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第14週目 前期期末試験

 今週は前期期末試験の期間で、放送委員会と新聞部も休みになり海堂は試験勉強を一人で頑張っている。当初は健太と勉強する予定であったが、健太が海堂の勉強の邪魔にならないようにと別々にする事になったのだ。それは海堂は6月の学年ランキングが27000ポイントの1位だったのに対して、健太は50位くらいまで下がり図書室のVIPルームを使えないため、海堂が良い環境で勉強出来るようにと一緒に勉強することを断っていた。


「あーあ」


 勉強に集中できない海堂は手を頭の後ろに組み天を仰ぐ。


とそこに、トントンと壁をノックする音が。そこには同じクラスの神崎がいた。


「?」


「ちょっといいか?今回は正々堂々と自分の力で海堂、君を負かして見せる。1位の座は君には渡さないから。言いたいことはそれだけだ。じゃあ」


「ああ、俺も負けないぜ」


 神崎はそれを聞くと去って行く。


「さあーて、勉強するか」


 海堂も勉強に本腰を入れる。そして勉強すること1時間、一息つこうとドリンクバーに行くとそこには風紀委員のリサがいた。


「リサ先輩!」


「海堂。あんたも試験勉強か?」


「はい。先輩もですか?」


「リサ、どうした?」


 そこに現れたのは久瀬だった。


「久瀬先輩⋯。もしかしてリサ先輩は久瀬先輩と一緒に勉強してるんですか?」


「な、なんだ、文句でもあるのか?」


 リサは何故か慌てた様子で言う。


「も、文句なんてありませんよ」


「やあ、海堂、お前も来てたのか。調子はどうだ?たまには道場に遊びに来いよ。稽古つけてやるぞ」


「はあ、そ、そのうちに、はい」


「それじゃあな、お前も勉強頑張れよ」


 久瀬とリサは勉強しに戻った。そして、海堂も机に戻ろうとした時、周りをよく見ると生徒会長や保健委員長の姿もあった。それもそのはず生徒会のメンバーは皆、学年ランキングトップ10に入っている。


「海堂くん」


 その時、吉川が話しかけてきた。吉川も6月の学年ランキング14600ポイントの5位なので、ここで試験勉強している。


「海堂くんも勉強してるんだ。あの⋯もし、邪魔じゃ無かったら私も一緒に勉強していいかな。海堂くんは前回学年トップだったでしょ。だから、わからないところを教えてほしいんだけど⋯」


「別にいいけど」


「やった」


 こうして2人は一緒に勉強することになった。そこに、


「ちょっとだけだよ」


「ダメだよ。ここはランキング上位の人しか入れないんだから」


 VIPルームを覗く結城と健太。


「海堂くんにわからないところをちょっと聞くだけだから」


「だから、ダメだってば」


 健太は止めようとするが、ぐんぐん入っていく結城。


「海堂くんはどこかな?あっ、いた」


 結城は海堂の後ろ姿を見つけ、近寄る。


「海堂く⋯」


 結城が声をかけようとした時、海堂の横に吉川の姿があるのを発見し、声をかけるのを止めた。そして、海堂が物音に気づき振り返ると、結城はとっさに物陰に隠れた。


「どうしたの?」


 吉川が海堂に聞く。


「いや、誰かに呼ばれたような。気のせいか」


 海堂は再び机にむかう。


「あー。私は何で隠れてるんだろ」


 結城はそう思いながらもその場を後にする。


「あれ、結城さん。海堂くんはいなかったの?」


「もう、いいの」


「?」


 VIPルームを出て行く2人。


「森山くん、どうしたら生徒会に入れのかな⋯」


「どうしたの急に」


「ううん、何でもない。気にしないで」


 何がなんだかわからない健太。


ー1週間後ー


 いよいよ前期期末試験が始まった。試験は中間試験と同じく3日間で9教科行われる。


 「始め」


 試験官が合図すると問題用紙を表にし問題を解き始める生徒たち。海堂も試験を受けていると後ろから視線を浴びせる生徒が。結城だ。海堂が吉川と勉強していたのを見た時から特に意識して海堂を見ていた。


 そして試験も終わり、数日後に試験結果が発表された。掲示板を見ると1位はなんと神崎だ。海堂は惜しくも僅差の2位だった。


「よしっ」


 小さくガッツポーズをする神崎。


「惜しかったね、海堂くん」


 健太がそう言うが、海堂はそれほど気にしていなかった。健太の順位はと言うと前回より1つ上がって4位。その一方、結城は順位がかなり下がり、かなり落ち込んでいた。原因はもちろん海堂のことで勉強に集中出来なかったからだ。


「結城、順位が下がってるみたいだけど、どうかしたのか?」


「あ、えへへ。今回は風邪気味で調子が出なかったのかも」


「そうなのか。気をつけた方がいいぞ」


「う、うん」


 海堂は自分が原因でそうなっていることとは露知らず、結城に言葉をかける。それは海堂が鈍感なのと結城もはっきり言わないことで、結城の思いは海堂には全く伝わっていなかった。しかし、(はた)から見ている健太はそんなことじゃないかと薄々感じていた。


前期期末試験の結果


1位  神崎 政近 849点 獲得ポイント1万。

2位  海堂 薫  847点 獲得ポイント5000。

4位  森山 健太 801点 獲得ポイント1000。

35位 吉川 美和 731点 獲得ポイント無し。

56位 結城 咲 696点 獲得ポイント無し。



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