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ぶちのめしますわよ、旦那様【領主を継いだので好き勝手やてみたい別冊?】   作者: 堀江ヒロ
領主夫婦と愉快な仲間たち

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あるご不満な女の子の話


「貴女が総大将ですわね」

 そうなの? そういう役って細マッチョがするんじゃないの? 彼は重そうな鎧を着こんで完全武装だ。

 そもそも具体的に総大将って何する人? 偉そうにしてるイメージしかないんだけど?

「全体の指揮をする人ですわ」

 おおぉ、イイね。作戦とか考えるんでしょ。総大将ってカッコイイ。あたし、総大将で良いよ。じゃあ、早速着替えないと! このまま行くの?


 あたしを含めて20人くらいで参加しているけど、強いのは細マッチョの他は2人くらいしかいない。みんな馬に乗って移動だ。

 こっちの兵士の人たちってそんなに強そうじゃないね。見た感じだけど、実家で働いていた衛士の方がずっと強そうだ。まだ戦ってる姿を見てないけど、絶対ウチの見習いの方がマシだと思う。

 ウチでこんな腑抜けた態度してたら、性根を鍛え直すとか言われて、半殺しにされるよね。


 盗賊って何人くらいいるの?

「な~に。盗賊ごとき我がひとりだけで充分だ」

 細マッチョは自信満々だ。でも、あたしだって複数の盗賊をけちょんけちょんにした実績があるんだからね。

 でも言わない。だって、奥様が睨んでくるんだもん。出発前にうかつに発言しないように言われてしまっている。

 イイじゃん。ちょっとくらい自慢しても。・・・うん。ダメみたい。

 不本意ながらも、口をつぐんで駆ける。あたしだけじゃなく、緊張しているのかみんな黙っている。盗賊をやっつける程度なんて大したこと無いんだからもっと和気あいあいとすればイイのに、辛気臭い。


 けど、長く黙っている必要は無かった。街道沿いに一刻くらい走らせる。着いたのは奥様の領地とは逆側に続く街道から離れていない場所だった。

 馬を街道において、道沿いの森に入る。5人を馬の世話でおいて行く。

 街道からは離れていないのに木々に閉ざされて、知らなければたどり着けそうもない場所だ。そこには丸太で出来たぼろい小屋があった。

 これを見つけ出した人ってスゴいよ。こんな隠れ家良く見つけられたね。じゃあ、面倒だけど、まずは周囲の偵察かな?


「行くぞ!」


 --え~と・・・ 抜け駆け?


 細マッチョはデッカイ刀を担いで突撃していく。それに続くのは強そうだと目をつけていた2人の若い男の人。

 まあ、若いって言っても、あたしより2つ3つ年上だと思う。

 でも、他の人たちは見てるだけ。

 え~と、この人らって行かなくって良いの? 周囲の警戒は?

 あの細マッチョ行っちゃったよ。

「若さまに任せておけば問題ありません」

 残った男性が答えてくれる。


「はぁ~。どうしますの?」

 奥様がため息をついて、あたしに聞いてくる。

 当然、あたしも行ってくるね! あの細マッチョに任せてたら全部獲物を取られそうだ。

 作戦? 各自突撃して敵を殲滅! あとはリンキオウヘン?

 完璧な指示も出したし、張り切ってダッシュしようとしたが、首根っこを掴まれる。

「貴女は駄目ですわよ。そんな恰好で行くつもり?」

 え~っ。何で!? というか、この服無理やり着せられたのって、奥様の差し金だったんじゃないの!?

 あたしを横目に細マッチョは小屋から出てきた武装している盗賊を刀で吹き飛ばしている。鎧を着ていても関係ない。鎧の上からでも相当なダメージだと予想できる。

 スゴイ腕力だ。羨ましい。あたしも腕力をつけて、あういう風に吹っ飛ばてみたい。

 あたしも加わりたいのに、奥様はブロックしていかせてくれない。

 それじゃ無双できないじゃん。あたしも剣を振り回して突撃したい!

「総大将は後方でどっしり構えているものですわ」

「え~~っ。何それ!? 総大将って詰まんない。士気を高めるために先陣を切って敵を蹴散らすのが役割じゃないの?」

 ほら、細マッチョを見習おうよ。ああいうのが理想的な総大将だよね。


 あっ、そうこうしている内に細マッチョが入り口をぶち破って小屋に突入した。

「貴女は余計な事はしなくて良いですわ」

 念を押されてしまった。面白くないなぁ。あたし来る意味あったの?

 じゃあ、迂回して背後からコッソリ近づいて来る強そうな敵がいるけど、言わなくてイイのかな?


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