第20話 曇り空
まさか、こんな簡単に復讐対象者の一人に遭遇できるなんて、歓喜に震えそうになりながらも彼を殺すのに相応しい種を考える。
「じょっ・・冗談じゃねぇ!! お前を殺したのは俺じゃねぇ!! お前と同郷の勇者だろうが! だから・・・」
「だから、自分は関係ないと? 自分の憂さ晴らしの為に無関係な他人を傷つける事や森を焼き妖精を捕まえる事は許されると言いたいんですか?」
自分が生き残る為に必死に言い訳をしようとするリーダルドに本当に屁奇癖しながらため息を吐く。
「はぁ~、あなたの罪を清算するのにいい種を思いつきましたので、この子の実験に付き合ってもらう事であなたの罪を許しますね。 ”創種”」
手のひらの上にソフトボール程の大きさの種を生み出し、自分の足元に落とす。
地面に落ちた種は土の中に潜り、”急成長”のスキルで、すくすくと伸びていき巨大な人一人分入りそうな大きな口のような花を咲かせた植物が姿を現した。
「なっ、なんだってんだよ・・その草で、俺をどうしようってんだよ・・・」
腰を抜かして動けないリーダルトに巨大植物は蔓を伸ばし捕まえると、自分の口に近づけパクリとそのまま口の中へと放り込んだ。
しかし、ここからがリーダルトの悲劇が始まったのだ。
「お、俺は生きてるのか?ここは・・あの草の中なのか? うん?」
『シュゥゥ』という音と鉄臭い匂いに手元を見るとなんと着ている鎧が少しずつ溶けだしていた。
「!!!!」
辺りを見回しても自分を囲っている植物から溶解液が少しずつ噴出されてくる。徐々に鎧を溶かしだされ遂に肌にまで浸食してしまう。
「ぎゃぁあああああああ!!!痛い痛い!! 熱い 熱い!!! 助け! 助けて~~~~!!!!」
”創種 ”ヒトトリソウ”
「私がいた世界のハエトリソウっていう食虫植物を改良して生み出してみたの。改良した点は、大きさや、自分から獲物を襲う狂暴性、そして獲物を最大限美味しく捕食する為に死んだら蘇生させ骨の髄まで生きたまま消化するという三点!
まぁ~でも、その三点以外は特に弄ってないから安心してね、特に獲物をじっくり、ゆっくりと溶かして養分にするっていう点を一番重要視して残してあるから。」
しかし、そんな香の説明など、ヒトトリソウの口の中にいるリーダルドには聞いている余裕があるはずもなく
「ぎゃああああああああ~~~~~~~~!!!!」
森の中に断末魔が響き渡っていた。 この後、30日程かけて、骨の髄まで溶かされるまでリーダルドは事切れることを許されなかった。
「う~ん でも・・防音機能も入れておくべきだったなぁ、うるさくてしょうがないね」
美味しそうに獲物を捕食しているヒトトリソウを眺めながら今後の課題を模索する香
「いやぁ~、魔王もビックリな残酷な殺し方をしますね 香さんは・・」
燃える赤い体を少し青ざめさせながら、私に話しかけてくる紅太郎
「少しは、気が晴れたかい? 仇の一人だったんだろ? さっきの男は?」
「・・・あまり、いい気分って感じじゃないですね。」
香は、空を見上げると今にも雨が降り出しそうな曇り空が広がり、自分の心の内と同じような色だなぁと思い、眺めていた。




