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追放された魔王の娘の下剋上  作者: ルナねこ族
第一章  捨て駒としての生活
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5.5話  確認



初代魔王と名乗る目の前の白蛇。


確かに威厳やら、尋常じゃない魔力量を感知できるのだが…



「ほ、本当に初代魔王ですの…?」



昔も今も、『自分こそが復活した初代魔王だ!』などと言ってのける魔族が…まあ少数いるのだ。


そんな出鱈目な事を言う魔族のせいで、リリが生まれるよりもっと前の話ではあるが、一度魔界全体が混乱した事件があった。


簡単に説明すると、『俺初代魔王〜!』と言った魔族に、ニッチなファン?信者?がついて行き、当時の魔王に反旗を翻した事件だ。


まあ結局、よくわからない発言をしたそいつのカリスマ性が足りなかったのか、はたまたそれまで持っていた運が尽きたのか、真相は定かでないが、内部で潰し合いが起きて平和が訪れた。


(魔法史に載るレベルで大掛かりな事件だったみたいね‥。)



家庭教師からその話を聞いた時、リリは必死に笑いを堪えていたものだ。


家庭教師の話自体はあまり面白くはなかったが…。



「ふむ…確かに疑うのも無理はない。…なら我の特技や好きなものを話せばわかってくれるか?」


「それの何処に初代魔王本人だって言える所があるの…?」



思わず彼の発言にツッコんだ。後、魔王の娘らしくもない間の抜けた顔を晒してしまった。


(え?もしかして天然…?天然なの?)



前世の友達にも、天然でびっくり発言する友達はいたが…それを凌駕(りょうが)している…。


本来、リリ自体はボケ属性が強いはずなのだが…これはツッコミに回らざるを得なかった。



「だめか…家臣たちにも何処か気が抜けていると言われてしまっていたのだ…てへ☆」


「てへ…?」



お茶目な反応をするのは良いが、登場シーンとのギャップが酷すぎる…。


(今会ったばかりの魔族にそれやられると、ちょっとあなたのキャラ掴みにくいです。)



真顔でただそれだけ思った。あららら…。


そんなリリの様子をちっとも気にせず、ゴマちゃんは少し考えるそぶりを見せ、ようやっとちゃんとした意見を出してくれた。



「それならば、我しか持っていないユニーク魔法の名前と、その効果を教えよう。それならばどうだ?」


「……それならば、選挙で当選した魔王にしか与えられない、秘密文書からしか伝えられてないものだから、信憑性が高くなるわね…。」


「よし…今回はツッコまれなかったぞ‥!」


「それ、喜ぶ所かしら?」



本当に目の前の人物が初代魔王だと言った事が、嘘のように思えてきた。…いや、嘘であって欲しい。


ゴマちゃんは一呼吸分間を置いてから、リリに初代魔王ゴーマ・ヴァイス・ミュラーのユニーク魔法名とその効果について語り始めた。



「我が所持せしユニーク魔法は『名もなき真実ファントム・レヴナント』。その効果内容は、だいたい要約すると…ある一定の条件を満たした場合のみ、我の都合の良い結果を現実世界に投影する事ができる…と言った所か?」


「す、すごい…本当に当たっているわ‥。」


「だから言っただろう?我は正真正銘、初代魔王ゴーマ・ヴァイス・ミュラーであると。」


「う、疑ってしまってごめんなさい!…初代魔王様に着せた数々の汚名…どう返上したら良いのか…。」



本物の初代魔王だと分かってしまった今、これまで働いてきた無礼な発言、どうすれば許してもらえるのか、リリは一生懸命に頭を回し、考えていた。


魔族が魔族なら、この場で即刻首をはねられてしまっても仕方が無い程の案件だ。


ましてや、相手は『この世で最も多くの天使を殺した、残虐非道な魔王』とまで呼ばれている人物。


嫌だ…まだ死にたく無い…!そんな思いがリリの頭を駆け巡る中、ゴマちゃんの出した条件は…



「今後、我の事を『ゴマちゃん』以外で呼ぶ事は許さぬ。」


「…え…?それだけ?」


「うむ!」



案外彼は、世の中で言われているような残虐非道な魔族ではなく、至極真っ当?で、ちょっとお茶目な魔王だったようだ。




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