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魔法が使えるだけの普通の女の子  作者: まるぱんだ
9.分かれ道で揺られて
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60.復習

 魔法陣を破り、魔法を止めた。ずっと待っていたが変化が無かったからだ。

 章末問題の文で求められていた魔法をよくよく読めば、その蛇は一分ほどでフェードアウトするはずだったのである。

 魔法陣を、もう一度よく確認する……が、複雑で分かりづらい。

 答えを見てみた。すると、確かに、魔法の最後の動きを指定する部分が異なっていた。

 しかし、初めにしてはかなりうまくいったと思う。


 二問目を見る。

 さっきの失敗を踏まえ、魔法の終わりの模様に気を配ろう……いや、その前に、もう一度そのページを見たほうがいいかな? いや、それよりさっきの問題の計算を見返すのが先か。

「あっ、これ……か」

 普通に計算ミスだった。魔法陣特有の計算、というわけでもなく。

 理解が足りなかったのならまだしも、それで結果が変わるのは悔しいかも。

 そこで、はるか前、魔法に目覚めて間もない頃に聞いた話を思い出す。

 ――流れ星みたいな光を作る魔法の呪文と、人ひとり傷つけるくらいの雷を起こす魔法の呪文は、ほんの少ししか変わらないんだって。

「……ひぇっ……」

 肝に銘じる。もうミスはしない。

 というか……これでは、練習を極めないと、この間のような戦いで使うのは危ないかな。

 しかし、もし使えたら、使える魔法のレパートリーがぐっと増えるだろう。


 ならば、道は一つ。

 ひたすら練習する。


 第二問を見る。

 もう一度、計算を繰り返した。

 出来上がった魔法陣。

 やはり、今までより線が重なって、緻密な感じだ。

 魔法を発動させると、魔法陣が光り、目の前に水の壁が出来た。

 ここまでは今まで通り。しかし。

 その壁は、円形に動き出し、円筒のような空間を作る。

 その水の壁には流れがあったが、ある瞬間、突然止まる。

 時間が止まるように。

 触ってみれば、冷たかった。凍りついたのだ。

 ストップウォッチで十秒測る。

 数秒の誤差はあったものの、氷はおよそ十秒で砕けはじめ、突如現れた火の玉によって液化し、蒸発した。

「……あっ、これって……!」

 もう一度、問題文を見直す。まさに、問われているものそのものの動きをしたのだ。

 解答をみれば、まさに、私が描いたものと同じだった。

 自然と、ガッツポーズをしてしまった。この感覚は……学校の問題集を解いていた時も、感じたかも。でも、その時より強い、達成感と呼ばれる感情だった。


 従来のやり方では、壁や玉といったものに、自由には動きがつけられなかったのである。

 魔法陣の仕組みがわかればわかるほど、自由度が増すという事だ。


 ふと、昔、祖母が見せてくれた魔法を思い出す。

 いつかは……いつかは、あんな風な、人を魅了する魔法を、繰り出せるようになりたい。

 いつになるかはわからないけれど。

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