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第8週目 前期中間試験

 保健委員会に入って1週間が経ち、訓練するがまだまだ上達しない海堂。


「はあ~」


「焦らなくても大丈夫ですよ。まずは体の仕組みを知ることです。体の仕組みを知れば、どこをどう押せばいいか、ここを押したらこうなるとか自然にわかってきます」


 委員会の白鳥が海堂を慰める。と、その時、白鳥のお尻に伸びる手が。


「例えば⋯」


 白鳥はそう言うと、伸びた手を掴み捻り上げた。


「イテテテテ」


 更に白鳥は、その手を回すと、手を掴まれた男子生徒も一回転して飛んで行く。


「この様に体の仕組みを知ればこんなことも出来ます。さあ、あなたはもう大丈夫な様なのでお引き取り下さい」


 白鳥は投げ飛ばした生徒に言うと、


「す、すいませんでした」


 そそくさと逃げ出してく。


「何をしているの。早くさっきの生徒からポイントを貰って来て」


「はい」


 海堂は逃げ出した生徒を追って行く。そして、なんとかポイントを受けとった海堂。


「それにしてもさっきの白鳥委員長は凄かったな。あの細腕で男一人を投げ飛ばすなんて。もしかして、久瀬先輩が言っていた勉強になるってこれの事だったのかもしれない」


 海堂は風紀委員会にまだ未練があり、これをマスターすれば風紀委員会に戻った時、役に立つのでは無いかと考えた。海堂は保健室に戻ると、


「白鳥先輩。生徒を投げ飛ばした、あの技を自分にも教えてください」


「先程も言いましたが、まずは体の仕組みを知ることです。そうしたら、おのずと結果はついてきます」


「海堂、お前も無茶なことを言うな。白鳥委員長は合気道の達人だぞ。簡単には真似できると思うなよ」


 竜崎が言う。そして海堂は委員長の言う通り、地道に訓練することとなった。


ー翌日ー


 今日からは試験期間中なので全ての部活はお休み。なので、保健室に来る生徒は居らず、保健委員会もこの期間中は自分たちの勉強に専念出来る。


「海堂くん、一緒に勉強しようよ」


「ああ、いいぜ」


 健太は放課後、一緒に勉強しようと海堂を誘う。


「じゃあ、どこでする?ファミレスか、それとも俺ん家でするか?」


「いいところがあるじゃないか」


 そう言うと健太の向かった所は、図書室だった。


「図書室?どこがいいとこなんだ」


 海堂は図書室に入ろうとすると、


「海堂くん、そっちじゃないよ。こっちだよ」


 すると健太は図書室の入り口とは別の横にある扉の中に入った。中に入ると豪華な造りのラウンジになっている。席は広く取られていて、間には仕切りがあり個室の様になっている。しかも、ドリンクバーが付いていて飲み放題、マッサージチェアまである。本は図書室に繋がった扉から入って取ってこないといけないが、この部屋に持ってきてゆっくり勉強出来るVIPルームだ。


「ここは一体?」


「ここはランキング学年上位TOP10だけが使うことが許される自習室だよ」


「へー。TOP10になると、そんな特権があるのか」


 当初、その豪華さに戸惑っていた海堂たちだが、早速勉強に取り掛かる。さすがVIPルーム、勉強もはかどり下校時間の夜7時までみっちり勉強した。そうすること数日、とうとう前期中間試験が始まった。


(キーンコン カンコーン)


チャイムが鳴ると


「始め」


 試験が始まった。試験は3日間で9教科行われる。赤点は60点未満で、赤点を取ってしまうと各教科ごとにマイナス100ポイント及び再試験になる。蘭王学院高校は進学校なので合格ラインが高めに設定されている。その一方で、成績優秀者にはポイントが与えられる。学年1位には1万ポイント、2位に5000ポイント、3位に2500ポイント、4位に1000ポイント、5位に500ポイント与えられる。


ー3日後ー


 試験も無事終わり、後は結果を待つばかり。


「ふ~。やっと終わったぜ。なあ健太、今日は帰りにどっか寄って行こうぜ」


「いいね、海堂くん。カラオケでもどう」


 その時、


「ずいぶん余裕だな。遊びに行くなんて相当自信があるようだが、それも結果が出るまでだ。それまでせいぜい浮かれいるんだな。最後に勝つのはこの俺だ」


 神崎が海堂に啖呵(たんか)を切って去って行く。


「何だあいつは。あ〜あ、なんかシラけちまったな。もう真っ直ぐ帰ろうぜ」


 海堂と健太は気分が乗らず、そのまま家に帰る。


ー5月の末ー


 テストが返され、前期中間試験の順位が決まった。そして、その結果を踏まえて5月の学年ランキングも発表される。

 海堂たちは、試験の総合点数と順位が掲示板に貼り出されるので見に行くことにした。海堂と健太はテストの出来は良く赤点も無かった。


「海堂⋯海堂⋯!」


 海堂は自分の名前を探していると、なんと1位のところに名前が。


「海堂くん1位だよ」


 驚く2人。と、横にもう1人驚く人物がいた。それは神崎だった。


「そんなバカな。なんで海堂が1位に」


 神崎は悔しさのあまり唇を噛みしめながらその場を足早に立ち去って行く。


「えー、2人とも凄いじゃない」


「結城さん」


「海堂くんが1位で、森山くんも5位。私なんて32位だよ」


 クラスメイトの結城 咲がやって来て言った。


「まぐれだろ」


 海堂は謙遜して言うが、彼はちゃんと勉強すれば良い点数が取れる男だった。入学試験の時も乱横高校の試験を受けるつもりだったのでそれ程勉強して来なかった。それでもこの学校に入れるだけの学力はあり、もし、勉強していたら1位合格も夢ではなかった。


前期中間試験の結果


1位  海堂 薫  855点 獲得ポイント1万。

2位  神崎 政近 851点 獲得ポイント5000。

5位  森山 健太 810点 獲得ポイント500。

32位 結城 咲 749点 獲得ポイント無し。


5月の学年ランキング


1位   海堂 薫  22000ポイント。

2位   神崎 政近 21600ポイント。

14位  森山 健太 5200ポイント。

87位  結城 咲  2200ポイント。


 試験の結果で、とうとう神崎と海堂の順位が逆転した。神崎は益々悔しさが込み上げてきて、どうしたら、海堂より上にいけるか考えるのであった。

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