第12週目 新聞部
海堂は新聞部の護衛として、新聞部部長と一緒に新聞部の部室に行った。
「さあ、入ってくれ」
海堂が新聞部に入るとみんな忙しそうだ。
「すまない。今、来週の新聞の準備でバタバタしているんだ」
新聞部が発行する校内新聞は週1で出されている。
「まずは事件の詳しい話をしよう。先程も放送委員長の安西が言った様にうちにポイントの売買に関するタレコミがあった。そこで部員や情報屋に調べさせていたところ、例の脅迫文が送られてきたんだ。ちなみに情報屋とは各クラスに1人はいる情報提供者のことだ」
「それで、自分は何をすれば⋯」
「その事件を取材している部員と一緒に行動してもらいたい。取材は部員の方でやるから護衛の方を頼むよ」
「わかりました。任せてください」
海堂は、その事件担当の2年生部員と一緒に行動することになった。そして早速、取材に出かける2人。
「海堂くんは、ここで待ってて」
2年生部員は一人で取材をし、海堂は少し離れた所から周りを警戒して見ている。そして、部員は戻ってくるが成果は無かった。その後、他でも取材するが一向に手がかりは見つけられない。
「ダメだな。ここは一旦、部室に戻ろう」
海堂たちは部室に戻り、取材した内容をまとめていると、部屋の片隅で部員と一人の生徒が話している。
「あれは誰ですか?」
海堂が聞く。
「あれは情報屋だよ。クラスや自分の身の回りに起きた事を定期的に報告に来ている」
「へえ~」
と、そこにもう一人の情報屋が来た。
「今きたのは1年2組の情報屋だ」
「⁉︎」
海堂は、その生徒を見たとき知った顔だった。
「あれは⋯」
「何、知り合い?」
「いや知り合いでは無いですが、一度だけ会ったことがあります」
その生徒は、スポーツテストで会った金田という生徒と一緒にいた取り巻きの一人だった。そして、その生徒は話を終えると帰っていった。
「やあ、さっきの生徒は何だって?」
2年生の部員は話していた部員に話の内容を聞いた。
「いや、特に異常は無いそうだよ」
「それだけですか?」
海堂は納得いかない様子。
「?。何か気になることがあるの?」
「実は⋯」
海堂はスポーツテストの時の事を話した。
「なるほど⋯。そんなことがあったのか。じゃあ、その社長の息子の金田という奴が怪しいということだね」
「はい、親の力を使ってクラスメイトを脅す様な奴です。親の金でポイントを買収しようとしてもおかしく無いですよ」
「調べてみる価値はありそうだな」
話を聞いていた部長の木村が言った。そして、翌日から金田とその取り巻きたちを見張ることになった。
ー翌日のお昼休みー
海堂と部員の人は気づかれない様に金田たちの後をつけていた。2人は2組の情報屋に顔がバレているので髪型を七三分けにし、メガネをかけて変装している。
「動き出しました」
金田たちは、辺りをキョロキョロして警戒しながら、美術室の中に入って行った。海堂たちも美術室の扉まで行き、そっと覗いた。するとそこには金田たちの他に生徒がいる。
「本当にポイントを高値で買ってくれるのか」
「はい、100ポイント1万円で買いますよ」
金田は上級生らしき生徒にそう言う。
「わかった。でも大丈夫なんだな」
「それはもう、生徒同士のポイント移動はお互いの了解の上、正統な理由があれば有効なので、口裏を合わせていればバレませんよ」
「理由はどうする?」
「何でも構いません」
「じゃあ、俺がやってるバンドのライブを手伝ったことにしよう」
「わかりました、それでいきましょう。では、何ポイント交換してくれるんですか?」
「今、俺は新しいギターが欲しくてな。1000ポイントでどうだ」
「10万ですね。いいでしょう」
これで上級生と金田の取引は成立した。一方、海堂たちは、
「よし、おさめたぞ」
新聞部部員はビデオカメラでその一部始終を録画していた。しかし、その時、海堂があることに気づく。
「あれ?取り巻きの3人がいない」
すると後ろから声が。
「お前たちそこで何してる」
取り巻き3人がいつの間にか海堂たちの背後にいた。少し前、3人は別の扉から廊下に出てきていたのだった。
「金田くん、怪しい奴らが教室を覗いていました」
そう言うと海堂たちを金田の前に突き出す。
「お前たち、もしかして今の会話を聞いたな?」
「あっ。こいつよく見たら新聞部の奴ですよ」
取り巻きの情報屋が部員に気づいた。
「ああ、そうだ。今の会話もバッチリ記録させてもらった。これは大スクープだ」
部員は変装を解いて言った。
「ふん」
金田は顔で合図すると取り巻きがそのビデオカメラを奪おうとする。
「よこしやがれ」
「止めろ」
「その証拠さえなければ、言い逃れはいくらでもできる」
金田は取り押さえられた部員の手からビデオカメラを取り上げた。と、そこに海堂が金田の手を掴み握り締めた。金田はその痛みでビデオカメラを離し、海堂はそれをキャッチし取り返した。
「何だ、お前は?」
そう言われると、海堂も変装を解く。
「⁉︎。またお前か。毎回邪魔しやがって」
「今度は注意じゃ済まないぞ」
「お前たちコイツを黙らせるんだ」
「う、うん。わかったよ金田くん」
「何してるんですか。先輩も行ってくださいよ。生徒会にバレたら先輩もタダじゃ済まないんですよ」
「お、おう」
海堂に殴りかかっていく4人。しかし、海堂にあっさりとやられてしまう。
「何してる。早く立ってアイツをやっつけろ」
だが、4人は返り討ちにあって床にうずくまっている。
「後は金田、お前だけだ」
「調子に乗るなよ。例え、生徒会にバレたとしてもパパに頼めば揉み消す事なんか簡単にできるんだ。お前なんかに僕は負けない。やれろもんならやってみろ」
金田はそう言うと仲間を置いて逃げて行く。
「さあ、証拠も撮ったし部室に戻ろう」
その後、部員は部室に戻り、新聞の制作の準備に入った。そしてこのことは風紀委員会にも報告されて、金田たちはポイントの没収、及び3日間の停学処分となった。
ー3日後ー
金田は停学期間が終わり、学校に来ていた。そして、横には金田の父親が。
「パパ、今から生徒会室に行って、生徒会長に謝らせて、処分を撤回させてよ」
金田の父親は凄い形相をしていて、かなり怒っているようだ。そして、金田親子は生徒会室に到着し、中に入る。
「君が生徒会長かい」
「そうですが、どちら様ですか?」
「この人は金田産業の社長で、僕のパパさ。パパの力があればこの学校なんてどうとでもなるんだ。それが嫌だったら処分を撤回し⋯」
「申し訳無い。この通りだ」
金田の父親は息子の会話を遮るように土下座をして謝罪した。
「何してるんだよ、パパ。何で謝るんだよ」
「早くお前も謝るんだ」
そう言うと金田の父親は息子の頭を押さえつけて謝らせる。
「処分を撤回させに来たんじゃないか」
「馬鹿もん。お前は何もわかっていない。生徒会長といえば盟友会入りは確実な御人だぞ。そんな方に逆らってみろ、それは盟友会に逆らうことと同じこと。盟友会に目を付けられたらウチの会社などあっという間に潰されてしまう。だから早く謝るのだ」
「すいませんでした」
金田はやっと現実が理解できたのか謝罪をした。
「すまない。息子にはよく言い聞かせておくんで、盟友会には言わないで頂きたい」
「頭を上げてください、お父様。頼まれなくともそんな事しません。そもそも私にそのような権限はありませんし、盟友会ともまだ繋がりは無いので安心してください」
「ありがとうございます。それでは失礼します」
金田親子は低姿勢のまま部屋を出て行く。




