第22話 後始末
時は、少し遡りメアリー達が目を覚ます数時間前の事
ポツ・・ポツ・・・ザァー・・・
「あ~、やっぱり、降ってきましたね。」
メアリー達、フェアリーの3人を救いだした直後、雨が降り出した。
「紅太郎さん、どうしましょう?」
未だに眠りから覚めないメアリーを抱えながら、このままでは、この子たちが風邪をひいてしまうとあたふたする。
「そうですね、もう少し行った先に雨宿りができる洞窟があります。先に行って彼女たちを休ませてもらえますか?彼女たちが目を覚まし、落ち着いたそのあとで里に向かうとしましょう。」
そう言って、紅太郎が「彼女たちをお願いします」と抱えていたもう二人のフェアリーを香に預けた。
「え? 紅太郎さんは?」
「ちょっと、魔王としての仕事の後始末が残ってまして、それを終わらしたらすぐに合流しますので先に向かっていてください。」
「なら、私もお手伝いを・・・」
「大丈夫ですよ。すぐに終わらせて戻りますので、それに・・これは、僕がかわした”約束”ですからね。」
それだけ言い残し自分の翼から一枚の羽根を手渡し、紅太郎は、大きな燃え盛る翼を広げ天高く飛び上がり、そのまま香たちの前から姿を消した。
* * *
とある妖魔の森の中
「はぁ・・はぁっ・・じょっ、冗談じゃねぇ・・・」
一人の男が雨降る中、森の中をある場所目指して駆けていた。
「まさか・・処刑されたあの女が・・・魔王になっただなんて・・」
草をかき分け走るこの男は、王から、偵察隊の連中が虚偽の進言などをしないように送り込んだ王直属の密偵で秘かに偵察部隊を監視していた。
そして、あの光景を目の当たりにしたのだ。
「ハァ・・ハァ・・急いで、王や勇者様たちに報告しないと・・・」
「それは・・困るよ。」
男が、あとわずかで人間界に繋がる門にたどり着きそう直前、門の前に魔族が姿を現した。
「ばっ・・爆炎の魔王・・・」
そこに立っていたのは、先程まで香と会話をしていたはずの爆炎の魔王 火野寺 紅太郎その人だった。
「困るんですよね~彼女は、まだ生まれたばかりの新米魔王ですので、まだ彼女の存在を人間の王や勇者に知られるわけにはいかないんですよ。
だから、あなたをここから帰すわけにはいかないという事はお分かりいただけますか?」
男は、その瞬間、紅太郎から発せられた殺気を感じ、後方に下がるとナイフを構えた。
「へへっ・・爆炎の魔王つっても、この雨の中だと得意の火を使う事も出来ないだろ? それに知っているぜ!お前・・あいつらと約束していただろ?
俺達に手出しをしねぇと・・よ!!」
男は、勢いよく紅太郎に接近しナイフを振り下ろした。 が・・・そのナイフはいとも容易く受け止められ、そして軽く男の腹に紅太郎の黒いかぎ爪のついた手がそっとあてられ
「あなたは、二つ勘違いをしていますよ? 一つは、”彼女の前”にいる彼らに手出ししないという事、つまり、その条件下にない、今のあなたに危害を加えても約束は守られるという事。そして、もう一つは・・・”爆”」
男の腹に当てていた手のひらに魔力を込める。
「爆炎の魔王が炎しか使わないと思ったら大間違いという事ですよ? ”発”」
「ぐっ!! ぼぼぼぼぁぁぁぁぁ~~~~!!!」
紅太郎が、魔法を発動した瞬間に男は、倍以上の大きさに膨らみ・・・そして、破裂した。
「”風裂弾” 対象の中に風の弾を仕込み、中から増幅させて破裂させる。まぁ~対象に触れないと発動できないのが難点ですが・・」
と男が今まで存在していた場所を見やる
「まっ・・一番の問題は、周囲を汚してしまう事が一番でしょうか?・・・創爆」
辺りに飛び散った。男だった肉片を汚い汚物を見るような目で眺めた後、小型の昆虫型爆弾を創造し人間界に通じる門に貼りつかせ
「発!」
そのまま爆破、門は見る影無く粉々に砕け散った。
「これで、しばらくは大丈夫でしょう。あとは、お二人を迎えに行かなければいけませんねぇ・・・」
自分たちを送り届けてくれた二人の魔王の顔をおもい浮かべつつ、その場を去った。




