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先生が消えた理由  作者: 末広新通
11/19

任意(?)聴取

 その後、不規則な混雑と閑散を何回か繰り返し、気づくと、時計の針は午後3時を指していた。

通常のパターンだと、これから5時までは来店客は少なくなる傾向だった。

案の定、客足は途絶えて来た。


「それで、明智先生とは連絡取ったの?」

思い出したかのように、石川優美が聞いてきた。

「それが、実は連絡が取れなくって‥‥ちょっと困ってるんだ。電話しても、毎回留守番電話だし、メールしても返信がないし‥」

僕が明智先生の元で再び働きたいという希望を持っている事を、彼女は何となく感じ取っているようだった。

それに、先程の件もあって、僕は正直に答えた。

 途端に、彼女の中のスイッチが入った‥‥気がした。

「何それ、それじゃあ、ラチがあかないじゃない。」

「まぁ、そうなんだけど‥」

そこからの石川優美は、探偵(?)というより刑事のようだった。

僕に対するソレは、さながら事情聴取‥


「『そうなんだけど』って‥‥。そもそも、休みに入る前、最後の日とかに先生から何か言われてないの?」

「特には‥」

「じゃあ、何か渡されてたりしないの?」

「渡されたもの‥‥、あるにはあるけど。」

「あるの?何よ?」

「臨時ボーナス、或いは餞別だったのかもしれないけど‥‥、お金だよ。」

「そのお金は何かに入ってたんじゃないの?」

「そりゃ、封筒に‥」

「その封筒の中は、ちゃんと見たの?」

「‥‥。」

「見てないの?」

「いや、だって‥その辺の銀行の現金封筒だよ。」

「見てないのね。」

「‥‥うん。」

パワーバランスは優美さん9、僕が1位になってた気がする‥。任意聴取と言えるようなものではなかった。

「その現金封筒、どこにあるの。」

「そのまま、お守り代わりに鞄の内ポケットに入れてあるけど‥。」

「今、持っておいで!」

最後は命令(?)になっていた。


 実際、僕はその封筒を開けた事がなかった。

中身がいくらなのかは関係なく、その全てを先生の再スタート祝の宴の軍資金に使おうと思っていたから。

でも、そんな僕の気持など、石川優美が知る由もない。

「大体、人様にお金を貰って‥その金額も確認しないなんて、非常識よ。」

手厳しい‥が、正論だった。

「さあ、開けてみて。」

促され、僕は封筒を開けた。

指先を差し入れ、中身を取り出した。

姿を現したのは。複数枚の1万円札‥‥。

数えてみる‥

その途中‥7枚目と8枚目の間‥白いメモ紙が滑り落ちた。

それを拾い上げた石川優美‥のドヤ顔‥。


結局お札は全部で10万円あった。

そして、メモ紙に書いてあったのは‥‥先生から僕への宿題(?)、と初めて見るメールアドレスだった



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