ある嫁入娘の話
黙って家出した罰として、姐様の命令により細マッチョが新領主になるとかいう式典に駆り出される。この人の父親が今まであそこの土地の領主だったが、この機に跡を継ぐらしい。
わざわざ王都まで連れて来られて、大きな屋敷の広間で豪華な白い服を着させられた。そして、何故か細マッチョの横に座らせられる。
みんな添え物であるあたしにも「おめでとうございます」って言うけど、よく分からない。何で?
盗賊討伐で活躍したあたしを歓待してるのかな?
主役である細マッチョは風船みたいに膨れ上がった上に青アザで腫れた顔であたしの横に座っている。
この式典の前日に父様と模擬戦をやって父様にボコボコにされたらしい。
何やってるんだろ? この人は?
その勝ったはずの父様は何故か大泣きしてるし、さっぱり分からない。
疑問は尽きないけど、少し離れた所で姐様と母様の二大巨頭が睨んでいるので文句も言えない。
あたしの知らない人ばっかり来てたけど、みんな偉い人たちらしい。細マッチョだって内心は「誰だコイツ?」って思ってたに違いない。腫れた顔のせいで表情はさっぱり分からなかったけどね。
母様には余計な事は言わず、置物の様にじっとしてなさいって事前に言われてた。あたしだって空気くらいはよめるので、失礼のないように終始、慣れない愛想笑いだった。
ここは王都だったけど、実家の領地、細マッチョの領地の2カ所でも同じことをやらされる。面倒臭い。1回でいいじゃん。
色々連れ回されて、やっと解放されると思ったら細マッチョの所有する王都の屋敷に留め置かれる。
また武者修行の旅を再開しようかと思ってたのに・・・ 母様にスッゴイ笑顔で凄まれる。
ーー細マッチョの屋敷にいるのと実家の座敷牢とどっちが良い?
何なの、その2択? 答えるまでもないじゃん。
細マッチョは何か色々な手続きとかあるらしい。領地じゃなくって王都で役職もらって仕事してるんだって。同じ領主でも領地に引きこもってる領主様とは違うんだね。連日飛び回っていて屋敷に帰ってきていない。
落ち着くまで姐様が付き合ってくれるって言ってる。一応、あたしんちも王都に家を持っているので姐様はそこから通いだ。
あたしもそっちから通うのはダメ? ・・・何故かダメらしい。
細マッチョの父様も相手してくれる。細マッチョとは似ていないデッカイ身体つきだ。息子とは違って太マッチョだね。
でも、連日ヒマだよ。姐様がお嬢様講座をしてるけど全く興味ない。どうせ、使う機会ないって。使う必要が出来たら、多分覚えるよ。
明日やればイイことは明日でイイじゃん。
何か、面白いことはないかなぁ。
そういえば、昔のことでうろ覚えなんだけれど、王都では武闘会が開催されるって聞いたことがある。紳士と淑女が勝負服を着て覇を競うらしい。
確か、大人数が参加して夜に開催されるんだったかな? 夜戦だね。個人戦じゃなく、きっと集団戦だよ。
どんな猛者が参加するんだろう? あたし自身の力だけじゃなく、チーム分けでも勝敗に差が出るよ。
幼い頃王都に滞在してた時は子供だから参加出来なかったけど、大人になった今はOKなはずだ。
母様も若い頃は昔すごく活躍したらしい。
踊りもあるって聞くし、きっと剣舞を試合の合間に余興でやるんだろうな。
いつ開催されるんだろ? 今から楽しみだね。




