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第16話 静かなる怒り


悲鳴が聞こえてきた場所に駆けつけてみると、その場には人間の男たちと、植物の蔓で捕えられている人形ぐらいの小さな羽の生えた少年少女の姿があった。


「なんだ、貴様は? 新手の魔族か?」

一足先に駆けつけた私に対し数人の男たちが剣を向けてくるが、私の後ろから追い着いてきた紅太郎さんの姿を見て一斉に青ざめた顔をし、持っていた剣を落とす。


「ば、馬鹿な・・・なんで、こんなところに爆炎の魔王がいやがるんだよ・・・。」

人間界でも知らない人間は、いないとされる程に有名な魔王たち・・・その中でも最も残虐な魔王として名高く恐れられているのが今自分たちの目の前に立つ、

火野寺 紅太郎という人物なのである。


「や、やばいぞ・・・ど、どうする?」

「に、逃げるしか・・・」

今にも脱兎のごとく駆け出そうとする男たち しかし・・・


「あぁ、僕は今回見学のつもりだから”彼女の目の前”にいる君たちには一切手出しをするつもりはないよ。」


「「「「なっ!!?」」」

男たちは、紅太郎の言葉に驚きを隠せないでいた。 人間を見かけたら殺すことしか考えていないような殺戮兵器のような魔王(人間目線)が自分たちに攻撃しないと言っているのだ。


「そ、その言葉・・本当だろうな?」

「もちろんだとも、爆炎の魔王の名に誓って宣言するよ”彼女の目の前”にいる君たちには一切手出しをしない。 その代わり君たちには、彼女の相手をしてもらうけどね。もし、彼女に勝てたら君たちを見逃そう。もちろん他の魔族をけしかけるような事もしない。」


その言葉を聞いて男たちの絶望した心に希望が湧いてきた。魔族は誓いを決して破る事はしない、それは魔王とて例外ではないのだ。

つまり目の前の魔族の少女を倒せば自分たちは助かるのだと。


男たちは、再び武器をかまえ、ゆっくりと香に近づいていく。しかし、香の脳裏には先程の紅太郎と男たちの会話は全く入っていなかった。




(え、なにこれ・・なんなのこれは・・・)

香の眼の前に広がる光景、それは・・辺り一面、青く生い茂っていた草木が赤く燃え盛る光景である。


(酷い・・吐き気がする。どうしてこんな残酷なことを・・・)


魔族・・植物の化身であるマンドレイクに転生した香には、目の前で燃え盛る草木、花の苦しみの感情がなだれ込んできていた。


熱い・・苦しい・・助けて・・そんな感情全てをくみ取った香の思考は不思議と段々とクリアになっていき体中に魔力がこみ上げてくる。


(大丈夫だよ、みんな・・・仇は必ず取るからね・・・この場にいる全ての人間を・・・殺す。)

植物たちへの慈愛の心とは裏腹にここに居る全ての人間を殺そうと心に誓った。


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