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第7週目 保健委員会

 週明けの月曜日。海堂は生徒会室に呼び出された。


(トントン)ドアをノックする。


「入りたまえ」


「失礼します」


 海堂が生徒会室に入ると生徒会長の一条が座っている。


「悪いね、呼び出して。急で申し訳ないが君には保健委員会に異動してもらうことになった。明日から、そちらの指示に従って業務についてくれたまえ」


「⁉︎。何でですか、急に。俺が何か悪いことでもしましたか?もしかして、昨日学校帰りにハンバーガー食べに行ったことがバレたんですか。風紀委員の自分が校則を守らなかったのは悪いと思いますが、風紀委員会を辞めさせる事は無いじゃないですか」


「何のことですか?」


「うふふふ。そんな事してらっしゃったの?」


 生徒会長の一条は何の事かさっぱりと言った顔をし、副会長の西園寺は笑っている。


「えっ。そのことじゃないんですか?それじゃあ、まさか。昨日のスポーツテストで1年2組の金田とか言うやつを取り締まった事でそいつの親からなんか言ってきたとか。あれは校則違反を注意しただけで、こっちは悪くありませんよ」


「いや、別に苦情などは来てはないし、ちゃんと規定通り取り締まったのであれば、向こうが何を言ってきても、こちらとしてはいちいち対応はしない」


「じゃあ、何でなんですか?」


「今、保健委員会は委員長、副委員長とも女子学生がやっていてね。男手が欲しいとの事と、1年生の委員がいないと言う事で誰か推薦してくれと言う話が来ていてね。生徒会としては君をと言う結果になり、この度の異動ということになった次第だよ」


「そんな。ちょっと待ってください。風紀委員会だって自分がいなくなったら1年はいなくなるし、人手だって足りなくなりますよ」


「ああ、その事なら対策済みです。すでに風紀委員会からの委員補充の申請を承認していますし、心配する事はありませんよ」


 海堂は無言になる。海堂は無理矢理、風紀委員なったが違反者相手に体を動かすのは意外に気に入っていた。


「話は以上です。聞きたいことがもう無ければ、帰っても良いですよ」


「わかりました。失礼します」


 海堂は生徒会室を出ると、そのまま風紀委員会室へと向かった。そして、部屋に入ると、


「久瀬先輩、自分が保健委員会に異動ってどういうことですか?」


 海堂は久瀬に詰め寄る。


「今、生徒会長から聞いて来たんだろ。だったらそのとおりだ」


「でも、自分はやっと風紀委員に慣れてきたし、久瀬先輩が断ってくれれば異動しなくて良くなるかもしれないじゃないですか。自分がいなくなったら1年の取り締まりはどうするんですか?」


「それなら大丈夫だ。おい、入って来い」


「はい」


 部屋に入って来たのは1人の男子生徒。


「この男が、お前の後任だ。この男はリサの補助員として今まで手伝って来た1年で、しかもうちの道場の後輩でもある。お前の代わりとしては申し分ない働きをしてくれるだろう」


「後の事は任せてくれ」


 その男子生徒は言った。


「そんな⋯俺は納得いきませんよ」


「まあ、落ち着け。一条にも何か考えがあるんだろう。俺も悪い話ではないと思う。他の委員会を見るのも良い勉強になるし、何か得るものがあるかも知れない。やってみる価値はあるだろう」


「そ、そうですかね。先輩がそこまで言うなら」


「海堂、いつでもここに遊びに来てもいいぞ」


 リサが言う。


「道場でも待ってるからな」


「それは遠慮しておきます」


 こうして海堂は保健委員会に入ることとなった。補助員の健太はというと、海堂が異動となったため補助員の役も解除ということになった。


ー翌日ー


 今日から保健委員となる海堂、まずは保健委員会室に向かう。保健委員は放課後、主に保健室での作業となるため保健委員会室は保健室の隣にある。


「失礼します」


「はーい。どちら様ですか?」


「今日から配属になった海堂です」


「聞いてますよ、入って。私は保健委員長の白鳥(しらとり) (まい)、よろしくね」


「私は、副委員長の加護(かご) 郁子(いくこ)


 海堂が部屋に入ると2人は快く迎え入れてくれた。


保健委員長、3年 白鳥 舞、現在の所有ポイント14万2400。

副委員長、2年 加護 郁子、現在の所有ポイント69000。


「俺は任命式であったな」


 そこには、一緒に合格した2年の竜崎(りゅうざき) (とおる)もいた。


「じゃあ、保健室に行きましょう」


 委員長の白鳥のあとについて行く海堂。そして保健室に入ると、


目黒(めぐろ)先生、ここではタバコを吸わないで下さい」


 保健室でタバコを吸っている男性を白鳥を注意する。


「硬い事言うなよ」


 そこにいたのは、保健室の先生だった。


「紹介しますわ。こちらは保健室の先生で、目黒先生。そして、こちらは風紀委員会から転属になった海堂くんです」


「風紀委員会から来るって言っていたヤツか。おい、そこのお前、このことは久瀬には言うなよ」


「このこと?」


「タバコの事だ。アイツに知られるとうるせえからな」


「は、はあ」


「それはそうと、もう患者が来てるぞ」


「わかりましたわ」


「患者?」


「俺が説明しよう」


 竜崎が言う。


「保健委員会の仕事は学校の衛生管理と生徒への指導があるがもう一つ。怪我人のケアがある。この学校はスポーツも盛んなのは知ってると思うが、練習もとても激しい。それ故に怪我人も多く、毎日たくさんの生徒がやってくる。治療は先生がするが、その後のケアは我々保健委員がおこなう。具体的には肉離れした筋肉や伸びた筋をほぐしたり、痛めた場所のマッサージだな。もちろん、部活ごとに専属のマッサージする者がいるところもあるが、ここのマッサージ技術はプロ並みだ。実を言うと、俺も野球部にいた時ここの世話になって、俺は衝撃を受けた。そして怪我で野球が出来なくなった時、保健委員会に入ろうと思ったんだ」


 すると、3人は患者の生徒たちのツボを押しマッサージする。そして、それが終わると、


「ありがとう、スッキリしたよ。はい」


 マッサージを受けた生徒は生徒手帳を出すとポイントを支払った。マッサージは気軽に受けることが出来ないように有料になっている。ちなみにそのポイントは保健室の運営費となる。


ー帰宅時間ー


「今日はこれでお終いですね」


「そうですね」


「海堂くんも早く覚えて、みんなで頑張りましょうね」


「はい!」


 海堂は翌日からマッサージの訓練をおこなうことになる。ちなみに、保健委員会では1年間の訓練を受けたのち、試験で合格するとマッサージ各種の免許をとることが出来る。委員長と副委員長はすでに免許を持っていて指導も出来る。

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