第12話 魔法と思い出
「こんなすごい魔法が私にも使えるんですか?」
「はい、もちろんですとも、魔力は十二分に備わっていますし、それを行使する肉体は魔族に転生した時から問題ないですし・・・ただ」
「え? 何か問題でも?」
言葉の歯切れの悪い紅太郎に疑問を感じる。
「ま、まぁ・・・問題というほどのものではないのかもしれないのですが・・・この魔法には必要不可欠なのが”想像力”なんです。」
「想像力・・・?」
「より強い力を生み出そうとすればするほど、より強力なイメージの力が必要となってくるんですけど・・・・」
「つまり・・・どういうことですか?」
じれったい言い回しをする紅太郎に苛立ちを感じつつ聞き返すと、横で聞いていた剛毅が代わりに答えた。
「ようするに、妄想力の高い”中二病”の奴が一番強ぇ~ってことだよ。」
「・・・・・は?(どういうこと?)」
「簡単に言ってしまうと、彼の言う通りです。なので魔王になれる素質のある人物は・・・現在、過去で中二病を患った人が選出されやすいです・・・かくいう僕も・・・。」
「あんたにも心当たりがあるんじゃないか?」
「あっ!!・・・~~~~~~~~!!!」
恥ずかしそうにしている紅太郎と剛毅の問いに封印してきた私のPandoraボックスが開き、左手がうずくや眼帯に隠された魔眼などといった中学時代の恥部の記憶がよみがえり
私は、真っ赤な顔を隠してしゃがみ込んだ。
「はっはっはっは!! そんな恥ずかしがることねぇじゃねぇか、現に今、それが役にたっているんだからよ!」
「た、確かにそうかもしれないけど・・・う~あらためて言われると恥ずかしい。もしかして・・必殺技を叫んだり、詠唱なんかしたりしないといけなかったりしますか?」
「時と場合によっては・・・」
「~~~~~~!!!」
中学二年の時、私は、自分自身を花の精霊とか言って、手に植物の蔓などを巻き付けて恰好をつけ、よく母親に怒られていた。
「ゴッホン・・ま、まぁ~、それはおいて・・・とりあえず力を使ってみようか?」
「・・・・はい。」
羞恥心で死にそうだけど、今後のことを考えると力の使いかたを知っておきたい。
「まず、君の原初魔法は”創種”つまり、植物の種を創り出す力だろう。とりあえず、君の好きな花の種でも創造してみようか?」
「はい。」
手のひらに魔力をためるイメージで集中する。
(私の好きな花か・・・プリムラ、リシアンサス、フォーべシィ、ネリネ・・・・)
花屋の娘だった私は、当然色々な花を知っているが、その中でも・・・・
「え・・・?」
そうして、私の初の”創種”で生み出した種は・・・
「へぇ~、向日葵の種ですか。」
私の手のひらには、一粒の向日葵の種があった。
「そんな・・・どうして、これが?」
「「「・・・・・・?」」」
動揺する私に不思議そうな顔をする三人の魔王
(そんな・・今の私が、絶対に選ばないはずの花の種なのに・・・どうして?)
それは、小学生の頃に楓と一緒に育てた思い出の花だった。
「・・・・ま、まぁ~これで、力の使い方は、ある程度わかったかな? 次は・・・」
次の課題を紅太郎が提案しようとしたその時、
ガタッ!!
先程まで、黙って座っていた黄泉がおもむろに立ち上がる。
「キンキュウ・・・ジタイ・・・ニンゲン・・・シンニュウ・・・。」




