表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/19

第13週目 体育委員長

ー7月ー


 新聞部の事件も解決し、放送委員会の応援も終了かと思いきや、海堂はまだ新聞部にいた。


「会長。放送委員会の件も解決しました。次は何をすればいいですか?」


「う~ん。今のところこっちはする事が無いんで、そのまま放送委員会で頑張ってくれたまえ」


「そうですか」


 1時間前に生徒会室にて、そんな話が海堂と一条の間でされていた。そして、時は戻り、


「海堂くん、君にやって貰いたい仕事があるんだけどいいかい?」


「はい、何ですか?」


 新聞部部長の木村から呼ばれて行くと、


「君には吉川さんと一緒に体育委員長の立花 剛造 氏を取材してもらいたい」


 そこにいたのは、放送委員の吉川(よしかわ) 美和(みわ)だった。


「彼女も研修で新聞部にきていてね。同期という事だし頼むよ」


「吉川です。よろしく」


「こちらこそ、よろしく」


「挨拶も済んだ事だし、取材の件だが。彼の日々の様子やインタビューを取ってきて記事にしてくれ。毎年、彼を取材しているんで協力はしてくれる。しかし、彼を取材するのはちょっと大変だよ。去年も一人、ねをあげて取材を交代した程だからね」


「えっ。大変って、何かあるんですか?気が難しくて恐いとか」


「会ってみたらわかるよ。それじゃあ、頑張って」


 木村の意味深な言葉に不安を感じながらも海堂は吉川と取材に向かう。木村部長の話では、立花体育委員長は今の時間、トレーニング室にいると言っていたので2人は行ったみた。


 そこにはベンチプレスをしている立花がいる。


「すいません。新聞部の者なんですが⋯」


 海堂が恐る恐る立花に話しかけた。


「取材に来たのか。取材をするのは構わないが、トレーニングしながらでもいいか?」


「勿論です。邪魔にならないようにします」


 立花はベンチプレスをしながらインタビューを受ける。そして立花の受け答えは海堂が思っていたものとは違い和やかでスムーズに進んだ。勝手に恐い人じゃないかと思っていた海堂は安心した様子である。


「ふう」


 立花は一息つくと、汗を拭く。海堂はもう終わりかと思ったら、


「次はランニングだ」


 立花はそう言うと外に走りに行き、海堂と吉川もその後を追いかける。


「立花先輩はいつもこんなトレーニングをしているんですか?」


 吉川が走りながら質問する。


「そうだ」


 立花はそう答えた後、走るスピードを上げた。吉川も慌てて追いつこうとするが、脚がもつれて倒れそうになる。


「あっ!」


 とその時、海堂の手が吉川の肩に伸びて、転びそうなのを助けた。


「あ、ありがとう」


「気を付けろよ」


「うん」


 吉川は顔を赤らめて返事をした。すると、立花は更にスピードアップして2人を引き離そうとする。2人は何とか喰らいついて行こうとするが、


「はあ、はあ。もう限界。後は任せたわ」


「無理しないで、学校に戻ってな」


 吉川は、ついていけずにギブアップしたが海堂は立花の横について走っている。


「なかなかやるな」


 立花は呟いた。


「何か言いました?」


「いや、何も」


 立花は結局10kmも走り、学校に戻った。そして、次のトレーニングへ。


「次はボクシングだ。お前もやってみろ」


 立花はボクシング部と共に練習を始める。海堂も立花の横でサンドバッグを叩く。


「いいスジしてるな。ちょっと俺とスパーリングしてみるか」


「えっ」


 立花の急な提案に海堂は断りきれずにリングに上がる。すると、立花は容赦無く打ちこんできた。海堂はそれを難なくかわす。海堂は今までの風紀委員会と保健委員会の経験のおかげで、相手のパンチがよく見えた。


「さあ、海堂も打ってきてみろ」


 言われた通り海堂もパンチを打ち、立花の顔面にヒットさせる。


「いいパンチ持ってるじゃないか」


 立花は海堂と体格が違い大きいのもあり、さほど効いていない様子。そして、お互いの応戦が続いてゆき、3ラウンド戦った。海堂は何とか逃げ切ることができ、スパーリングを終了した。


「よーし。今日のトレーニングはこれでお終いだ。お前、なかなかできるようだな。明日も取材に来るんだろ、今日と同じ場所で待ってるからな」


 そう言うと立花は機嫌よく、この場を後にする。


ー翌日の放課後ー


「すいませーん。海堂くんいますか?」


 1組に吉川が訪ねてきた。


「海堂くん?いるけど⋯海堂くん、呼んでるよ」


 声をかけられた結城が海堂を呼ぶ。


「海堂くん、早くいきましょう」


「わかった、今行くよ」


 吉川は海堂を迎えに来ていた。


「今日は、運動しやすい体操着で来たわ」


「俺もその方がいいと思って体操着にしたよ」


「じゃあ行きましょう」


 そう言うと2人は取材に向かった。すると、


「何、あの女子は。海堂くんと仲良く話しちゃって。しかもペアルックスでどっか行くなんて」


 結城は海堂が他の女子生徒と仲良くしているを見て嫉妬しているようだ。


「ペアルックスって、ただの体操着なんだけど⋯」


 ツッコむ健太。


 一方、海堂は今日も立花のトレーニングを密着取材し、吉川も今日はどうにかつい行く。そして、それが1週間続くと、最後の方では海堂はランニングも平然とインタビューしながらついていき、ボクシングも対等に渡り合っている。そして取材最終日。


「取材協力ありがとうございました」


 吉川がお礼を言う。


「いいや、こっちこそいい運動になって感謝している」


 あれがいい運動なんてと思う海堂であった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ