真実は違っていた
ドラゴンとタケルが出会ってから一ヶ月後の王宮…
「まさか一人でドラゴンを退治してしまうとは…」
「本当に凄いお方です。
たった一晩のパーティのお礼だったのでしょうか?
なぜ急に姿をくらませたのか…」
つい先ほど後発のドラゴン討伐隊の兵からの報告にしみじみと勇者に思いを馳せる王とその側近達。
勇者召喚によって勇者が現れたと喜んだのもつかの間、その日のうちに姿をくらませだと思いきやしばらくたつと約束した通りドラゴンが消えたのである。
勇者がドラゴンをなんとかしたという確証は王にはあった。
なぜならドラゴンが多数目撃された近隣の小さな町で勇者らしき人を見かけたと村人から後発のドラゴン討伐隊が報告を受けたのである。
しばらく町でドラゴン対策用の壁作りを手伝ったかと思えば事故にあった村人を救って再び姿をくらませたとの事だ。
村人にその人物が勇者だった可能性を伝えると村人らは絶望した顔をして居たらしい。
コンコンコンと、王の執務室がノックを受ける。
秘書が何やら対応して居たが王の前に青ざめた顔で震える令嬢が通された。
「お…王様…申し訳ございません…私、私…」
令嬢は、プルプル震え謝罪するが何を言いたいのかわからない。
王は隣の令嬢の執事に目を向ける。
「そなたが話せ」
「かしこまりました。
勇者がこの城を去ったのはお嬢様の一言によるものではないかと、お嬢様は気に病んでいらっしゃるのです。
勇者歓迎パーティーの日にお嬢様は、コルセットがキツく、ドレスルームにてコルセットを外すため脱ぎ始めたところ勇者が誤って入室してきてしまって…。
お嬢様が退室するよう求めたのです。それが、少しキツイ言い方になってしまったとお嬢様は…
しかし、私もその場に居たのですがあの場合仕方なかったのでは無いかと思うのですが」
「わ…私、先ほど勇者様がドラゴンを一人で討伐したとお聞きして…
私のせいでせっかく倒した後も戻ってこれないのでは無いかと…
どうお詫びしたらいいのか…」
なるほど。
状況的には仕方なかったのではないか…執事やメイドならともかく他の男性に肌を見せるわけにはいかない。
勇者は、この城のドレスルームの場所も把握してなく間違えたのであろうことも仕方なかったと言えるだろう。
王はため息をついた。
あの勇者がいつ、この国に戻って来てもいいように石碑を建てよう。
勇者を、讃える石碑を。
ありがとうございました




