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魔法が使えるだけの普通の女の子  作者: まるぱんだ
3.本格的にやってみる
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12.低徊

 私には、やりたい事がある。

 先生には、「もっと別の場所に行けるのではないか」とか言われた。

 でも、小さい頃からの夢が叶う場所。

 高一の終わり頃には、だいたい一つの学校に決めていた。

 上のように言われるくらいだから、推薦で行けるだけの成績は足りているはず。

 いろんなイベントに、いつも参加したし。


 高二で、オープンキャンパスに行った。

 音楽系の、専門学校。

 ソフトを使って、BGMとか作っていたように思う。

 一つ、また一つ、音が生まれて、繋がって、一つになって。

 繋がってできた糸が、絡まって、網のようになって、

 ハーモニーが生まれて。

「魔法みたい」

 そう、つぶやいたのだった。


 あの時、すでに、母から毎日聞かされる「魔法」に対し嫌悪感を募らせていたから、それはすぐ撤回した。

 でも、少し、神秘的と言っては大げさだが、不思議な感じがしたのである。


 それを、ふと思い出したのだ。


 魔法みたい……魔法?

 でも、あれは、魔法()()()()

 魔法使いの血筋の人が、魔力を使って繰り出す「魔法」とは違う。

 魔法みたいだけど、魔法ではない。


 でも、私のも、あの人たちがやっていたことも、形は違うけど、ある種の「魔法」ではないだろうか。

 私のは、風を、水を、火を、自分の手で生み出す。

 彼らは、音を、聞く人を魅了する音楽を、生み出す。


 本当は、魔法使いの血筋でない人もみんな、みんな、ある意味、「魔法使い」なのではないか?

 それが、いつ発現しようとも、みんな、「魔力」を持っているのではないか?


 私の魔力は、他の人のそれより少し特殊なだけ。

 非現実でかつ少数派だから、コンプレックスだったけれども。


 そう考えれば、魔法使いであることは、他の人と比べて、特殊でありつつ、大差はないかもしれない。

 使う人が少なくて特別な能力だけど、多かれ少なかれ、その人にしかない能力というのは、みんなそれぞれ持っているかもしれない。


 みんなと異なる事。それは、今も、恐れていなくはない。

 でも、みんな、みんな、「みんなと異なる」のではないか。


 私の夢は、叶えたい。

 けれど、魔法も、頑張ろうかな。

 別に、今頑張るとは言わないけど、でも、自分の魔力に、誇りを持ったっていいはずだ。


 みんな持ってる。でも、みんなと違う。


 目の色が変わった時は、自分が「普通の人間」じゃない、別の生き物になったみたいで、怖かった。

 でも、「普通の人間」ならば、皆、何かしらの特別な力を秘めているのではなかろうか。

 いや、でも……


 ああ、なんだか矛盾してきて、よくわからない。もう、これ以上考えないようにしよう。

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