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先生が消えた理由  作者: 末広新通
12/19

ネタバレ

 翌日、僕は三人目の再会者の元へ向かっていた。

行き先は〇〇刑務所‥‥ではなく、某喫茶店。その個室を予約してあった。

 約束時間の10分前、先に到着した僕がレモンスライスの入ったお冷を手に取ったその時、早々と待ち人は現れた。

「関君、久しぶり~!変わらないねぇ~。」

待ち合わせの相手は、沙奈子さんだった。

 50cm程に伸びたストレートの黒髪、おとなしめのメイクに眼鏡をコンタクトに変えた沙奈子さんは、雰囲気が少し変わっていた‥‥が、話してみると以前のままだった。

 お互いの近況を報告し合い、20分が経った頃だった。

「‥で、今日の本題は?」

彼女らしい配慮だった。

‥そして、お見通しだった。

「聞きたい事があるんでしょ。それも私にじゃなくて‥」

 図星だった。

僕が本当に会いたかったのは、服役中の高杉さんだった。

会って聞きたい事があったが、親族でもない僕に、面会の許可は下りなかったのだ。

 僕は正直に話した。もしかしたら、沙奈子さんなら高杉さんから何か聞いているかもしれない‥そう思って今日会いに来たのだと。

先生の行方の心当たりについては勿論だが、それ以外に‥以前高杉さんが言っていた『許せん奴』の事を聞きたかった。

果たして、それが犬飼以蔵だったのか?何故高杉さんはその男を手にかけてしまったのか?‥知りたかった。

でも実のところ、今でも沙奈子さんと高杉さんに繋がりがあるのかは不明であって、ダメ元でもあった。


「高杉君には、今でも会うよ。」

あっけなく、沙奈子さんは、期待に答えてくれた。

 彼女によると、高杉さんと沙奈子さんは元々恋人同士という訳でもなく、寧ろ高杉さんから一方的に好意を寄せられていたらしい。ただ、服役中の高杉さんの事は気にかけており、婚約者と偽って許可をもらい、定期的に面会しているとの事だった。

「私、雰囲気ちょっと変わったでしょ。この感じの方が彼思いの婚約者っぽく見えると思ったのよ。」

彼女も中々の策士だった。

そして、彼女は精一杯の誠意をもって、僕の質問に答えてくれた。

 残念ながら、彼女から明智先生の行方に繋がりそうな情報は得られなかった。

然し、高杉さんの件については色々判った。彼女なりの解釈も加わっているとの事ではあったが、実際に高杉さんと面談した彼女の答えには信憑性があった。

 その主旨は以下の通りだった。

①高杉さんの言っていた『許せん奴』は犬飼以蔵の事だと思ってまず間違いない。

②高杉さんは、犬飼は考察したのではなく、何らかの手を使って先生の作品のネタバレ(最終回までのあらすじ)を手に入れたと考えていた。

③高杉さんは、犬飼を脅して、考察ではなくネタバレである事とその出処について白状させようとしたが、詰問の最中、刃物を手にした犬飼に襲われ、抵抗する中、その刃物が犬飼自身の急所に刺さり死なせてしまった。


これらについては、決定的な証拠がある訳ではなかった。然しながら、明智作品への高杉さんの思い入れ、その熟知度を知っている僕には、嘘だとは思えなかった。


「明智先生の行方、わかるといいね。」

「高杉さんの正当防衛も、認められて欲しいです。」

別れ際の沙奈子さんの言葉に、僕はそう答えた。

「ホント‥‥そうね。」

最後の彼女の言葉は、珍しくしんみりしたものだった。


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