらんのです。」

「機関停止だ。……岩礁にぶつかったわけでもなさそうだが。

…ん?何だこれは。」

操舵室の海底地形レーダーに大きな影が映っていた。

「もしや先程の大ダコか―」

ジリリン!ジリリン!電話が鳴る。

「どうした?」

「こちら機関室だ!船の真下に何かいるぞ!」

ガチャン

「…一応だ、一応だがな…。」

ベックは艦内放送のマイクをonにして叫んだ。

「緊急事態だ!戦闘配置に着け!これは訓練ではない!」

「戦闘配置?何の騒ぎだ?…まさか。」

「なんという事だ…!」

ドミニクらヴェディウス・エルリッヒの女神号の船員達は、

胸の前で手を動かし、彼らの言う"身護の証"を作った。

船員達が見つめる窓には…。

船を沈めんとする触手が映っていた…!

エーリッヒ号の戦闘指揮所にて。

「クラーケンに遭遇するとは…。ドラゴンが居てもおかしくないですね。」

「ああ、…どっちもアハト・アハトで吹っ飛ばしてやろうか。」

その時だった。

船の中央楼に触手が現れた!

「中央楼にクラーケンだ!重機関砲でぶっ飛ばせ!」

中央楼に備え付けられた対空機関砲の20mm Flakvierling38と、

20mm MG151が火を噴く!

とてつもないクラーケンの叫び声と共に触手が木端微塵に粉砕された。

海面は血で染まった。

暫くして、クラーケンの死骸が浮き上がってくる。

「呆気無かったな。」

「クラーケンを倒したと言うのか?」

エーリッヒ号の会議室でそうヴァルターに聞いたのは、

ヴェディウス・エルリッヒの女神号の船長、ドミニクだった。

「この窓から下の甲板ご覧ください。」

中央楼と船首楼の間の甲板にクラーケンの亡骸が置かれていた。

因みに、そこまで大きくなかった(だがミズダコの2倍ほどはあった)。

「…信じられないがまさか倒すとは。…あなた方は皇帝陛下より

マグノリア=エルリッヒ皇帝勲章が与えられるだろう。」

「それは光栄だ、48年親衛隊上級騎士勲章と並べて飾らせてもらおう。

…だがあのような怪物があとどれ位いるというのか。」

「私はあれに初めて遭遇した、そこまで頻繁に表れるものではない。

だが度々、クラーケンや、シーサーペントに襲われて船が沈んだという話を

聞く程度だ。」

「シーサーペントまで居るのかこの海域は?」

ベックは嘆いた。

「ようやく陸地だ…。」

エーリッヒ号は偵察記録にあった中世風の港町に寄港した。

ズュートゲオルキアを発ってから実に5日ぶりの寄港である。

「人の気配がない…何だというんだ。」

「奇妙ですね…。」

異様なまでの静けさだった。湾内には二隻の木造帆船が停泊しており、

マストの先には赤と黄の旭日が掲げられていた。

陸を見ると、街の先は濃霧で全く見えないが、

霧の中に一ヶ所だけ、とてつもなく高い塔が顔を出している。

「あの塔は一体何なんなんだろうか。」

「移乗してボートを引っ張れ!」

大ドイツ國国旗を掲げ小舟の上で声を荒らげているのは、

ヴァルターの部下、ヴィム・エルトマンSS少佐である。

「―以上6名は此処に残って前哨基地を設営し、ついでに湾内の測量を行え。

残りの15名と私は街で探索を行う。よし出発するぞ!」

エルトマンら10名は街の中心へ向かった。

街の中に広場と思われる場所を見つけた。

「此処を一時的な前哨基地とする。」

枯れた噴水に国旗を立てかけた。

その時だった。

『ハハハハハハハハハハハ』

街全体が不気味笑いに包まれた。

「誰だ不気味に笑っているのは!」

突然、あたりが霧に包まれ、広場の外が全く見えない状態になった。

時間と共にその笑い声は大きくなっていった。

「…!教会方面に人影が見えます!」

1人がそう叫んだ。

『『きょうかいふきにひとかげげが』』

だがその声は何重にも聞こえた。

『『『『きうかいふきにひかげが』』』』

「何だ…何が起きている…。」

そして、エルトマンはある事に気付いた。

「かっ、囲まれている!…止まれ!さもなくば撃つ!」

『『『さもなくばうつ さもなけばうつ』』』

不気味に声が返ってくる。

「撃て!」

濃霧の幻影へ銃声を響かせた。

48年親衛隊上級騎士勲章…終戦記念として第二次世界大戦で特に戦果を挙げた親衛隊員に与えられた勲章。原案では51年親衛隊上級騎士勲章の予定だったが、終戦日をちょっと短くした為48年に。

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