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取り巻き令嬢、即死ぬ~乙女ゲー『マジ死に学園』のエクストラハードモードの最難関ルートなのでがんばる~

作者: だぶんぐる

思いついた設定で書きなぐったので、ちょっと読みづらいかもしれません。

タイトルは大好きな漫画のパロディ。中身もパロディ多め。

すみません、パロ厨で……

「あ、これマジ()に学園じゃね?」



何言ってるかわからねーと思うが、当時十二歳だった俺はそれに気付いた。


マジ死に学園-それは乙女ゲームで、正式名称は『マジックジェミニアカデミー~光と闇のミルフィーユ~』だ。マジ死に学園というのは俺が勝手に呼んでるだけで、公式の略称は『マジジェミ』だったと思う。姉が言ってた。

この乙女ゲーを俺は死ぬほどやった。姉が命令したからだ。


何言ってるかわからねーと思うが、姉の言うことは絶対だ。


ウチでは絶対なのだ。

マジ姉を敵に回してはいけない。ありとあらゆる方法で俺の社会的地位を奪いに来る。

まあ、他にも理由はあったけど。


で、姉に頼まれて(脅迫されて)、このゲームを死ぬほどやった。

いや、自分でやれよ。

と思わなくはないが、このゲームをやるには姉ではレベルが足りない。


死ぬほど難しいのだ。登場人物が死ぬほど死ぬ。


何言ってるかわからねーと思うが、死ぬほど死ぬのだ。


では、突然だが、あなたはファンタジーな世界の女子学生だ。

慌てて学園へ向かっていると、物陰から人が!

あなたならどうする?


一.男性のようだ。駄目だぶつかる!

二.女性のようだ。駄目だぶつかる!

三.男性のようだ。なんとか止まる!

四.女性のようだ。なんとか止まる!

五.気のせいだった。急ごう!



ちなみに、一と二と四と五を選ぶと誰か死ぬ。


一を選ぶとぶつかったゴロツキに因縁ふっかけられ強制戦闘。主人公と助けに入った女性が死にバッドエンド。

二を選ぶと物陰から出てきた女性にぶつかり殺して主人公が捕まり死にバッドエンド。

三を選ぶと結局ぶつかるのだが、相手はシルエットのままで立ち去っていく。のちに攻略対象の一番好感度高い人物だったと明らかになる。

四を選ぶと女性がびっくりしすぎて心臓マヒで死に主人公が捕まり死にバッドエンド。

五を選ぶと偶然そこにあった落とし穴に落ちそうになり、助けに来た女性がいたにもかかわらず、一緒に落ちて死にバッドエンド。


何言ってるかわからねーと思うが、これがこの乙女ゲームなのだ。


っていうか、そのいちいち助けに来た女性がいるの? って思うが、ほんと無駄に助けに来て無駄に死んじゃうのだ。死ぬ人数にノルマがある死神かなのかなんだろうかってくらい。


だから俺はリスペクトを込めて、『マジ死に学園』と呼んでいる。


それだけ死亡フラグのバーゲンセールなので、大抵みんな諦める。

姉も諦めかけた。けれど、茶色の隣国王子のエンディングが見たいからと俺に金を握らせた。無理やりタダ働きさせるのでなく、ちゃんと金を握らせてくる。

しかも、俺の手持ちを合わせると今欲しいゲームが買えるくらいの額を。

何故俺の手持ちの額を知ってるか分からないがそれはまあいいとして、いい稼ぎになるので俺は引き受けた。


死ぬほど死んだ。


夏休みを繰り返す某ラノベばりにエンドレスエンドして、ようやく茶色隣国王子のスチルをコンプした。


そして、俺はそのゲームにハマった。


何言ってるかわからねーと思うが、ドハマりした。


俺は、自分でもちょっと不安になるくらいコンプ厨である。

幸い、課金をしたらパソコンのハードディスクの中身を曝け出すという約束を姉としているため課金ゲーはしないのだが、課金せずに出来る作品はとにかくコンプまで諦めないコンプゾンビなのだ。


エンドレスエンドをエイト回くらい繰り返して、ようやくコンプゾンビはあと一つでコンプというところまでたどり着いた。


そして、死んだ。リアルに。


何言ってるかわからねーと思うが、マジだ。


ちょっと、マジ死に学園は、死に過ぎた。繰り返される死に、長時間の寝食を忘れてのゲームによる死亡。笑えない。ゲームのやり過ぎよくない。程々の休憩を。あと、栄養あるもん食べて風呂入って歯みがいて寝ろよ。

コンプ厨からすれば、マジ死に学園は危険なゲームドラッグだった。鬼畜ルート設定もさることながら、やればやるほど、『実は!』という事実が明らかになって面白かった。

キャラ絵が使いまわしだったり、途中変なRPG要素とかダンスバトルとか料理対決とか入ったが、ストーリーは良かった。

一人生き残らせる度に明かされる真実に震えた。

あと、一人、だったのに。


というのが、前世の記憶だ。


何言ってるかわからねーと思うが、まあ、今までが『何言ってるかわからねーと思うが話』であり、ここからは分かりやすい俺の『今の』人生の話だ。


俺は、とある令嬢の使用人の家系に生まれた。

自分でいうのも何だが『神童』と呼ばれていた。読み書き計算、そして、礼儀作法や歴史等勉学において全て素晴らしい能力を見せたからだ。

俺の両親が仕える主人は、俺のことを、俺と同じ年齢の自分の娘を守り導くために生まれたに違いない、と専属執事に召し上げた。とはいえ、年齢のこともあり、見習い、が付くが。

そして、この世界では専属執事になる際に行われる儀式で事件は起きた。


と、その事件の話の前にマジ死に学園の設定を話しておきたいと思う。


この国には、とある魔女による呪いが掛けられていた。

それは『双子の呪い』。

高貴な血を継ぐ者達は必ず双子で生まれてくるのだ。

そして、双子の片方が死ぬと、もう片方も死ぬ。

分かってもらえただろう、マジ死に学園の狂気の設定の一部を。

攻略対象の双子の兄弟も面倒を見ないといけないのだ。


しかも、あまりにも好感度を上げ過ぎると、決闘を始めて二人とも死ぬ。


いや、この呪いが分かってるなら決闘するなよ、と思うのだが、これも仕様なのだ。

二種類の好感度、【愛情度】を上げずに【友情度】を上げる、こんな赤白旗揚げゲームみたいなことを常にやり続ける、これが姉には耐えきらなかった。そして、俺を熱中させた。

呪い恐るべし。


そして、この双子の呪いへの対処がゲームの世界ではいくつかあった。


その一つが【誓約】(エンゲージ)と呼ばれる魔法だ。

これは互いに愛し合う男女が結ぶ魔法で、これにより双子の呪いが解けるというトンデモ魔法なのだ。

お分かりだろう、この誓約(エンゲージ)を行うことがハッピーエンドなのだ。

ちなみに、残された方も呪いは解けるが、色々あって大体死ぬ。流石です。


なので、俺はハッピーエンドで終えながら、片割れを生かすエンディングの為にエンドレスエンド四回分使った。


そして、これとは別に存在する方法が、【契約】(コントラクト)だ。


これは、自分の従者にこの魔法をかけることで、仮の呪い状態を生み出す。

例えば、AとBという双子がいたとして、Aと従者が、Bと別の従者が契約(コントラクト)を結ぶと、Aと従者、そして、Bと別の従者で呪いが適応される。

何も解決になっていないようだが、娘息子が同時に死ぬよりかはマシなので、従者に優れたものがいれば結ぶことが多い。ちなみに、攻略対象たちは自身が優秀であるが故に従者と結んではいない。なんでだよ。


まあ、というわけで、学園に通うのは攻略対象たちは双子の呪いを解く為の誓約(エンゲージ)を結べる相手を探す婚活目的もあるのだ。

ちなみに、友情度が高いと契約(コントラクト)エンドもある。

徹底的に低いと支配(ドミネイト)エンドがある。徹底的にいじめられて、死ぬ。

このイベントが見たいというドM様もいらっしゃるようだが、俺にはちょっとキツかった。ただ、コンプの為だけにクリアはしたが。


さて、話を戻そう。専属執事になる儀式の話だ。


ここまでの話で分かるかもしれないが、この儀式は契約(コントラクト)を結ぶ儀式だ。

信頼できる者を手元に置き、身を守らせる。

当時の俺は、自分自身が主人にそこまで信頼されていることを実感し、歓喜に震えていた。


そして、主人の大切な娘との契約(コントラクト)を結ぶ為、向かい合う。

儚げな白い髪と透き通るような肌、目は紅玉(ルビー)を思わせるような美しい輝きと強い意志に溢れ、見る者を引き付ける。


お嬢様とは何度かお話をさせていただいたことがある。

その時には、何故自分のような使用人如きが、と思ったものだが、どうやら契約(コントラクト)の為の面通しだったようだ。

確かに本人が認めないことにはいくら家の為といってもうまくいかないだろう。お嬢様も俺を認めてくれ、無事契約の日となったわけだ。


契約(コントラクト)は街の中心部にある教会で行われる。

神の前で誓いを立てるという意味合いで、聖獣一角馬(ユニコーン)に見立てた白馬と、神父ではなく魔法を補助する言語魔法士、そして、お嬢様のご家族及び使用人たちが参列する。

この式には結構貴族同士の見栄の張り合いもあるらしく、白馬の質や言語魔法士のステータス、あとは、参加する家の者の人数、そして、花などの飾りの豪華さ等すごい力が入っている。

今回は、お嬢様の白い髪色に合わせ、真っ白な花が所狭しと飾られている。

ちょっと結婚式みたいで緊張する。


そして、契約の言葉を言語魔法士の前で両者が交わし、光に包まれ成立。

と、そこで事件は起きた。

立ち会った言語魔法士曰く「見たことのない光の量が溢れた」のだ。

理由は分からないが、その溢れる量の光によって、俺は取り戻したのだ前世の記憶を。


「はあああああああああああ!??」


記憶を取り戻した第一声がこれ。

目の前のお嬢様は、お嬢様の柔肌だと裂けるんじゃないかってくらい目を見開いていた。

お嬢様には申し訳ないけれど、お嬢様が原因なので言わせてほしい。

お嬢様の名前は『シンディール=オマエワモゥ』


大事なことなので二回言っておこう。


お嬢様の名前は『シンディール=オマエワモゥ』



久しぶりに何言ってるかわからねーと思うが、多分制作側の悪ふざけだ。


通称、シンディ。

ヒロインをいじめる悪役令嬢の取り巻き令嬢で、青色眼鏡魔法士ルートのライバルキャラ。

ありとあらゆるキャラを救うことが出来る(っていうか、そこまで死なせる必要があるか疑問だが)『マジ死に学園』で、俺が前世で唯一救えなかった登場人物だ。

頭桃色ヒロインも黒色光俺様王子も白色闇僕王子も赤色筋肉剣士も青色眼鏡魔法士も緑色無邪気勇者も茶色隣国王子も金色高笑悪役令嬢も銀色糞真面目悪役令嬢も闇堕ちヤンデレ令嬢も爆発魔女っ子も淫乱夢魔も魔法学お爺ちゃん先生も青髭ムチムチ体育教師も購買部おばちゃんも犬も猫も、ラスボスの嫉妬の魔女すら救った俺が唯一救えなかった登場人物なのだ。

とにかく、シンディお嬢様は死ぬ。

作品の中で一番死ぬ。



先程出したゲーム冒頭の選択肢を覚えているだろうか、アレで死ぬ女性は全てお嬢様だ。

ゴロツキに因縁吹っ掛けられたヒロインを助けるために加勢して死に、ヒロインとぶつかって死に、目の前にヒロインが飛び出してきてビックリして死に、落とし穴に落ちそうなヒロインを助けようとして一緒に落ちて死ぬのだ。


それが、俺が契約(コントラクト)、主人が死ねば自分も死ぬ魔法を結んだ相手なのだ。

あまりの人生エクストラハードモードに思わず声を上げたわけだ。

というか、今までの神童っぷりも前世の遺産だったようで納得した。


そして、俺は考え直した。


『俺が唯一コンプできなかったゲームの最後の一人を救うチャンスを与えられた』と。


どうやらコンプ厨の性質が一番強く前世から引き継がれているようだ。


前世の死ぬほど死んだ記憶を駆使し、無限のルートが生まれかねないリアルの人生で一発勝負のハッピーエンドクリア。


エクストラハードモードの最難関ルートクリアミッション。やってやる。


と、そんなことを考えている間に、驚いた言語魔法士が放り投げた魔導書にビックリしたご主人様の奥様があげた奇声にビックリした聖獣代わりの白馬がお嬢様に向かって暴走を始めた。


何言ってるかわからねーと思うが、これがお嬢様『シンディール=オマエワモゥ』なのだ。流石です。


さて、まずお嬢様の無事。

そして、参列しているご家族の無事。

そして、お嬢様は動物が大好きなので馬の無事も必要だし、下手にどこか壊れると二次災害でお嬢様が死ぬかもしれない。

そして、契約の魔法により俺の無事も必須。

思い出し早々、ハードなミッションだ。


俺は、お嬢様の前に立ち、大声で身を守るよう指示を出す。

その声に反応し、俺の両親や使用人仲間はご主人や奥様の前に立ちはだかる。

これで、他の方たちは大丈夫だろう。

次に、暴走する馬に向かって駆け出す。

馬は減速することなく近づいてくる。

そして、俺を踏みつぶすように振り上げた脚を下した瞬間、お嬢様が悲鳴をあげた。

しかし、石と蹄がぶつかり合う音が鳴り響いただけ。

俺は、紙一重で躱し、馬に飛び乗った。

馬を御するべく手綱を握る。

しかし、それでも馬を落ち着かせるには時間も距離も足りない。

止まらない馬はお嬢様の元へ向かっていく。

あと、数歩でお嬢様と激突する。

そこで俺は術式を組み終わり魔法を展開する。

風魔法だ。

強い風が吹き上げ俺と馬を持ち上げる。もちろん、この風でお嬢様が死ぬこともあり得るのでお嬢様には〈優しく抱く風〉(ウィンドガード)の魔法をかけている。

俺はゆったりと浮かんだ馬を落ち着かせるべくコミュニケーションを必死にとった。足元の変化や大量の魔素マナを浴びたせいか我を取り戻した馬は俺を仮初の主と認め手綱にしたがってくれた。

ゆっくりとお嬢様の元に降り立つ。

吹き上げられた風に巻き込まれた白い花びらが舞い落ち、白馬に乗った俺とそれを見つめるお嬢様。


う~ん、スチルになれば中々の構図ではないだろうか。


まあ、執事とお嬢様が結ばれることはないだろうが。

とりあえず、完璧な仕事ミッションコンプリートだろう。


「お嬢様、ご無事ですか?」

返事がない。ただの屍のよう……ではないよね! ねえ?!


「お嬢様! 生きてますか!? お嬢様!」

「は、はぃい……あの……今、ちょっと心臓がどきどきし過ぎて、死に、そう、でしゅぅ……」


やばい、ちょっと、ナニコレ可愛い。

マジ萌え死にするかもしれん。

助けて。











一応、長編用読み切りです……

少しでも面白い、続きが気になると思って頂けたなら有難いです……。

よければ、☆評価もしていただけるとなお有難いです……。

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