第17話 魔王の思考
少しずつ燃え広がっていく森の中、男たちと香は対峙している。 男たちが、それぞれの武器を構えつつゆっくりと香を取り囲む中、香は、ただジッと立ち止まり思考し続けていた。
どうすれば、”こいつらを惨たらしく殺せるだろうか?”と
その思考を読み取るかのように脳内に様々な植物の知識が流れ込んでくる。
(これは、昔、読んだことのある植物図鑑? あとは、見たことが無い・・・これって魔界の植物かなにかかな?)
香りは、脳内に浮かび上がる大量の植物の情報を見ながら思考を重ねる。
「動かねぇな・・・今のウチにやっちまうぞ!」
「ウッドバインド」
全く動かない事をチャンスととらえ、男たちはリリィ達を拘束したように香へと魔術の蔓を放ち、捕縛する。
蔓は、香の全身に絡みつき、じっくりと締め上げ魔力を吸い上げていく。
「ハハハ・・いいぞ! このまま、この娘も頂いちまおう。身体は少し小柄で物足りないが、顔はなかなかのものだし売る前に少しは楽しめそうだぜ・・へへへ」
リーダー格と思われる男が香を見つつ、欲にまみれたゲスい笑みを浮かべた。
だが・・・
「汚い顔を私に近づけるな・・・”人間”が。」
まるで汚物を見るような目で男を見る。
今まで、黙ってなされるがままにされていた香の口から怒気のこもった言葉を聞き、たじろぐが男たちを驚かせたのは、もっと別のものだった。
「ばっ・・馬鹿な!! 私のウッドバインドが・・・」
香を拘束していたはずの魔法の蔓が切ったり、引きちぎられた様子もない状態で地面に落ちたのだ。
「し、信じられん・・・炎の魔族ならともかく、森の魔族が、あの術を解くことなど不可能なはず・・・一体なに・・・が!?」
フードの男が自分の魔法の蔓が効かない事が信じられず落ちた蔓を確認すると蔓から別の植物が生え、枯れ果てていた。
「き、貴様!! 私のウッドバインドに何をした!!?」
「創種 ”ヤドリギの種”」
「やっ・・・ヤドリギ?」
聞いたことのない単語に顔をしかめるフードの男にたいして
「私たちの元いた世界では他の植物に寄生して成長する植物があったの。それを私のスキルで品種改良して宿主の生命力を糧にそれを絞り尽くして成長するようにして、その種を、あなたの蔓に植え付けたのよ。」
自分たちが理解できない説明をされた男たちは戸惑ったが、ある言葉で嫌な予想が脳裏をよぎる。
「元いた・・・世界・・・だと。 まさか、貴様・・”異世界人”なのか?」
人間たちは長い長い魔族との戦いの歴史の中で、それをよく知っていた。
異世界人でありながら、自分たちと同じ人間ではなく、魔族であるという事がもたらす意味を・・・
彼女の正体が”魔王”であるという事。




