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日常


 一年の大半を王都に常駐しているお父様とお兄様に代わり、弟と一緒に領主代行としての仕事を行います。

 しかしながら、領主として決済が必要な仕事が日常的にあるはずもありません。お爺様の指導の下での勉強が大半です。

 細々とした仕事はあるのですが、それは家臣の仕事の領分です。彼らの仕事を取り上げる訳にもいきませんからやるべきことは限られています。

 彼らの仕事を奪うのではなく、見てその内容を覚える事にしましょう。


 --じ~~~っ


「姉上、彼らの邪魔になるのでは?」

 いえ、近くで見ているだけです。邪魔はしませんわ。貴方も見なさい。今年開墾した農地を測量した報告書ですわよ。あれを基に徴税を決めますから重要ですわね。


「お嬢さま、横から見つめられているとやりにくいのですが?」

 気になさらないで。ご自分の職務に勤めなさい。・・・あっ、そこの計算間違えていますわよ。

「・・・・・」

 そこの文面、わざわざ説明不要ではなくて? 基礎知識が全くない人がそれを読むのではないのだから、説明を省いてもうちょっと簡潔に書いた方が良いのではないかしら?


 推敲前の草案に口出しは駄目だそうです。仕方ないので、報告が上がってきた時に再度確認しましょう。




 気分を変えて、街中を巡回することにしましょう。我が領地自慢の猛者共たちが定期的に見回っているので、不届き者が出ることはめったにありません。

 わたくしが街に出かけるときは馬の場合が多いので、歩いての移動は久しぶりです。弟も同様でしょう。


「お姫さま、こんにちは~」

 小さな女の子が近寄ってきましたが、母親らしき女性が抱き止めました。

 わたくしは姫ではないのですが、子供にとっては偉い家の娘は一括りでお姫さまなのでしょう。

 家臣が警戒するけれど何もあるはずありません。こちらから近づいて、しゃがみ込みます。そして女の子の頭を撫でてあげます。

 お嬢ちゃん。何か困っていることはないかしら?

「ん~。え~と、お姫さまになるのはどうしたらいいかな~?」

 そうですわね。お母様のお手伝いをして、一杯勉学を頑張れば成れるかもしれませんわね。

 その女性は頻りに恐縮していますが、その程度が気に障る度量の狭い者はいません。


 途中、猫を見つけてほっこりした気分になります。けれども、領主の一族としてにやけた顔は見せる訳にはまいりません。

 常に毅然とした態度でなければなりません。

 抱きしめて、モフモフしたいけれど、ぐっと我慢の心です。弟を始め領民の皆さまが見ているのですから。

 元気も補給した事ですし、戻ったらまた勉強を頑張らなくては。



 女の子への回答は…結構適当です。


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