領主を継いだので好感度を確認してみた
レイさまが屋敷の下女らにオレの好感度調査をしているのを見つけてしまった。つい、慌てて隠れてしまったのは仕方ない事だろう。
見つからない様に少し離れているので断片的にしか聞こえないが、あの女の質問にその下女が大げさなぐらい首を振っている。
「とても、とても無理です」って金切声を上げてるのが耳に入る。
そんなに嫌われてたのか!? 何故だ??
あの下女って一昨日もオレの作ったクッキーを笑顔で食ってたはずだよな。
実はもうあれに飽きてたのか? もっと良いモノ食わせろって内心思ってたのか。
ショックだ。・・・いやいや、あいつに好かれようなんて思ってなかったんだからなっ!
全然、これっぽちも精神的ダメージなんか受けてないぞ。
きっと、あの下女が強欲なだけだったんだよな。
しかし、レイさまは次に洗濯女にも声を掛けていたが、どう聞いても芳しい回答ではなさそうだ。
以前、レイさまの弱点を探ろうと屋敷の奴らに話を聞いた時も感じたが、どういう理由かオレよりあの女の方が人気がある。オレの方があいつらの面倒見てやってたよな。どういう訳だ?
何を隠そう、いささかオレはメンタル弱いんだよ。誰か褒めてくれ!
きっとあの2人が例外だったんだよな。そのはずだよな。
きっとレイさまはオレを嫌っているであろう下女にしか声を掛けてないに違いない。
でも隠れている手前、苦情を述べられるはずもない。そっとその場を離れる。
続きを見る勇気はないからじゃない。あんな偏ったサンプルに意味はないからだ。
もっとお世辞を言ってくれそうな奴に声を掛けるべきなんだよ。オレの自信回復のためにも!
見つけたのはレイさまの下働きをやっている女を見つけた。たまにオレを睨んでる気がするが、正面から問えば気が弱そうな奴だし、おべっかを言ってくれそうだ。
いや、言わせてみせる!
「おい、お前。オレのことどう思ってる? 嫌ってないよな? 好きだよな!」
こういうのは反論を言う間も与えず、肯定させるんだ。
もう、頷くだけで良いぞ。
あれ? 怒りのためか、顔を真っ赤にして目を見開いてる。・・・首を振って走り去ってったぞ。
ーー普段トロ臭そうな奴なのにすごい勢いで逃げてったな。




