28.注目
「瑠璃亜ちゃん、だったよね?」
「うん、『ちゃん』は無くていいよー!」
「可愛い名前だよね、えっと、じゃあ、るりあ?」
「ありがとう! えっと、ごめん、名前、なんて言うの?」
そして、一人ひとり、名前と、ニックネームを言っていく。
早く覚えてもらおうとしてか、みんな、ユニークな自己紹介だ。
初めはおずおずとした感じだったのに、きっと、ルルーが気さくだからだろう。
そういや、私と初めて会った時も、そうだった。
いくら、私が、彼女と「同じ」魔法使いだったにせよ。
「わあ、目も可愛い! カラコン?」
「いや、これは……」
そういや、これの弁明はどうするのかな。魔法使いだからとは言えまい。
「お母さんも、こんな感じなんだ! 遺伝かな…」
すごい。恐らくは事実だ。ちょっと、うろたえた感じの顔だが、嘘を言ってはいない。
それでいて、誰も不思議には思わない。
「えー、いいなー! うちのお母さんもそんなだったら良かったのになぁ」
「もしかして、ハーフとか? すごい!」
あ、それについては、笑ってごまかすんだ。
「いいねえ〜っ! うちの学校に、るりあみたいな美人が入ったら、ハクがつくよ!」
大げさでは?と思ったが、ルルーほど可愛いと、そうもなるか。
「いやいや、みんなの方が可愛い……というか、見た目なんて、もし仮に良かったとしても使わないし!」
「そんなことないよー!」
「それより、勉強頑張らなきゃ! また、わかんないとこ教えてね。」
「いくらでもどうぞ!」
「ありがとう!」
「バカ、私の方が、点高いでしょ! るりあ、こいつじゃなくて、私になんでも聞いてね!」
「あはは、ありがと!」
そして、チャイムが鳴る。
あのメモを渡さないことには、ちょっと気まずいな……
と思っていたが、ルルーが先に話しかけてくれた。
「ななみ、また、学校とか周辺とか案内してね!」
「う、うん!」
あ、よかった。
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その日の授業が終わり、ショートホームルーム。
先生が、険しい顔で口を開いた。
「新学期始まって早々、警察から連絡がありました」
みんな、えっ?という顔。驚きというより、理解が追いついてないような。
先生は、一呼吸おいて、真剣な顔で続ける。
「隣町で、強盗がありました。犯人は、刃物を持ったまま逃走中です」
みんな、「こんな日に物騒な……」とか、「えー、こわ」とか、ざわざわしている。
ルルーも、目を見開いているようだった。
「なので、えー、皆さん、なるべく一人で帰らないように。みんなで、出来るだけ早くに帰りましょうね。先生達も、主な道に何人か立っている予定ですが」
まあ、大した事にならぬまま、怪しい人に会わずにいつのまにか確保されているパターンだろう。
そう、思って聞き流していた。




