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第3週目 生徒会

ー月曜の放課後ー


 体験入部の期間も終わり、1年生はいずれかの部活に所属する事になった。海堂は勿論、生徒会に入ることとなり、生徒会室へと向かった。


「失礼します。海堂入ります」


 海堂が入ると、すでに他の合格者がいて、早速任命式が始まった。


「合格者は5人ですか。まあまあの出来と言ったところでしょうか」


 生徒会長の一条が言う。


合格者の5人とは、海堂の他に、

1年5組、火野(ひの) 敦士(あつし)。スポーツマンタイプ。第一試験4位通過。

第二試験、体育委員会で更なる体力試験をクリアし合格。

現在の所有ポイント6000。

1年4組、吉川(よしかわ) 美和(みわ)。ボーイッシュな女の子。第一試験15位通過。

第二試験、放送委員会で情報収集の試験をクリアし合格。

現在の所有ポイント6000。

1年2組、香山(かやま) 哲也(てつや)。メガネを掛けた七三分け。第一試験7位通過。

第二試験、図書委員会で図書室の10万の本の中から指定された本を探す試験を

クリアし合格。現在の所有ポイント6000。

2年1組、竜崎(りゅうざき) (とおる)。唯一の2年生の合格者で元野球部。第一試験3位通過。

第二試験、保健委員会で要救護者を保健室に運ぶ試験をクリアし合格。

現在の所有ポイント21000。

海堂は、5500ポイント。


「まず、自己紹介をしよう。私と書記の青山は知っていると思うが、隣に立っている女子生徒は、生徒会副会長の西園寺(さいおんじ)くんだ」


「西園寺 美姫(みき)と申します。以後、お見知りおきを」


会長、一条 匠 3年 現在の所有ポイント23万7000。

副会長、西園寺 美姫 3年 現在の所有ポイント18万1500。

書記、青山 伸一郎 2年 現在の所有ポイント10万500。


「で、君たちの所属委員会だが、第二試験で合格した委員会に入ってもらう事になる。異論は無いかい」


「はい!」


 5人は返事をする。


「では、明日から委員会の仕事についてくれたまえ」


 会長の一条が言うと、海堂以外の4人は部屋を出て行く。


「?。海堂、どうした。何か用があるのかい?」


「生徒会に正式に入ったんですから、これで退学は無しになったんですよね」


「無論だ」


「だったら今をもって生徒会を辞めさせてもらいます」


「辞めたい?」


「そうです。退学がかかってるから入っただけで、それが無くなったらここにいる意味は無いんですから。それとも辞めたらポイントは無くなるんですか?」


「いいや」


「だったら辞めます」


「分かった。しかし、その前に聞いておいて貰いたい話がある。辞めるのは、その話を聞いてからでも遅く無いだろう」


「分かりました」


「話とはポイントの事だ」


「ポイント?」


「そう、ポイントだ。君も知っている通りポイントによって学年ごとに順位が決まり、上に行くにつれ待遇が良くなる。それともう一つ、ポイントは使用することが出来る。購買部や学食は勿論、個人同士の取引でもお互いの了解があれば可能だ。そして最大の使用方法は卒業の時だ。20万ポイントで行きたい大学の推薦が貰えて、100%入れる。更に30万ポイントで盟友会(めいゆうかい)に入会する資格が与えられる。盟友会とは主に蘭王学院高校の卒業生からなる組織で政財界に多くの人材を輩出している影響力の強い会のことだ。盟友会は日本、いや世界を動かしていると言っても過言では無い」


「自分には関係ない。大学にも行く気は無いし、何とかって会にも入るつもりも無いです」


「まあ、話は最後まで聞きたまえ。30万ポイント貯めて盟友会の入会資格を得るのとは別にもう一つ特権として校則を一つ追加することが出来る権利が与えられる。君のことは調べさせてもらったが、君は番長になりたいらしいじゃないか。もし、卒業前に30万ポイントを貯める事が出来たら番長の役職を作り、最強の男を決める校則を作ることもできるんだよ。どうかな?まあ、このまま退屈な高校生活を送るのもいいだろう。決めるのは君次第だよ」


 考え込む海堂だったが、


「その話、のった」


 海堂はまんまと会長の話術に引っかかったが、目的ができ、やる気が出てきた。


ー翌日の火曜日ー


 風紀委員会室では、委員長の久瀬(くぜ)と副委員長の女子生徒がいる。


委員長の久瀬(くぜ) 正輝(まさき) 3年 現在の所有ポイント15万6000。

副委員長の綾川(あやかわ) リサ 2年 現在の所有ポイント72500。


「今日から本格的に仕事をしてもらうわけだが、風紀委員の役目は校内における風紀の乱れや校則違反の取り締まり、美化の指導など学校の秩序を守ることだ。朝は校門での服装チェックや閉門作業。清掃時間では清掃チェック。休憩時間、放課後は校内のパトロール。違反者に対しては罰則としてポイントの徴収を行うことができる。現在、我が風紀委員は海堂を含め俺と副委員長の綾川(あやかわ)リサの3人しかいない。だから1年はお前に任せる。勿論、一人ではキツイだろうから誰か手伝いを探せ。委員には指名権が与えられ、生徒の中から委員会を手伝う補助員をつける事が出来る。まあ、まずはリサの下に付いて学ぶといい」


「ついてきな」


 海堂はリサのパトロールについて行く事になった。2人が廊下を歩いていると、走って曲がり角を曲がって来た生徒とリサがぶつかった。


「痛っ。気をつけ⋯はっ!」


 生徒はぶつかったリサに気づくと、


「すいませんでした」


 素直に謝る。


「廊下を走る行為、又、前方不注意で罰則マイナス130ポイントだ」


 リサは生徒手帳を取り出し、相手の生徒手帳からポイントを没収した。


「今度から気をつけます」


 生徒はそそくさと立ち去って行く。


「こんな感じで取り締まりをして行く。分かったか」


「はい」


 と、次の瞬間。リサは何かを感じたのか急に男子トイレに入った。


「先輩?」


 リサは男子トイレに入ると個室の扉を蹴破った。そこには、タバコを吸っている生徒がいた。


「喫煙は1000ポイントの没収、それと1週間の停学だ」


「くそっ」


 その生徒はリサを押し除け逃げ出した。しかし、リサもすごいスピードで追いかけ、後ろから飛び蹴りをお見舞いした。


「うげっ」


 生徒はリサに押さえ込まれ、


「喫煙に加え、公務執行妨害で1500の没収だ」


 呆気に取られる海堂。リサは空手有段者の強者(つわもの)だった。そして、下校時間になり、


「明日の朝、7時半に校門に集合だ。遅刻するなよ」


 こうして今日の仕事は終わった。


ー翌日の7時半ー


 校門で服装チェックのためリサと共に1時間立っていることになった。


「リサ先輩、おはようございます」


「リサさん、おはよう」


「おはよう」


 リサは生徒から人気があるようで、みんなが笑顔で挨拶してくる。リサは気が強いが美人で生徒には優しい。


 そして、1時間が経ち閉門する。今日は特に問題は無かった。


「明日からはあんたの担当だよ。さっきも言われたように大変なら補助員をつけな」


 リサはそう言うと教室へ。海堂も教室に戻って行き、席につく。


「海堂くん、おはよう。海堂くんは風紀委員に入ったんだね。どうだい?入ってみて」


「それなりにやってるが⋯そうだ!健太、お前風紀委員を手伝ってくれないか?」


「え、そんな。僕も吹奏楽部に入ったし⋯」


「大丈夫。時間がある時で構わないし、部活との掛け持ちもOKだと聞いている。勿論、ポイントの支給もあるらしい。だから頼む、この通りだ」


 海堂は手を合わせて健太に頼んだ。


「わかったよ。協力するよ」


「恩にきるぜ」


 こうして、海堂は健太とともに朝の当番をこなしていった。

ちなみに生徒は出席する度に10ポイント貰えるが、委員会に入れば出席するごとに100ポイント、補助員は50ポイント貰える。


ー金曜日の朝ー


 海堂たちはいつもの様に校門の近くで登校してくる生徒を見ていると、


「ちょっと待った。シャツの(すそ)が出ているぞ」


 男子生徒に注意する。


「あ?」


 その男子生徒は2年の権田だった。


「何だ、お前か。フン、一丁前に風紀委員気取りか」


「直さないと注意じゃ済まないぞ」


「わーたよ。直せばいいんだろ」


 権田は文句を言いながらも服装を正して校舎に入って行く。


「海堂くん。あの人知り合いなの」


「まあ、ちょっとしたな」


 海堂の風紀委員としての道のりは前途多難である。

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