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天道一の読書録  作者: けんたそ
2/2

どうしてあんた美少女じゃないんだ。

歩くのは別に嫌じゃないです。

あんまり時間に縛られるのは好ましくないです。


そんな理由で地元の近くの高校を選んだ。

どう間違えても進学校にはなり得ないし、真面目というにはあまりに騒がしすぎるこの高校。

そんなレベルだからほら、あんな風に男子は上から二個くらいはボタンが閉まってないし、基本女子はスカート短い。

気をつけないと殴られるし、注意してないと大声でバカにされる。

あぁなんて良い学び舎だろうか。

これからの学校生活を想像すると期待で胸がワクワクする。


「...チッ」


おっと思わず本音が。

しかしこの音を聞いた人なんていないので焦らない。

現在登校中。

昨日が入学式だったので実質初めての登校になる。

HR開始は8:30。ただいまの時刻は7:00。ちなみに学校が開くのも7:00。

そんなに遠いところから通っているわけではない、というのは前述の通り。どんなに遅く歩いても15分とかからないだろう。

そこまでわかっていてなんでこんなに早く行くのかって聞かれると、校内を探検しようと思ったのだ。

これから3年も通う場所なのだから、例えば保健室や職員室、もっと言えばトイレなどの位置を把握しといて損はないだろう。

それと一人で食事をとれそうなところも探しておこう。大事な場所だ。


時計を見間違えて慌ててる女の子とぶつかることも、空から降ってくる女の子とも出会うことなく。

こんなもんかと一息ついてから校門をくぐる。

中学校と比べるとでかいな、なんて当たり前の感情をポイ捨てして上履きを履く。

『クラス分けはこちら』と書かれた張り紙の下にテーブルがあり、おそらく新一年生のみの名前が記載されたプリントが山のように積まれているのを見て、がっかりした。

「こういうんは掲示板にあって押し合いへし合い確認するんじゃないんかい」

なんてインチキ関西弁が出るくらいにはがっかりした。

朝早いということもあってか周りにはあまり人がいない。

仮に掲示板に張り出されていたとしても、これじゃあ押し合いも、へし合いも、踏んだりも、蹴ったりもなかっただろうと気持ちを立て直しプリントに目を向ける。


1-C


微妙だ。


クラスに着くと窓際で美少女が静かに本を読んでいた。

なんてことはもちろんなく、というか誰もいないじゃん。

黒板から僕の名前を探し席を探す。

真ん中の列の後ろから2番目というなんとも言い難い席にカバンを置き椅子に座る。


前にでかい人がいませんように。

という願いを机に残したまま探索に出かける。


クラス割り振り表(命名者僕)の裏ページに構内の簡単な案内図が載っていたのでそれを頼りに歩いていると、前方に生徒会室なるものが見えてきた。

ああ僕はこの教室に入ることがあるのだろうか、この知識は役に立つのかと思いつつ素通りすることにする。


「あの、そこの君。」


あぁおめでとう。

あなたが最初の発言者ですよ。

いやまてよ、一回僕舌打ちしなかったっけ。


「まあ、舌打ちは効果音みたいなものだからいいでしょ。」

「は?」

「あ、いえ。ところで先輩...ですよね。何か用でしょうか。」

「うん。上履きの色から1年生だと思ったからね、道にでも迷って困っているのかと。違った?」

「前半は正解です。後半はなんとも言えませんね、迷っているわけではないです。」

「そっか。じゃあいらないお節介だったね。なんかあったらいつでもここにきなよ。」

「ここ?先輩は生徒会に所属しているんですか?」

「そっか、そりゃ知らないよね。一応生徒会長だよ。形だけのってところはあるけど。」

「それはそれは、生徒会長様とこんな早くお近付きになれるなんて。」

「ははは。じゃあまたいらっしゃい。...えっと名前を聞いてもいいかな?」

「天道です。天道一。」

「よろしくね天道君。」


そう言って慣れた手つきで彼は生徒会室に入っていった。

朝早くからお疲れ山です。


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