第7話 魔族と人間
世界が誕生し、人間と魔族がそれぞれ誕生してから 約一万年の月日が流れた。
数ばかり増えすぎ、それぞれ国を造り暮らしていた人間たちは、食料や土地などを求めて同族同士で争うようになっていた。
相手を殺し、物を奪う、そして同族であるはずの人間たちですら、格下の存在として扱い、争いに敗けた弱者を奴隷として道具のように酷使した。
そうして、次々と国同士で争っては殺しては滅ぼしと繰り返すうちに・・・やがて表の世界に人間たちの国は一つのみとなった。
”ディストピア帝国”
当時のこの国の王は焦っていた。
なにせ、奪うべき資源を持つ国がもうすでに世界の何処にもないのだから。
今まで奪う事しか頭になかった人間たちには、他の物を育むという術を持ち合わせてはいなかったのだ。
困った人間の王は、自分たちの神 ”アポロ二アス”に救いを求めた。
「我々には、もはやこの世界に得られる資源がありません。 どうすればよいのでしょうか?」
ただただ一万年以上の間、与えられた資源を食い潰し、同族同士で殺し合いをしていた自らの眷族に呆れはしたが、自分のプライドを一番に考えるアポロ二スは
『この世界の裏側には、お前たちの知らない魔界と呼ばれる世界が存在している。そこには、溢れんばかりの資源が存在している。そこから採取すればよい。』
このとき、弟神であるアポロニアスはあっさり姉との約束を破り。
”表の世界に資源が無いのならば裏から奪えばいい” そう眷族たちに神託を出した。
こうして太陽神に”魔界に通ずる門”を与えられた人間の王は、資源を奪うべく魔界へと兵を送り込んだのである。
しかし、姉神であるニュクスは、弟がいずれは約束を破ると考えており、ついにその約束が破られた事により、
人間の大軍が攻めてくる前に自らの眷族たちに危険が迫っている事を告げるべく魔界に降臨した。
『あなた達という存在を脅かす存在が迫っていますが、恐れる必要はありません。なぜならば あなた達には、先祖から受け継いできた魔力と魔法を備えているのですから
その力を行使し、自分たちの世界を守りなさい。』
もはや、自分の可愛い眷族を守るためならば、弟の眷族と争うしかないと考えていた。そもそも向こうが一方的に約束を破ったのだ。これは正当防衛であり、人間に同情する必要は
ない。
そして、一月後、決戦の日が訪れた。
人間の世界は、百万の軍勢を用意し、神の名のもとに魔界の資源を奪取するべく魔界へと繋がる門を開いた。
門を開いた人間たちの目の前に現れたのは百を超える魔族たちであった。
初めて魔族を見る人間たちは、驚いた。一体一体が全く違う形をしているのだから・・ある者は、蝙蝠の翼を生やした獅子 またある者は全身が雷でできた妖精
その全てが自分たちには無い力を秘めていた。
逆に、魔族たちも初めて見る人間たちに驚いていた。 皆、同じような見た目、同じような甲冑に身を包み そして全く魔力を感じなかったのだから。
それもそのはず、太陽神は自分こそが至高の唯一無二の存在であることを眷族達に知らしめるべく余計な知識と力を与えなかったのだから、生まれた瞬間から進化を抑制された存在
それが”人間”だった。
片や、魔力という力を与えられ、自ら自然をゼロから創り上げていった魔族は地方ごと、種族ごとに多岐にわたる進化をしていった。
この差は圧倒的で、百万を超える人間の軍勢は成すすべなく、百人ほどの魔族に殲滅された。
これが、初めての魔族と人間の会合だった。