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魔法が使えるだけの普通の女の子  作者: まるぱんだ
6.ルルーの気持ち
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31.陰影

 家。

 自室のベットで寝転がりながら、今日あったこと、今日聞いた話を、一つ一つなぞる。


 ルルーは、代々続く魔法使いの家系に生まれた。

 その家系が持つ力は、第一級と言える。

 しかし、魔法の種類が、普通のそれとは違う。

 昔、大昔、亜流として生まれてそのまま発展した派閥であり、私たちのような、いわば「正当な」魔法使いと、対立してきたのだという。


「黒魔法」を扱う、「黒魔術師」。

 心を惑わし、他者を傷つける魔法に特化した魔法使い。

 ななみが学んでいる魔法が「光」なら私のそれは「陰」なんだ、と彼女は言った。


 ルルーは、物心ついた時から、魔道書に触れていた。

 初級、中級、上級、専門書……まだ幼い、物覚えのいい時期に、どんどんと吸収していった。

 小学校中学年では、すでに、家にある魔道書の中ならば、全ての魔法を自在に操れるようになっていた。

 当時は、周りの人に褒めてもらえるのが嬉しくて、必死で杖を振り、魔法陣を描いたのだと言った。


「エキスパート、なんだね……」

「黒魔法のエキスパートよ。人に危害を加えるのよ。手も触れずにね」

「でも、すごいなぁ……」

「……怖いと思わないの?」

「思うけど、尊敬と興味の勝利」


 今の私は、光、火、水、といった球を、魔法で作り出せる。

 しかし、黒魔術師は、そういった球は作れない。

 代わりに、「闇」の球を作る。

 真っ黒で、強大な魔力を持つという。

 ああ、それで、私が光の玉を作れるかって、聞いたんだ。


 中学生になると、自分の魔法に違和感を覚え始める。

 一日に何度も、自分の使える魔法を思い起こしては、何か悪いことをしているという感覚にさいなまれたらしい。黒魔法という言葉を知ったのも、その時だという。

 これを後世に伝えていくのがこの家の使命なのよ、と母親に言われた。

 その時どんなに魔法を捨てたいと思ったか、と声を荒げた。


「今だったらわかる。なんとなくだけど。黒魔法が、なんでこの世にあるのか」

「……え?」

「……白魔法……つまりななみの魔法は、光。人々を導いて、喜びをもたらして……今がどうであれ、昔はきっとそうだった」

 そういえば、あの例の「絵本」にも、それが書かれていたはずだ。

「黒魔法は陰。光があるところには、絶対に陰がある」

 そう言って、街灯の光に、手をかざした。

 真っ黒な道に、白い光。それが、手の形に遮られ、くっきりと「影」を作った。

「だけど、明るい、陰のないところで光を投げかけても、別に、変化があるように見えない。」

 街灯の下で、スマホのカメラのフラッシュを点け、手をかざした。

 陰はおろか、フラッシュの光の輪郭も、ぼやけていた。

「……つまり、光があるから陰があって、陰があるから光がある……?」

「かな、と思ってる」

 そう思うことで、黒魔法を捨てようという気持ちを押し込めたのもあるけど。と言った。

 まあ、さっきみたいに悪い人を懲らしめたりするのは黒魔法が向いてるし、戦いに特化してて便利だし、って後で気づいたんだけど。とも言った。

 そして、意を決したように、もう一回、ほうっと息を吐いた。

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