表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法が使えるだけの普通の女の子  作者: まるぱんだ
6.ルルーの気持ち
34/102

33.教室

 次の朝。

 またまた、なんて事ない日常。


 というのは、寝ぼけた頭で考え出した結論で。


 教室に入ったら、いつになく盛り上がっている。

 女子も男子も、みんなが、数人のグループになって、なにかを頻りに喋っている。

 映画かドラマの話かな? 私には関係ないや。

 などと考えるなんて、よほどボケていたらしい。

 そもそも、なぜ今日は眠いのか。

 それは、昨日寝るのが遅かったから。

 ではなぜ遅かったのか。

 それは、新しい魔法の呪文を……あっ!


 そこまで考えて、聞き耳を立て始めた。

「おはよう〜」

「おはよ!」

「昨日の強盗がどうなったか、個人的にすごく気になるんだけど!」

「そう! その話を今してたの!」

「えっ、でさ、でさ、何かあったの?」

「それがねー、あ、りっちゃんが言ってよ」

「今日ね、朝早めに学校来たんだけどね」

「うんうん」

「それで、校舎に入ろうとしたらね、扉のとこに、何かあるの!」

「それでそれで?」

「で、見たら、人が倒れてたのよ、三人くらい!」

「ひえっ、こわっ!」

「それでね、すぐ先生に言おうとして、ふっと思って、あの、いけないのはわかってるんだけどさ」

「うん」

「その人が持ってたカバンの中、そぉ〜っと、覗いてみたの」

「ダメじゃん」

「そしたら、なにがあったと思う? いっぱい、諭吉の束よ! 万札がどーっさり!」

「ええっ!」

「ええっ、でしょ! 多分あれ、犯人だよね!」

「りっちゃんさ、それ、くすねたりしてないよね?」

「するわけないじゃん〜!」

「つまんね〜」

「え、その人たち、生きてた?」

「わかんないなぁ〜っ、あ、でも、地味に動いてた気はする」

 おしゃべりの陽キャがそれを目撃したせいで、ここまで盛り上がってしまったというわけか。

 私はその瞬間を見たわけだが、それをここで言うと面倒な事になるだろう。

 何となく、自分だけがそれを知っているというのが、優越感ではないけどそんな感じの気分。


 ほどなく、ルルーが教室に入る。

「おぉ、るりあー! おはよ!」

「おはよう……」あ、彼女も眠そうだ。

「ねえねえ、聞いてー!」

「ん、何?」

 そして、また、ルルーに同じように喋っていた。

「なーんか怖いよね!」

「う、ん、そだねー!」

 あはは、と笑うルルー。

「一体何が起こったんだろー」

「先生に報告したら、先生も知らないみたいだったよ!」

「あ、そうなんだ!」

 ちょっと、安心した感じで笑う。

 いや、よくこんなにポーカーフェイスを保てるな。凄い。


「はい、おはようございます。席についてー」

 教卓に先生がやってくる。

 ショートホームルームで、案の定、例の強盗の話。

「えー、このような事があって、犯人は、無事確保されました。何か、えー、この件について知っている人があれば、情報くださいとの事です。それで、えー、もし、この中に、犯人を、なんだろう、無力化、した人がいたら、伝えてください。警察が、お礼を言いたいとの事です」

 教室がざわついた。


 私は、ニヤリとしてルルーを見た。

 相手は一つ、ピースサインを出したが、慌ててメモ用紙に何か書く。

『昨日のこと、絶対誰にも言わないでね』

 それに対して、下手なりに丁寧な字で返事する。

『うん、分かってるよ』

 素早く笑みを交わし、授業の準備を始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ