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魔法が使えるだけの普通の女の子  作者: まるぱんだ
5.祖母の手ほどき、そしてまさかの遭遇
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26.肉親

「どこで、会ったの?」母が、私に聞いてくる。その声は、少し上ずっていた。

「あー、えっと……」

今日あったことを、ひとつひとつ、思い出し思い出し、話していく。

でも、思い出せば思い出すほど、ますます不思議だ。

全然知らない場所のはずなのに、なぜまた同じ図書館にたどり着けたのか。

なぜ、あそこに伯父が居たのか。なぜ、魔道書があったのか。

なぜ、なぜ……


一通り語り終わった時、ふと気づく。

「あっ! そうだ、初級の魔道書!これ、返さなきゃ駄目なのに」

「いいのよ。これ、元々は私たちのものだから」

「え……?」

「おばあちゃんが、こないだ言ってたの。この本には、この家系の、家紋が刻まれていたって。私にはよくわからないけど、この家に代々伝わる本だったはずなの」

「そっか……伯父さんって事は……」

「本当は、あの人が、私たちに返すべきだわ」

「でも、これ、私たちのものであり、伯父さんのものでもあるんじゃ……?」

「勝手に持って行ったら、そりゃいけないわよ」

「持って行った? でも、燃やしたんじゃなかった?!」

この家の魔道書は、全部、伯父が燃やした筈だ。

何で、ここにあるのだろう。

「多分、燃やしたように見せかけて、特殊な魔法でも使ってたんじゃないかな?」

「ええー、じゃあ、それで……持って行っちゃったって事?」

「予想だけどね」

「ふーん……?」

わからない。

一体、何のため?

伯父は、何を意図していたの?

「うーん、分かんないや……まあ、そのうちわかるかな!」

「……そうね。」

話していたら、もう夕方。

明日から学校が始まる。

るりあちゃん……だっけ?新たな、魔法使いの友達ができるはずだ。

持ち物の用意を済ませる。

夕飯を食べる。

お風呂に入り、風と水の魔法で涼を得る。

宿題の確認テストのための復習をする。

何ら変わりない、日常。

でも、来週からは、変化があるはず。

楽しみだ。


金の瞳。気さくな雰囲気。

真っ赤な瞳。落ち着いた口調。

二人の魔法使いを、目の前に思い浮かべる。

伯父は、どんな人だったのだろう。

るりあちゃん……瑠璃亜は、どんな子だろう。


来週から、新学期。去年は嘆いていた、八月下旬の初め。

でも今年は、どんな、新しい「日常」が待ってるかな。

==========

顔も、はっきりとは思い出せない。

失踪したのは、私が物心つく前だったらしいから。

けど確かにいた。娘も、会ったらしい。

火峰……徹。

私の、たった一人の兄さん。

どんな人だったろう……興味はある。ひとりの妹として。

だけど……私たちから魔法を奪い、行方をくらました人だ。

消したかに見えた。しかし、本当は、独占していた。

そこまで考えてから、ハッとする。


私たちに、いや、せめて、娘に、害が及ばなければいいけれども……

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