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魔法が使えるだけの普通の女の子  作者: まるぱんだ
3.本格的にやってみる
16/102

15.展開

 それから、祖母に色々聞いた。

 さっき祖母が使ったのは魔法の杖の一つで、上級者向けのものであること。

 上級者向けの杖魔法は、図形でなく、魔道書のそれに似た文字を使うこと。

 祖母のおさがりの初心者向けの杖が、祖母の家にあること。

 魔法の墨は、昔あったが、伯父の起こした火事で、ボトルごとなくなってしまったこと。

 違和感を覚えたのは、それを聞いた時だった。

「うん? ボトルって、何でできてるの?」

「うーん、多分、ガラスだった気がするわ。プラスチックではあるまいし、透き通っていたし」

「ガラスって、燃えるっけ?」

溶けることはあるかもしれないが。

「でも、墨は燃えるわよ。書いた文字に火をつけて魔法を強める、ってこともあったから」

「いやいや、ボトルごとなくなったんでしょ? その……溶けたガラスの残骸とか、無かったの?」

「どうだったかしら……いや、燃えたところは、何にも無かったわ」

「魔道書の灰とかは、あった?」

「……ううん、あの場所には、何もかも、跡形も無くなってたわ……」

「おかしくない? それ……」

 あの火は、伯父が「自身の魔法で起こした火」って、言っていた。

 もしかすると、祖母ですら知らないような魔法を使った……?

 いや、わからない。火力が強かっただけかも。

 魔法をよく知らないうちに、そんなのわかるはずもなし。

 そのうちわかるだろう。

「じゃあさ、話戻るけど、その杖があったら、私も、もっと色んな魔法が使えるってこと?」

「そういうことよ。早いうちに持ってくるわね」

「やったあ!」

 それまでに、色々勉強しておこう。

 祖母が帰ってから、私は、新たなページを読み始めたのだった。

 ==========

「探したら結構すぐ見つかったから、持って来たわよー!」

 早いうちにって、早すぎないだろうか。

 昼、祖母と別れ、今は夕方である。

 我が家から祖母の家まで、結構な距離があったはずだ。

 びっくりしつつ、心から感謝せざるを得ない。


「さっき、普通のボールペンで練習してみたんだけどさぁ、どんなに覚えてても、再現するのムズくない?」

「多分本に書いてたと思うけど、その線の長さとかが、魔法の向きや強さを決めるからね、均等に『描ける』ようになった方がいいわよ」

「ええー、難しいよ……」

「練習が大事だからね、ボールペンでやるというのはいい考えね」

「そっか、……頑張ろ。で、杖ってどんなの?」

 と言って、祖母の手を見てこれまた驚く。

 一言で言えば、可愛い。

 ペン型なのだが、祖母の、古風でかっこいいそれとは違う。

 緻密な彫刻のなされた、木目調のボディ。

 温かみを感じるその素材で、模様にはところどころ、愛らしい動物が見受けられる。

 キャップを開けると、ペン先は金色だ。

 いや、よく見るとピンクゴールドで、これまた可愛い。

 魔法の墨を入れれば、魔法陣を描く魔法が使えるが、

 市販のインクを入れ、魔法を使わない時に普通のペンとして使う、という事も出来るらしい。

 魔法の墨がもし見つかって、それを入れたくなったら、中を洗えば可能だ。

 ペンのボディはしっかりコーティングされていて、水に強いのだ。


「今日から、あなたのよ。自分で手にとってみて」


 魔道書の言葉を頼りに、

 自分の手でペンを恐る恐る握り、ペン先を見つめる……

 すると、ペン先が光ってくる。

 初めはぼんやり、それから、ぼうっと、暖かく燃える松明のように。

 動かしてみると、たしかに光の筋が現れた。


 本の挿絵にあった通り、図形を描く……描こうとする。

 しかし、ただでさえ空中で描くのに、緊張しているのもあって、

 ものすごくいびつになってしまう。


 しかし……何とかそれを描き終え、それに手を当てれば、

 くるくると回り、

 予定通り、赤い光の玉が生まれる。


 いびつだったため、どこか変な方向に飛んで行ったが、

 まあ、成功だ。


 初めて風魔法を使った時のような、

 なんとも言えぬ、高揚感に包まれた。

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