自白③
先生の告白は、更に続いた。
『それから半年程経ったある日だった。
「インターネット上で、先生の漫画の考察サイトの一つが‥凄い話題になっていますよ。」
そう言って、今里が慌てて部屋に飛び込んで来た。
彼はその場でパソコンを開いてそのサイトを見せてくれた。
「ストーリーが秀逸で、伏線が完璧に回収されている。ってかなりの反響みたいです。」
そう言って、僕に確認を促した。
でも、考察の内容を読む必要も、今里に詳しい話を聞く必要も無かった。
そのサイト主の名前を見た時、僕は直ぐに悟ったんだ。
今里は、「もしかして、ネタバレが流出しちゃったって事はないですよね。」って聞いてきたけど、僕は否定した。
その翌日、吾郎がやって来た。
半年前のあの日以来の訪問だった。
「秀樹‥‥、すまない。本当にすまない。」
吾郎は何度も何度も謝った。
そして言ったんだ。
「この責任は取る。必ず、僕がこれを凌ぐストーリーを考え出してみせる。」
だが、僕はその申し出を断った。
そして、吾郎に言った。
「お前のせいじゃない。そう‥元々僕自身の問題なんだよ。」
恐らく、吾郎に僕の真意は理解出来なかったと思う。
怪訝な表情をしていたよ。
「僕の事はもう気にするな。もう、ここにも来るな。」
そのまま、そう言って、僕は彼を追い返し‥‥、以降、吾郎には会っていない。
僕はこの日、気付いたんだ。
結局は、自分の漫画家としての実力不足がもたらした結果だと。
そもそも。今の作品の人気に伴う実力が、自分にはあったのか?
そもそも、自分で考えたストーリーだったら、他人に自分の運命を委ねるような事にはならなかったのではないか?
そして僕は、ネタバレした吾郎が考えたストーリーに戦いを挑むという決意をしたんだ。
吾郎を凌ぐアイデアを創り出してやろうと思ったんだ。
でも、結局‥それは出来なかった。
僕の考えた新しいストーリーは、読者の評価を得られず、作品の人気は下降し始め‥そして、不本意な最終回を迎えることとなった。
僕は、自ら挑んだ戦いに敗れたんだ。
そして‥連載が終わった僕は、期間を決めずに一人旅に出た。目的は勿論、次の作品の構想をゆっくりと考える事さ。
改めて、自分だけの力で、面白い物語を創り出してやろうと思っていたんだ。
でもね‥、結果として、僕は思い知らされてしまったんだ。満足出来るアイデアが浮かばないんだ。かって吾郎から与えられ続けたもののレベルには、どうしても辿り着けなかった。情けない話だけど、途方に暮れたよ。
そんな中、君からのメールが届いたんだ。
僕が出した君への宿題‥、その回答さ。』




